東京：コロナウイルスの感染が拡大し、東京五輪の行方が不確定な中、多くの日本人はウイルスや経済状況の方が気掛かりなのかもしれない。五輪中止は二の次なのかもしれない。

日本政府がコロナウイルスの感染拡大の抑制に取り組む中、オリンピックの行方は日常的に話題に上っている。米国のドナルド・トランプ大統領は、コロナウイルスの感染拡大を理由に東京五輪を1年延期するよう提案した。

彼の提案は、13日に元五輪メダリストの橋本聖子五輪相によって即座に却下された。

日本の主催者や政府関係者、国際オリンピック委員会（IOC）は中止や延期を否定してきた。彼らは、五輪は7月24日に建設費14億3000万ドルの新国立競技場で開幕すると言っている。

AP通信が13日に東京の中心部でインタビューしたが、全員が納得しているようではなかった。

「選手たちの安全を考えるなら、五輪はやらない方がいいと思います」と言ったのは、70歳の契約社員、ヨシモトヨシオさんだ。「強行してコロナウイルスの感染拡大が悪化したら、誰が責任を取るのでしょうか」

ヨシモトさんはマスクを着用したまま、各国の首脳たちは五輪の開催方法を考えるより、人々の健康に目を向けるべきだと訴えた。「たとえ景気が回復したとしても、人々が病気になったら、それに見合うのでしょうか」とヨシモトさんは指摘した。

小売店の従業員、キムラトシオさんは、利用客の多い駅を妻と娘と一緒に通り過ぎた。彼は、日本は既にクルーズ船の対応で批判されていると述べた。彼は、コロナウイルスを完全に抑制できないまま五輪を開催すれば大惨事になりかねないと述べた。

13日現在、日本で確認された患者は675人で、他にもクルーズ船「ダイアモンド・プリンセス」から出た697人の患者がおり、日本の検疫が不十分であると批判された。

ほとんどの人は、発熱やせきなどの軽度または中等度の症状が出るだけで、ウイルスから急速に回復する。一部の人、特に高齢者や健康状態に問題がある人は、肺炎などのより重い病気を引き起こすことがある。

世界保健機関（WHO）によると、軽症の患者は約2週間で回復する。

「残念ですが、五輪は開催すべきではないと思います。日本は既に世界に悪い印象を与えています。日本で進行中のコロナウイルスの状況を考えると、五輪は開催すべきではないと思います。感染拡大を完全に終わらせる前に競技を開催しても、事態を悪化させるだけです」とキムラさんは話した。

彼は、日本の当局者はただ競技の開催方法に集中するのではなく、五輪後に何が起こるのかを考えるべきだとも述べた。

大学生のオクタミミさんは、他の多くの重要な問題が人々の日常生活に影響を及ぼしている、と延期を支持する。

「学校は休校になり、働く母親の多くは休みを取らざるをえなくなり、株価は下がっています……就職説明会や面接もコロナウイルスのせいで中止になっています」と彼女は話した。

安倍晋三首相は、初動対応が遅すぎるとの批判を受けてコロナウイルス対策に取り組む必要に迫られていたが、ここ数週間で対策を強化し、全国の学校の休校や文化・スポーツイベントの中止や延期、テレワークを要請した。首相は、感染拡大により被害を受けた中小企業や労働者を支援するための経済施策も発表した。

日本は五輪に多額の投資をしてきた。主催者は、公式発表では126億ドルを費やして競技を開催するが、ある政府の監査人によると、その倍の費用が掛かるという。さらに、国際放送局とスポンサーは、放送権と独占広告契約のためにIOCに数十億ドルを支払っている。

五輪を楽しむ人もいるかもしれないが、地元のスポーツの方が大切だ。

32歳の会社員、オオグシアヤキさんは、野球、サッカー、さらには相撲など、日本の他のスポーツイベントの一連の中止を嘆いている。

「私は、多くのスポーツイベント、特に日本のプロ野球の中止や延期に困っています。オリンピックがどうなろうと関係ありません」と彼は言った。

AP