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日本の半導体大手ルネサス、ソフトウエア会社アルティウムを約8900億円で買収へ

ルネサスはトヨタ自動車や日産自動車といった自動車メーカー向けに半導体を生産しているが、アルティウムの買収によりデバイス設計ツールの分野への進出を狙っている。アルティウムは基盤設計を行うエンジニアや開発者向けのデジタルツールを提供している。(AFP)
ルネサスはトヨタ自動車や日産自動車といった自動車メーカー向けに半導体を生産しているが、アルティウムの買収によりデバイス設計ツールの分野への進出を狙っている。アルティウムは基盤設計を行うエンジニアや開発者向けのデジタルツールを提供している。(AFP)
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15 Feb 2024 07:02:20 GMT9
15 Feb 2024 07:02:20 GMT9

東京:日本の半導体大手ルネサスエレクトロニクスは15日、電子デバイス設計ツールを手がけるアルティウムを59億米ドル(約8879億円)で買収すると発表した。ルネサスはこれまで自動車向け半導体を手がけてきたが、今後はデジタルデバイス設計ツールの顧客への提供を目指す。

今回の買収によりルネサスは、日本の半導体産業におけるM&Aレースの最前線に立った。地政学的な問題に耐えられるよう、政府は半導体産業の競争力を上げ、サプライチェーンのレジリエンスを高めようとしている。

ルネサスはトヨタ自動車や日産自動車といった自動車メーカー向けに半導体を生産しているが、アルティウムの買収によりデバイス設計ツールの分野への進出を狙っている。アルティウムは基盤設計を行うエンジニアや開発者向けのデジタルツールを提供している。

「伝統的な機器メーカーのままでいては、わが社は取り残されてしまうだろう」と、ルネサスの柴田英利社長は記者会見で述べた。

ルネサスはアルティウム株を1株あたり68.50オーストラリアドル(14日の終値に34%を上乗せした額)で買い上げる。資金は手元現金と銀行からの借り入れでまかなうという。

アルティウムは米国に本社を置き、オーストラリアで上場している企業だ。2023年6月期決算の売上高は2億6300万米ドルで、EBITDAマージンは36.5%だった。

「(買収により)さらに速いペースで(ビジネスを)遂行できるようになるだろう」と、アルティアムのアラム・ミルカゼミ最高経営責任者(CEO)は記者会見で述べた。

ルネサスによれば、今回の買収案はすでに両社の取締役会で承認されているが、実現にはさらにアルティウムの株主とオーストラリアの裁判所と規制当局からの承認が必要となる。買収手続きの完了は今年下半期を見込んでいる。

発表を受けてルネサスの株価は最大で4.9%下落したが、買い戻しが出て後場の下げ幅は1.3%程度(2568円)程度となった。アルティウムの株価(前日の終値)は今年に入って9.4%上昇していたが、発表を受けて28%高の65.83オーストラリアドルまで跳ね上がった。

「(買収価格が)高すぎるということはないと思う」と、auカブコム証券の河合達憲チーフストラテジストは言う。「だが(市場の)プレーヤーたちが前向きに反応していないのは、この買収が長期的な成長にどのように貢献するのかまだ納得が得られていないということも意味する」

アルティウムによれば、取締役会は株主に対し、これ以上に有利な買収提案がなく、独立した専門家が株主にとって買収案が最大の利益であると結論づけた場合にはこの買収を支持するよう呼びかけている。

「(買収は)アルティウムの戦略と業績への強い支持の表れだ」とミルカゼミCEOは述べた。

アルティウムは2021年にソフトウエア会社のオートデスクから39億米ドルで買収を持ちかけられたが、金額が低すぎると拒否。オートデスクは交渉を打ち切った。

「取締役会が全会一致で支持していることや、前日終値に大幅に上乗せした買収額が提示されたことから、買収案は(株主から)支持され、承認されると思われる」と、E&Pキャピタルのアナリスト、ポール・メイソン氏は顧客向けのレポートで述べている。

相次ぐ日本企業による企業買収

LSDGが12月下旬に発表したデータによれば、2023年の日本企業による海外でのM&Aの総額は前年比71%増の560億米ドルだった。アジアの経済大国の中で昨年、海外でのM&Aが増加したのは日本だけだった。ちなみに過去最高記録は2018年の1780億米ドルだ。

この数週間の間を見ても、日本製鉄が米鉄鋼大手のUSスチールを149億米ドルで、積水ハウスが米住宅メーカーのMDCホールディングスを49億5000万米ドルで買収すると発表。背景には、日本企業が国内での人口減少によるビジネスへの悪影響を相殺するために海外での収益源を開拓していることがある。

ルネサスは2010年に、日立製作所と三菱電機の半導体部門の合併により生まれたルネサステクノロジと、NECの半導体部門の統合により誕生した。

ルネサスは経営不振にあえぐ中で政府系ファンドの傘下に入り、工場の閉鎖や従業員の解雇を行った末に黒字化を達成。その後、政府系ファンドはルネサス株を売却した。

黒字達成後のルネサスは、海外企業の買収を相次いで行った。2016年には半導体メーカーのインターシルを32億米ドルで、2018年には同業のインテグレーテッド・デバイス・テクノロジーを67億米ドルで買収すると発表した。

また先月には、米パワー半導体企業トランスフォームを3億3900万米ドルで買収すると発表。電気自動車に使われる窒化ガリウム半導体事業への進出を狙ってのことだ。

ロイター

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