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サウジアラビア、アラブ・アフリカ関係強化を主導

2022年2月20日、サウジアラビア王国リヤドの景色。(ロイター)
2022年2月20日、サウジアラビア王国リヤドの景色。(ロイター)
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13 Nov 2023 05:11:03 GMT9

サウジアラビアの首都リヤドでは今週、アラブ・アフリカ首脳会議とサウジアラビア・アフリカ首脳会議という2つの重要なサミットが開催される。これらの会議は、アラブ・アフリカ間の協力関係の強化を目的としており、相互支援と統合に基づく重要な決定がなされると期待されている。

アフリカとアラビア半島の間の人的紐帯と文化的結びつきの深さは、アラブ人の半分がアフリカ人であり、アフリカ人の3分の1がアラブ人であるという事実に要約される。このつながりには地理的・歴史的な裏付けがあり、地質学的変化によって分離する以前には、アラビア半島はアフリカ大陸の一部であったことを示唆する証拠もある。

アラブ・アフリカの思想家であるアリ・アル=マズローイ博士など多くの専門家は、紅海の出現により始まり、19世紀にスエズ運河の開削によって完成する地質学的分離より前は、アラブ人とアフリカ人は一つの大陸に住んでいたと考えている。

アル=マズローイ博士は、アラビア半島とアフリカ大陸の歴史的・地理的関係を説明するために、「アフラビア」という名の科学的モデルを開発した。このモデルは、いくつかの決定要因に基づいている。

決定要因の一つは、アラブ人の大半が現在アフリカに住んでおり、アラブ世界で最大の土地が同大陸上にあるということだ。もう一つは、アフリカはイスラム教徒が多数を占める大陸であるということだ。また、「アフリカ」という名称は、ベルベル語に起源を遡ることができ、現在チュニジアとして知られている場所を意味していた。つまり、大陸の名称の由来が、現在アフリカのアラブとして知られる場所なのである。

アフリカにおけるアラビア語の普及が、両地域の結びつきをさらに強めている

アル=マズローイ博士はまた、アフリカ大陸とアラビア半島間で人類の移住と移動があったことを示す歴史的証拠があると指摘した。預言者ムハンマド誕生以前から、東アフリカ海岸やアフリカの角にはアラブ人がいた証拠があるのだ。一方、イスラム教における最初の祈祷時刻告知係、ビラル・イブン・ラバはアフリカ系であった。これは、イスラム教以前からメッカとマディーナにはアフリカ人がいた証拠であり、アフラビアは預言者の移住に先立つ現象であることを意味する。

アフリカにおけるアラビア語の普及が、両地域の結びつきをさらに強めている。アフリカ東部ではスワヒリ語、西部ではハウサ語が元来普及しており、いずれもアラビア語とイスラム教の影響を受けている。しかし、アフリカとアラビア半島の言語的結びつきは、イスラム教よりも古い。アラビア語がセム系言語であることは誰もが知っているが、エチオピアで支配的な土着言語であるアムハラ語もセム系言語であることを知る人は多くない。セム系言語が最初にエチオピアに出現してからアラビア半島に移動したのか、それとも逆なのかについては、歴史学者の間でも意見が分かれていることは注目に値する。

これらの要因に基づき、アル=マズローイ博士は、アフリカとアラビア半島は新世界秩序のもとで融合し、歴史・地理・文化に裏付けられた協力と統合の単位となるだろうと結論づける。今月サウジアラビアが主催する2つの首脳会議は、このビジョンに貢献することを目的としている。

アラブ・アフリカ間の協力関係は、様々な段階を経てきた。当初、1960年代には、アラブ・アフリカ関係は、植民地主義との闘いと独立の追求における協力と連帯を特徴としていた。しかし、政治的発展、外国の影響、アフリカ大陸との関わりの重要性に関するアラブ諸国間の協調および統一された政治的ビジョンの欠如などの様々な理由から、こうした関係は大きく衰退してしまった。

上記のようなコミュニケーションや協力の欠如は、36年を通して両者間で開催された会議の回数が限定的なことからも見ても明らかだ。1977年にエジプトで開催された第1回アラブ・アフリカ首脳会議では、アラブ連盟とアフリカ統一機構(現アフリカ連合)の憲章に基づく協力を強調していた。同会議では、パレスチナ人民の闘争を支持し、南アフリカのアパルトヘイト体制に異議を唱えた。また、アラブ・アフリカ協力のための行動計画も発表された。2010年にリビアで開催された第2回首脳会議は、象徴的かつ政治的な意義はあったが、実質的な進展には至らなかった。第3回首脳会議は、2013年11月にクウェートで開催された。

サウジアラビアは、全アフリカ諸国と強固な関係を築いており、あらゆるイスラム諸国において他に例のないほど好意的に受け入れられている。

サウジアラビアには、アフリカとの協力の長い歴史がある。例えば、1960年代から1970年代にかけてのファイサル国王のアフリカ歴訪、サウジ開発基金やイスラム開発銀行による開発努力、同国の援助機関であるサルマン国王人道援助救援センター(KSrelief)による慈善支援だ。

同国はまた、アフリカを含む様々な国の個人に奨学金を提供しており、トラックII外交の軸となるる文化・教育交流が国家間の関係強化に重要であることを明らかにしている。

その他、サウジアラビアの主導の下、約2年前に紅海・アデン湾沿岸アラブ・アフリカ諸国評議会が設立された。ジブチ、ソマリア、スーダン、エリトリア、エジプト、ヨルダン、イエメンが加盟しており、アラブ・アフリカの統合や、国際貿易にとって非常に大切な紅海・アデン湾地域の安全保障、政治、投資利益、航行を強化するための取り組みにおいて、重要な役割を果たしている。

つまり、サウジアラビアはアラブ・アフリカ協力を促進する上で、以下の理由から重要な役割を果たせると言える。

同国は世界的に政治・経済で大きな比重を占めるだけでなく、57の全加盟国のうちアフリカ諸国が27カ国を占めるイスラム協力機構、ジェッダに所在するイスラム開発銀行、サウジ開発基金、サウジ開発センター、KSrelief、さらに教育奨学金などを通じて、アフリカ大陸諸国との交流においても主導権を握っている。

サウジアラビアは、全アフリカ諸国との強固で持続可能な関係を築いており、イスラム教徒にとって特別な意味を持つ二大聖モスクの所在地であることから、あらゆるイスラム諸国において他に例のないほど好意的に受け入れられている。

同国は、古くからの外交的伝統とバランスの取れた外交政策に加え、国家間のシャトル外交を行える大きな潜在力を持っていることから、アラブ・アフリカ協力の強化において影響力を行使し指導的役割を果たすことができる。

ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が主導するサウジ・ビジョン2030は、同国に限ったビジョンではなく、もっと壮大な内容と目標を持つ世界的なビジョンだと言える。貿易、投資、文化交流を通じてアラブ・アフリカ協力を推進する際にも、ビジョンの恩恵を受けることが可能だ。

その一方、ジブチはアラブ・アフリカ協力強化の取り組みにおいて重要な役割を果たせる。ジブチは、アフリカとアラビア半島を結ぶ架け橋であり、戦略的・経済的・政治的に非常に重要なバーブ・アルマンダブ海峡を見下ろすユニークな地理を有している。また、ジブチにはアフリカ最大の自由貿易地域があり、サウジアラビアとアフリカ大陸との貿易および投資関係の発展に貢献することができる。

結論として、アラブ・アフリカ首脳会議とサウジアラビア・アフリカ首脳会議は成功すると心から確信している。両者の関係を改善し、特に経済と開発の分野において統合深化と協力を促進し、アラブとアフリカの人々の双方に利益をもたらすような重要な勧告や決定がなされるだろう。

  • ディヤ=エッディネ・サイード・バマクラマは、サウジアラビア王国におけるジブチ共和国大使である。

X: @dya_bamakhrama

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