ロンドン：イランは10月に自国で海事に関するイベントを開催すると提案していたが、それを無効にするという米国主導の提案が国連国際海事機関（IMO）の理事会における投票で承認された。IMOの報道官が20日に発表した。

この動きにより、米国とイランの間の緊張はさらに高まる可能性が高い。今月には、イランがアラビア湾の国際水域で米国の石油大手シェブロンが管理するタンカー「リッチモンド・ボイジャー」の拿捕を試みるという事件があった。

イランは、今年10月下旬にIMOが主催する年に一度の「世界海事デー」に合わせてテヘランで海事に関するイベントを開催すると提案していた。この提案は2015年にIMO理事会で承認された。

ロイターが閲覧した、今週会合を開いているIMO理事会に提出された作業文書において、米国はその決定を無効にすることを提案した。

米国は、イギリスと共同提案したその文書の中で、「イランは過去2年間、商業活動に従事する船舶20隻以上に対し、攻撃、嫌がらせ、拘留を行ってきた」と指摘した。

「イランは、口実や警告や事前の正当化もなく商用船舶を拿捕したりそれを試みたりしてきた」

また、イランがリッチモンド・ボイジャーに対し実弾で銃撃して「乗組員の命を危険に晒した」としたうえで、その件も今回の提案に至った理由だと述べた。

IMOの報道官によると、20日の投票では理事国の過半数が米国主導の提案に賛成し、イランの提案は無効となった。理事会は40ヶ国で構成される。

イラン当局は今のところコメントの要請に応じていない。

米国務省のマット・ミラー報道官は記者会見で次のように述べた。「イランは海事に関連した公式国際会合の開催地となることはない。海事に関する国際的な規則、基準、安全に対する軽視を繰り返し示してきたからだ」

米海軍は7月、オマーン湾においてリッチモンド・ボイジャーを含む商用タンカー2隻を拿捕しようとしたイランの試みに介入して阻止したと発表した。この事件は、この海域で2019年から続く船舶に対する一連の攻撃の最新の事例となった。

3つの情報筋がロイターに伝えたところによると、米国は4月、制裁執行活動として、海上でタンカーに積載されていたイラン製石油を押収した。今月20日時点の船舶追跡データによると、このタンカーは米国のヒューストン港の外に停泊していた。

国営メディアによると、革命防衛隊海軍は20日、このタンカーからイラン製石油を降ろす石油企業があればイランは報復措置を取ると述べた。

ロイター