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紛争に疲れたガザのパレスチナ人、再び暴力に満ちたラマダンとなることを恐れる

聖月ラマダンの間、パレスチナ人信徒たちはエルサレム旧市街にあるアル・アクサモスクの敷地でタラウィという長い夜の祈りを行う。(AP通信)
聖月ラマダンの間、パレスチナ人信徒たちはエルサレム旧市街にあるアル・アクサモスクの敷地でタラウィという長い夜の祈りを行う。(AP通信)
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10 Apr 2023 12:04:11 GMT9
10 Apr 2023 12:04:11 GMT9
  • 住人らは長年、ラマダン期間にハマスとイスラエルの間で繰り返される激しい軍事衝突の影響に耐えてきた
  • 「私たちは戦争や対立激化を望んでいません」と、ある住人は語った。「今年は人命の損失や破壊がなく、(ラマダンが)過ぎ去ることを願っています。戦争のあったこれまでの何年も、それを十分に見てきました」

ハゼム・バロウシャ

ガザ市:ラマダンは多くのイスラム教国家およびコミュニティにおいて神聖で精神的な、平和と内省と祈りの月だ。しかし、ガザに暮らすパレスチナ人にとっては、近年の経験から、暴力の激化と戦争の勃発に結びついたものとなっている。

住人らは、長年ラマダン期間にハマスとイスラエルの間で繰り返される激しい軍事衝突と、より短期的な暴力の勃発による影響に耐えてきた。

ヨルダン川西岸地区とエルサレムでの挑発行為の続続と考えられるイスラエル当局の動きを受けて、この数か月、ラマダン期間中にガザ地区の1つあるいは複数のパレスチナ勢力とイスラエルの間で大規模な軍事衝突が起こる可能性についての懸念および警戒が高まってきた。

「ラマダンの月毎に、毎年、何日も続く軍事衝突や激化があり、私たちはいつもラマダン月の間、恐怖と不安の中で過ごすことになります」と、ラスミヤ・アル・マブホウフ氏(60)はアラブニュースに語った。

彼女は4人の子どもと共に、最近の戦闘の際に激しく損壊した3階建ての家に住んでいる。今年、ラマダン期間中に再び戦闘が激化し、またも家族で自宅を離れざるを得なくなることを、彼女は恐れている。

「私たちの家は2021年に被害を受け、その期間に自宅を離れて親戚の家に移りました」と、アル・マブホウフ氏は述べた。「今年、ラマダン期間中に再び戦闘が激化し、それによってまた屋内に留まることができなくなるのではないかという不安があります」

ヨルダン川西岸地区で支配的な治安状況と、その混乱がガザ地区に波及するかもしれないという懸念から、新たな暴力の脅威に対する恐れが高まっている。昨年初めからの緊張激化の舞台は、主にヨルダン川西岸地区北部となっており、同地でのイスラエルによる各都市への侵入やパレスチナ人の殺害が、ハマスおよびイスラム聖戦をはじめとするパレスチナ勢力によるガザ地区からイスラエルへのロケット弾発射という脅威を誘発してきた。

ハマス政治局のシェイク・サーレハ・アロウリ副局長は、同組織の公式ウェブサイトで公開されたインタビューの中で、「時間的、空間的に分断する政策を押し付け、入植者がタルムードの儀式を行えるようにするために、ラマダンの月を利用しようとする占領者の企ては反発を受ける」と断言した。

また、次のようにも述べた。「占領者は自らの企てを我々の民衆とレジスタンスの激しい反抗に合うことなく進められると期待すべきではなく、我々はやり過ぎないよう警告するとともに、ハマスはエルサレムにおける占領者の動きを緊密に監視していること、我々の忍耐は尽きかけていることを強調する」

ヨルダンのアカバとエジプトのエル・シェイクでそれぞれ開かれた会合では、イスラエル、パレスチナ、米国、開催国の代表が、ガザ地区にまで波及しかねないエルサレムとヨルダン川西岸地区における暴力激化を防ぐために、話し合いを行った。

ガザの住人であるラミ・アル・ダナフ氏(51)は、同地区での新たな軍事衝突の可能性について懸念しており、通常のように家族がラマダンのために必要とするもの全てをあらかじめまとめ買いする代わりに、日ごとに必要なものだけを買っていくつもりだという。

「我が家では、ラマダンに必要なもの全てをあらかじめ買っておく習慣がありましたが、今年は(そうせず、)疲れるけれど、ほぼ日ごとに(購入)します。ガザ地区で再び戦闘激化があることを恐れているからです」とアラブニュースに語った。

「脅威は止みません。メディアでは、ラマダン中にガザで戦争が始まるという話がされているので、妻や子どもたちはそれを恐れています」

再びラマダン期間の戦闘が発生するという見通しに対する恐れは、暴力に疲れ切ったガザの住民の多くが共有するものだ。

「私たちは戦争や対立激化を望んでいません」と、リナ・アヤダ氏(29)はアラブニュースに語った。「今年は人命の損失や破壊がなく、ラマダンの月、それからイードが過ぎ去ることを願っています」

「戦争のあったこれまでの何年も、それを十分に見てきており、私たちはラマダンの月がガザ地区、ヨルダン川西岸地区、そしてあらゆる場所の全てのパレスチナ人にとって良きものとなることを願っています」

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