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パレスチナ大統領が西岸地区の知事を大幅入れ替え

パレスチナのマフムード・アッバース大統領は10日、占領下にある西岸地区の知事の大部分を解任した。(資料写真/AFP)
パレスチナのマフムード・アッバース大統領は10日、占領下にある西岸地区の知事の大部分を解任した。(資料写真/AFP)
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11 Aug 2023 04:08:49 GMT9
11 Aug 2023 04:08:49 GMT9
  • 現職継続は中枢のラマッラーを含む3地域のみ
  • 専門家「大統領が政府の支持率低下を認識している証拠」

ラマッラー:パレスチナのマフムード・アッバース大統領は10日、占領下のヨルダン川西岸地区の大部分の知事を解任した。パレスチナの半自治政府への不満が高まる中で、長い間求められていた政治体制の刷新に応えたかたちだ。

大統領は、占領地域にあるパレスチナ政権下の8つの県の知事を解任する命令を出した。この体制刷新には、北部のナブルスやジェニン、トルカレムなどの状況が不安定な都市も含まれている。最近、これらの街を中心に軍事衝突が増えており、政府の指導力が損なわれている。知事が解任されなかったのは中枢のラマッラーを含む3地域のみ。大統領府の発表によると、大統領は知事の後任を推薦する委員会を立ち上げるという。

今回の決定がただちに現場に影響を与えることは考えにくい。専門家は、これは大統領が政権の支持率低下を認識していることを示すもので、高まる困難に対して変化を求める声に耳を傾ける姿勢を示したいのだと述べている。

「自治政府は新たな『顔』を手に入れることになります。特に、知事は治安面のあらゆる事柄に責任を負っているため、これは重要なことです」と、政治アナリストのジェハド・ハーブ氏は言う。「しかし実際には何も変わらないでしょう。(アッバース氏は)世間の信頼を取り戻そうとしていますが、それにはまだ足りません」

パレスチナ人は2006年以降、国政選挙で投票する機会を与えられていない。厳密に言うと、アッバース氏の4年の任期は2009年に終了している。

変化を求める声の高まりを受け、知事たちは長年刷新を想定していたと述べているが、10日の命令には不意をつかれたとの意見が多い。大統領の統治は近年、独裁色を強めているが、その決定に異議を唱える知事はいない。

「新しい人材の重要性は理解できます」と、エリコ県およびヨルダン渓谷のジハード・アブ・アル・アッサル知事は言う。「これは大統領の決断であり、理由がすべて理解できなくても従います」

国際的に認定されているパレスチナ自治政府を運営している世俗的な民族主義政党のファタハは現在、党内外で高まる危機に対処しており、そうした中での体制刷新となる。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる極右政権は、自治政府に多数の制裁を課している。そして、パレスチナ人が国家建設を目指している土地に入植地を拡大し、西岸地区の都市でのイスラエル軍の活動を許している。パレスチナの高官は、そうした活動によって自治政府の力が損なわれていると語る。イスラエル政府の有力な閣僚は自治政府の打倒や西岸地区の併合を公然と主張している。そうした方針に伴い、入植者の自警団によるパレスチナ側への暴力も増えている。

パレスチナ内部の緊張も2021年から高まっている。この年、ファタハは議会選挙で武装勢力のハマスに再度負けるという屈辱を味わうと想定されていたが、アッバース大統領は選挙を延期した。ハマスは、パレスチナ議会選挙に勝利してから1年後の2007年にガザ地区の支配権を奪取した。

ここ2年間、占領下にある西岸地区での暴力の高まりも自治政府の悩みの種となっている。特に、火種がくすぶるジェニンやナブルスといった街において、最近ファタハの活動家と武装勢力が関係を深めている。これは治安機関を揺さぶるもので、内部の分断を如実に示している。

自治政府がイスラエルとの安全保障の調整を担っていることを踏まえ、パレスチナの住民は、政府というよりも汚職と協力のための媒体とみなすようになっている。賃上げを求める教師や弁護士、その他の公務員によるストライキで主要な部門が機能不全に陥り、公共サービスが滞っている。

大統領命令ではガザ地区の4人の知事も解任された。知事の役職は、2007年のハマスの権力掌握後は象徴的なものになっていた。

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