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レバノンは2つの重要な領域で米国の支援を必要としている

ベイルートの東にあるバアブダーの大統領邸で米国エネルギー安全保障担当上級顧問、エイモス・ホクスタイン氏(中央)とドロシー・シア駐レバノン米国大使(左)を迎えるレバノンのミシェル・アウン大統領(右)。2022年2月9日。(AP)
ベイルートの東にあるバアブダーの大統領邸で米国エネルギー安全保障担当上級顧問、エイモス・ホクスタイン氏(中央)とドロシー・シア駐レバノン米国大使(左)を迎えるレバノンのミシェル・アウン大統領(右)。2022年2月9日。(AP)
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14 Feb 2022 04:02:17 GMT9
14 Feb 2022 04:02:17 GMT9

米国は現在、レバノンに対する外交政策を2つの分野で活発化させている。まず、5月に議会選挙を実施するようにという要求がある。それに加え、米国政府はレバノンにイスラエルとの海上国境画定の協定を結ぶように促している。

この2つの要求は、レバノンが主権国家として存在するためには不可欠だが、バイデン政権は、これらの要求が実現され、レバノン国家のためになるよう支援しなくてはならない。

米国政府関係者はこれらの政策問題について、強い見解を表明している。「選挙が期限内に公正かつ透明なやり方で実施されるべきだという点で国際社会は意見が一致している」と、ドロシー・シア駐レバノン米国大使は月曜日、ロイター通信に語った。「妥協をする余地はない」

米国のエネルギー安全保障担当上級顧問、エイモス・ホクスタイン氏は、レバノン政府に対し、イスラエルとの海上国境協定を結ぶ「最後のチャンス」が近づいていると伝えた。海上国境画定の見返りとしては、両国ともにより多くのエネルギー資源を探索できるようになるという。

これは大きな進展だが、レバノンはこれらの目標を追求するためには支援が必要であるという重大な事実を見逃している。レバノン国内には選挙の延期を望み、イスラエルとの海上国境画定に反対する政治勢力が存在するのだ。筆頭であるヒズボラは、その破滅的な政策で過去にレバノンを破壊している。統一した政治的意志により、ヒズボラが再びレバノンを破壊することを防がなくてはならない。

2000年、国連はレバノンとイスラエルの間に暫定的な国境線「ブルーライン」を画定した。そのため現在、両国は外交的にお互いを承認することなく新たな恒久的な海上国境を定めることができる。

レバノン国内には選挙の延期を望み、イスラエルとの海上国境画定に反対する政治勢力が存在する。

マリア・マーロフ

国連海洋法条約は、国の海岸線から最大12海里が領海として与えられると定めている。また、200海里の範囲内は、その国の漁業権や鉱物資源権が及ぶ排他的経済水域として使用できるとしている。米国は、レバノンがその国家としての力と権威に比例して、また、経済的な必要性に応じて、地中海での権利を拡大することを支援しなくてはならない。レバノンとイスラエルが争っている海域は約840平方キロメートルだ。米国はその分割方法を決定する必要がある。イスラエル・レバノン間の海域で石油探査を行う場合は、両国にとっての潜在的な収益の可能性を早期に評価しなくてはならない。

ヒズボラは、レバノンの石油・エネルギー資源のすべてを自分たちの利益のために利用し、イランの石油政策に都合の良いものにしたいと考えている。米国は、ヒズボラがレバノンの海洋主権を守るという口実でイスラエルに戦争を仕掛けることを許してはならない。

また、ヒズボラは権力を失うことを恐れ、レバノンの選挙の実施延期を望んでいる。ヒズボラのレバノンでの覇権を揺るがすような新しい人物や政治勢力に有利な結果となった場合、ヒズボラの権力喪失は起こり得る。

特に、ヒズボラと同盟を結ぶナビーフ・ビッリー議会議長のアマル運動とミシェル・アウン大統領の自由愛国運動は、どちらも選挙が実施されれば大敗することを承知している。

この3党は、レバノンの政治的腐敗を最大に体現している。選挙が予定通りに実施されるのを阻止するために、暴力を行使する可能性もある。ヒズボラは選挙を遅らせる手段としてイスラエルに攻撃を仕掛けるかもしれない。3党が投票しないよう有権者を脅し、選挙の妨害を図るかもしれない。最もやりそうなのは、投票の正当性を疑うことだ。

これらの危険な政策に対し、レバノン政府も同等の対応をする必要がある。バイデン政権は、レバノンが選挙を実施できるように支援しなくてはならない。ヒズボラとその派閥によるどんな妨害工作も早期に発見し、阻止される必要がある。そして、フランスもまた果たすべき役割がある。

議会選挙が最良の結果となるかどうかはレバノン国民にかかっている。彼らが何も恐れることなく、失われた政治的、経済的、社会的自由を回復するために団結し、代表を選ばなくてはいけないのだ。

  • マリア・マーロフはレバノン人ジャーナリスト、アナウンサー、出版者、著者。リヨン大学で政治社会学修士を取得。

Twitter: @bilarakib

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