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中国の海産物輸入停止措置にもかかわらず、日本の消費者は地元の魚をより多く消費

2023年10月31日、東京の水産小売店「sakana bacca(さかなばっか)」で、福島産のヒラメを手にする店員。(AP)
2023年10月31日、東京の水産小売店「sakana bacca(さかなばっか)」で、福島産のヒラメを手にする店員。(AP)
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03 Nov 2023 11:11:33 GMT9
03 Nov 2023 11:11:33 GMT9

いわき(日本): 原子力事故を起こした福島原子力発電所がその放射性廃液の処理水を海に放出し始めたとき、地元の漁業界は最悪の事態を恐れた。

しかし、経営が悪化するどころか、全国の消費者がより多くの魚を食べることで地域を支えている。この需要は、脆弱(ぜいじゃく)な産業を活性化させるだけでなく、中国による日本産水産物の輸入禁止措置の影響を緩和するのにも役立っている。

「今のところ、処理水の放出について安全性を懸念する声を聞いたことは一度もありません」と、福島県小名浜港近くの「まるふと直売店」で働く原田和人氏氏は、近くでとれた伊勢エビの水槽のそばで語った。「驚きが半分、ほっとした気持ちが半分です」

全国の顧客から注文が殺到しており、その多くが「常磐(じょうばん)もの」、つまり福島とその南隣の茨城沖でとれた魚を頼んでいる。その中には、地元で人気のヒラメやメヒカリも含まれている。

夕方前までに、地元の新鮮な魚はほとんど売り切れてしまう。

東京に住むノウチ カズエさんは、友人とゴルフを楽しんだ後、観光物産センター「いわき・ら・ら・ミュウ」の海鮮市場を訪れた。「ここで魚を買って帰ろうと決めていました」と彼女は言った。彼女は、アカムツ、メヒカリ、イカ、タコなどを購入した。

常磐物が美味しいから、というよりは、地元企業を支援するためだと彼女は語った。「処理水の排出については心配していません。サンプリングの結果もチェックしているし、それを信頼しています」

福島第一原子力発電所は、8月24日、放射性廃液を処理し、希釈した処理水を海に放出し始めた。2011年の大地震と津波で冷却システムが破壊されて以来、約1000基のタンクに130万トンを超える放射性廃液が溜まっているため、その放出が必要だと関係者は述べている。

処理水を放出したとしても、タンクは2024年前半にその容量の限界に達すると見積もられており、原発の廃炉のために施設内にスペースが必要となる。これは何十年もかかる可能性があり、実現するかどうかは未定である。

放出される前に、廃液は放射性物質を安全なレベルまで減らすために処理される。その後、大量の海水で希釈され、国際基準よりもはるかに安全な水になる。

何十年も続くと予想されるこの放出に、漁業団体や近隣諸国は強く反対した。韓国では数百人規模の抗議が起こった。中国は直ちに日本産水産物の輸入を全面禁止した。これは日本の水産物生産者、加工業者、輸出業者、特に中国で珍重されるホタテやナマコを専門に扱う北日本の業者にとって、大きな打撃となった。

中国の水産物禁止令と日本の漁業への影響に関する報道は、放水に対する日本国内の批判を和らげ、人々がこの地域の水産物をもっと食べるように促した可能性がある。

「放水が始まる前は、消費者が福島の魚を敬遠するのではないかと心配していましたが、結果として、福島の魚を求める顧客が大幅に増えました」と、「sakana bacca(さかなばっか)」チェーンを運営するフーディソンの事業部長、木下太志氏は語った。「中国が日本の水産物輸入を禁止した後、福島産の魚だけでなく、水産業界を支援するために日本の水産物全般を購入するお客様が増えています」

国際原子力機関(IAEA)は7月に発表した報告書で、もし計画通りに放射性物質の処理水が放出された場合、環境や人体への影響はごくわずかであると結論づけた。放出開始後に福島を訪れたIAEAの安全調査団とサンプリング団は、これまでのところ放出は順調に進んでいると述べた。

2日には3回目の放水が始まった。福島原発を運営する東京電力は、すべてが計画通りに進んでいると述べた。

日本政府は、中国の水産物輸入禁止による打撃を軽減するために新たな市場を見つけることを目的とした救済基金を設立した。その対策には、水産物の一時的な購入、冷凍保存、国内での水産物の販売促進が含まれる。閣僚は福島を訪れ、地元の水産物を試食し、その安全性をアピールしている。東京の米国大使館は、在日米軍基地を含む新たな市場を見つける手助けをしている。

処理水排出の開始にもかかわらず、福島の魚市場でのセリ価格は安定している。

しかし、福島県漁業担当者のゴトウ カツヤ氏は、状況はまだ脆弱だと述べた。

「海水の排出やそのサンプリング結果に異常があれば、魚の評判は簡単に落ちてしまいます。そこで私たちは注意深く観察し、すべてが計画通りであることを確認しなければなりません」と後藤氏は言う。「政府と東京電力は、地元の漁業者の反対にもかかわらず、放出を始めました。そのため、私たちは彼らが正しいことをしていることを監視し、確認する必要があるのです」

AP

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