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レバノン議会、公共部門の給与支払いのための資金提供を承認

軍や治安部隊を含む公共部門の職員数は25万人を越える。(AFP / 資料写真)
軍や治安部隊を含む公共部門の職員数は25万人を越える。(AFP / 資料写真)
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20 Jun 2023 08:06:56 GMT9
20 Jun 2023 08:06:56 GMT9
  • サミール・ジャアジャア議員は、「大統領職の空位を埋めることによって諸問題の解決が得られるのであって、憲法をみだりに変更することによってではありません」と述べた
  • キリスト教系野党と改革派に属する29人の議員が会議をボイコットした
  • ジブラーン・バシール議員の率いる自由愛国運動ブロックの議員の出席により、定足数が確保された

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノン議会は、月曜日、公務員の給与と交通費を支払うための歳出予算案を可決した。

ナジーブ・ミカティ首相の率いる暫定政府が未だ2023年予算を承認しておらず、2022年予算の数値調整も行っていないにも関わらず、この予算案は可決された。

激しい議論が交わされた会議で、128議席のレバノン議会では、レバノン大学の教員に金銭的インセンティブと交通費を今学年度中に支給する法案も可決された。

今回の会議をキリスト教系野党と改革派に属する29人の議員がボイコットした。

この会議の定足数は、ジブラーン・バシール議員の率いる自由愛国運動ブロックの議員の出席により確保された。

自由愛国運動ブロックは、その「参加を国家のより高次の利益に関連する重要事項の立法過程のみに限定するという原則」に今回は沿っていると認識したのだった。

ボイコットした議員たちは、ヒズボラとアマル運動の会派が先週水曜日に12回目の議会投票を妨害した後に月曜日の会議が行われた事を共同声明で強調した。

憲法では、大統領職が空位のままで議会は法律の制定を行うことは出来ないとされている。大統領の選出まで、議会は、ほぼ完全に選挙機関なのである。

そのため、議員たちは、この会議は憲法に反しており、議会の信任を得ていない暫定政府によって未だ可決されていない2023年予算もなしに追加の歳出は承認出来ないと述べた。

レバノン軍団やファランヘ党、タジャドッド党のブロックに属するボイコットした議員だちは、「恣意的で資金の裏付けの無い歳出の増加はインフレに繋がり、以前にはこうした給与の購買力を半減させる結果を招くに至りました」と述べた。

この取り組みには、「真摯さやビジョン、包括的な計画が欠けており、実際の問題に対処していません」と、同議員たちは付け加えた。

ナビーフ・ビッリー国会議長は、会議冒頭でボイコットした議員らに反論した。

ビッリー国会議長は、「政府は国会を開くべきではなく、国会は招集も立法も行うべきでなないと考えている政党もあります。そうした政党の望むがままにしようということになったら、私たちには何も成し遂げられなくなってしまいます」

ミカティ議員は、会議において、「2023年度予算の準備は完了しています。そして、財務省は6月末までに予算最終案を政府に送り、審議が開始されることになっています。その後、その予算案の承認を得るために、私たちは政府会合を呼びかけるという流れです」と述べた。

多数の人々の給与に関わることなので、ビッリー国会議長とヒズボラがバシール議員を半ば強要するようにして月曜日の会議への参加を促すことに成功したのだと、ある政界オブザーバーは語った。

ヒズボラとアマル運動が支持する候補者に対抗する大統領候補者の一本化への投票に関して、バシール議員がキリスト教系野党勢力に合流した後に、ビッリー国会議長とヒズボラはそのように動いたのだと同政界オブザーバーは述べた。

レバノン軍団のサミール・ジャアジャア党首も、月曜日の会議はレバノンの新大統領の選挙を妨害する勢力によるものだったのだとコメントした。

「大統領職の空位を埋めることによって私たちの諸問題に対する実際の解決が得られるのであって、浅慮に基づいて憲法や法規をみだりに変更することによってではありません」と、ジャアジャア党首は述べた。

レバノンの暫定政府は、先月、86,300レバノン・ポンド/米ドルという中央銀行のセイラファ為替レートで公務員に給与全額を支払うという法令を出した。

今回の決定の対象には、裁判官や軍人、省庁の職員、行政機関職員、オジェロやレバノン電力などの公共サービス機関職員、政府系病院職員、公務員協同組合職員などの給与と公共部門からの退職者の年金が含まれている。

月曜日の予算案可決によって、一般行政機関職員には4か月分、軍事と退職者には3ヶ月分に相当する追加報酬が支払われ、また、一日当たり45万レバノン・ポンドの交通費も公共部門職員に新たに支給されることになった。

これらの支払いは、5月分を全額支払い、全職員について遡って計算し合算した金額が6月中に支払われる予定だ。

軍や治安部隊を含む公共部門の職員数は25万人を越える。

ベイルートに拠点を置く研究コンサルタントであるインフォーメーション・インターナショナルの統計調査によると、軍人と治安部隊員の人数が12万人、教育部門の職員は4万人、省庁と行政機関の職員は2万5千人、公共機関と地方自治体職員は11万5千人である。

それに加えて、7万人の退職者がおり、その大半は退役軍人である。

国家公務員数の増加は、レバノンにおける政治的、宗派的な情実主義に起因している。

国際通貨基金(IMF)は、公的資金の枯渇を抑制するために、5年から10年の期間でこうした国家公務員数を削減するようレバノン政府に求めている。

現在、公的部門の給与のコストは、年間12兆レバノン・ポンドにも上っている。これは、1,500レバノン・ポンド/米ドルの旧公式為替レートで80億ドル相当、15,000レバノン・ポンド/米ドルの新公定為替レートで8億ドル相当である。

レバノンが2019年以来直面している経済崩壊によって、レバノン・ポンドは外貨に対してその価値の90%を失い、公共部門職員の給与はもはや100米ドル未満となってしまっている。

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