ジェームズ・デンスロー

ロンドン：現代のゲーム機のグラフィック・パワーはすさまじいが、ゲームプレイとストーリーのバランスが適切であれば、昔ながらのピクセルでも十分素晴らしいものになることを、私たちはつねに思い知らされている。

「デイヴ・ザ・ダイバー」は、もとはMacとPC向けのゲームであるが、このたび、Nintendo Switch向けにリリースされた。このゲームは、不思議な海とカラフルなレストランが広がるゴージャスでトロピカルな世界を作り上げた。このゲームは、魔法的リアリズムに着想を得た物語と、2つの異なるプレイスタイルを組み合わせ、非常に満足感のある効果を生み出している。

太っちょで最盛期を過ぎたダイバーのデイヴがビーチでくつろいでいると、潜水具を身につけ、友人ために新鮮な魚を確保して、新しい寿司レストランの経営をサポートして欲しいという電話がかかってくる。その途中、地震や不思議な青い湖に遭遇したり、古代の海の民が現れたりするなど、さまざまな混乱が起こる。

毎回のダイビングはユニークであるが、目標達成においてとりわけ重要なのは、深度を調整しながら酸素を管理することである。魚の種類は、浅瀬で見られる一般的な小型種から、深海で見られるエキゾチックな希少種までさまざまだ。

デイヴは銛で狙いを定め、魚を釣り上げなければならない。大きなターゲットほど、より高度なスキルと装備が必要になる。途中では、サメや、さらに攻撃的な魚をかわさなければならない。これらはすべて、デイヴがより安全に深海を航行できるよう装備をアップグレードすることで可能になる。

ダイビングのパートだけでも十分ゲームになるかもしれない。しかし、このタイトルの奇抜なところは、デイヴが自分の釣った魚を提供する湾岸レストランで重要な役割を担うというところである。そこでは、儲かるメニューを考案し、従業員を雇って訓練し、養殖場を経営しなければならない。そして何よりも重要な仕事が接客である。これには、厨房から飛び出してきて、わさびをおろし、緑茶を注ぐといったことも含まれる。これらはすべて、少々風変わりながら熟練した料理長の厳しい目の下で行われる。携帯電話で利用可能な数多くの機能について理解すると、このゲームはさらに深みが増す。レストランのSNSアカウントを運営し、集客力向上に努めたりもするのである。

物語の中では、自然保護活動家からアマチュア歴史家まで、さまざまなキャラクターが登場し、デイヴに深海から物を取ってくるよう依頼する。これらすべてが、装備をアップグレードしてより深い水域を探索しようとする中で、物語展開に優れたバランスをもたらしている。より深い水域には、より強いボスや適度に挑戦的なパズルが隠されていたりもするが、このゲームは進行するにつれて新たな発見があるというよりも、繰り返しプレイすることに中毒性を感じられるサイクルが特徴である。