ドバイ:見事な建築作品である「アラビ庵」は、全てが食品廃棄物で作られた日本式の茶室だ。11月12日までドバイ・デザイン・ウィークで展示される。
建築設計とエンジニアリングを提供する総合建築事務所である三菱地所設計は、その設計ノウハウで食品廃棄物に取り組むことを使命としている。
「アラビ庵」は、持続可能性、資源効率、循環性の合流点を具現化する普遍的な茶室シリーズの一つである。
建築家らは、ヴェネツィア・ビエンナーレ2023の「タイム・スペース・エグジスタンス2023」展の一部としてヴェネツィアで展示され成功を収めた茶室をドバイに持ち込み、ドバイ・デザイン・ウィークで展示した。
お茶は世界的に、人と人とのつながりや温かい集まりという属性を持っている。「アラビ庵」は、新しいつながりのための場所として考案された。
そのような意味は、この茶室自体の名前にも見出すことができる。英語の「Arabian」と、日本語で「質素な小屋」を意味する「庵」を組み合わせたもので、新しいつながりのエッセンスを表現する名前となっている。
この設計がユニークなのは、世界のどこにでも建設可能という普遍的なコンセプトを持ちながら、設計の過程で設置場所の緯度を取り入れ、地元の食品廃棄物を利用することで、その土地に固有なものとして作られるという点だ。
ジョイントの角度は茶室が設置される場所の緯度から導かれる。最終的な形状の感度は環境に対応し、差し込む太陽光をフィルターする。
ドバイの緯度は25度なので、「アラビ庵」のジョイントの角度も25度となっている。8方向に伸びるジョイントは、中心軸につながる構成で設計された。
食品廃棄物と原材料も、さらなる土地固有性を加えている。
この取り組み全体が持続可能性を目指しているため、部品は分解して棚、テーブル、椅子などの家具に作り変えることができるようになっている。
ジョイントもブドウ、エンドウ豆、パスタなどの食品廃棄物から作られており、構造全体が完全に持続可能で環境に優しいものとなっている。