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ファーウェイ、米国の圧力に苦しむ

ファーウェイは中国最大の国際的な成功例の1つであるが、スパイ活動の告発をめぐって米国から激しい非難を受けている。(AP通信)
ファーウェイは中国最大の国際的な成功例の1つであるが、スパイ活動の告発をめぐって米国から激しい非難を受けている。(AP通信)
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21 Aug 2020 08:08:07 GMT9
21 Aug 2020 08:08:07 GMT9
  • 通信大手、今や世界最大のスマートフォンメーカー、ワシントンで疑惑の対象になる
  • ファーウェイは1987年、元軍事技術者の任正非氏により設立された

北京:アメリカ政府が自国の通信事業者にファーウェイのネットワーク機器を購入しないよう指示し、同盟国に、この中国初の世界的テックブランドを安全保障上の脅威として拒絶するよう働きかける中、ファーウェイは約10年間、全世界の売上高の増加を続けてきた。

ヨーロッパ、アジア、アフリカ、中国の成長市場に集中し、ファーウェイは世界最大の交換機メーカー、そして主要なスマートフォンブランドとなった。トランプ政権が米国製の部品やグーグルの人気音楽などのスマートフォンサービスへのアクセスを遮断する中、ファーウェイは独自のプロセッサチップやアプリ開発を発表した。昨年の売上高は19%増の1,230億ドルだった。 

現在、ファーウェイは、米国政府が、先鋭化する米中対立の中、同社による外国市場や部品へのアクセスを遮断するキャンペーンを強化しているため、苦境に立たされている。

ファーウェイの機器を購入したヨーロッパや他の携帯電話キャリアは、ネットワークからファーウェイ製品の排除に取り掛かっている。ファーウェイは6月にライバルのSamsungとAppleを抜きNo.1スマートフォンブランドになった時には良いニュースも一瞬現れたが、現在、海外の需要は急落している。

「ファーウェイは中国以外の市場シェアをかなり劇的に失っている」業界アナリストのPaul Budde氏は言う。「彼らの国際的な地位は、良くなるどころか悪くなる可能性が高い。」 

ファーウェイにとって最新の打撃では、米国商務省が今週、5月に公表した新規則を正式に発表した。この規則では米国以外の企業が米国の技術を使用して米国政府のライセンスなしにファーウェイのプロセッサチップや他の部品を製造することを禁止している。 

ファーウェイの消費者向け事業のRichard Yu社長は、スマートフォン用のチップが不足していると述べている。Yu氏によると、9月15日の時点で、請負業者はファーウェイの技術者が設計したKirinチップの製造を中止せざるを得なくなるという。 

「これはわれわれにとって非常に大きな損失です」Yu氏は8月8日、業界カンファレンス「CHINA INFO 100」でこう述べた。

ファーウェイは、トランプ政権がクリーン・ネットワークと呼ぶ構想の中で、セキュリティー上のリスクとして標的にしている中国のハイテク企業の増え続けるリストで先頭に立っている。トランプ政権は、各国が、通信システム、海底ケーブル、アプリストアのサプライヤーとして、中国のハイテク企業を排除することを望んでいる。 

トランプ政権は、中国が所有するプラットホーム「TikTok」と「WeChat」との不特定の取引を禁止し、TikTokの所有者に売却を迫っている。6月には、国防総省はファーウェイと監視システム企業のHIKVISIONを、中国共産党の軍部が所有または支配しているとした企業のリストに追加した。昨年、「Grindr」の所有者である中国企業はこの出会い系アプリの売却を命じられた。 

ただ、ファーウェイは潰れるには程遠い。2020年上半期の売上高は13%増の4540億元(650億ドル)だったという。しかし、次世代技術のリーダーになるために10年と数十億ドルを費やした後、同社は多くの主要市場から締め出されるという脅威に直面している。 

これは、中国を世界的なテックリーダーにしようとする中国共産党の野望にとって痛手だ。

欧米の企業や消費者はまた、ライバルのエリクソンやノキアよりも30%安い価格で提供されるファーウェイのリソースへのアクセスを失う可能性がある。 

プロセッサチップや他の技術を供給する米国、ヨーロッパ、および日本のサプライヤーは、ファーウェイに対する数十億ドルの売上を失うことになる。「ファーウェイを除外してもどの国の利益にもならない」IDCのNikhil Batra氏は述べた。 

ファーウェイは1987年に元軍事技術者の任正非氏によって設立されたが、中国政府のスパイ活動に協力することはないとしている。中国の当局者は、米国政府が自国のハイテク企業の競争相手を妨害するために、証拠もなく、偽の安全保障上の不安を煽(あお)っていると不満を漏らしている。

トランプ政権は同盟国への圧力を強めており、次世代ネットワーク(5G)へのファーウェイの参入を許可した場合、情報共有を控えると脅すなどしている。 

ファーウェイは、同社および競合会社の中国企業ZTEが2012年に米国議会の委員会によって安全保障上の脅威であると宣言された後、米国市場を失った。地方の小規模な通信事業者は今でもファーウェイの低コスト機器を使用しているが、米国政府は使用をやめるように促している。 

5Gは、自動運転車、工場用ロボット、遠隔手術、そのほかの未来的な用途を支えるネットワークを拡大するだろう。そのため、5Gはより侵入的になり、潜在的なセキュリティー侵害のコストが上昇する。

米国の当局者は、供給元が修理やアップグレードのために24時間アクセスする必要があるため、中国から5Gネットワークを購入するのはリスクが高すぎると述べている。クリーン・ネットワークはファーウェイを、中国共産党の「監視国家」の一部として挙げている。

マイク・ポンペオ国務長官は、「われわれは、自由を愛するすべての国と企業にクリーン・ネットワークに参加することを呼びかけている」と述べた。

昨年、ドナルド・トランプ大統領が米国のプロセッサチップやグーグルのサービスを含む他の技術へのアクセスをブロックした後、ファーウェイは自社製品から米国製の部品を排除しようと躍起になった。 

中国共産党は、ファーウェイの市場アクセスをブロックした国に対して何らかの結果を招くと警告することで抵抗してきた。

直近の制裁の後、中国外務省は米国政府に対し、中国企業に対する「弾圧を止める」よう要求した。 

「ファーウェイなどの中国企業に対する米国の弾圧がヒステリックであればあるほど、これらの企業の成功を証明している」と中国外務省の報道官、趙立堅氏は主張した。 

ファーウェイが2019年の売上高の4分の1を稼いだ欧州では、ドイツとフランスが5Gでどのような役割を果たすかを判断中だ。英国は1月に同社製品の限定使用に合意したが、7月に方針を変更し、ファーウェイを同国のモバイルネットワークから追放した。

英国の携帯キャリアBTとボーダフォンも欧州のネットワークからファーウェイを排除している。

ボーダフォンは、他国の政府が同様の制限を課した場合、ヨーロッパでの5Gの展開は最大5年遅れる可能性があると警告している。

「そうなれば破滅的になるだろう」同社CEOのニック・リード氏は2月、そう言って懸念を示した。

オーストラリアはファーウェイの5Gネットワークへの参入を禁止しており、日本と台湾はファーウェイの技術の利用を制限している。一方、米国当局者は、エリクソンやノキアのような「信頼できるサプライヤー」を推進している。また、ブラジルなどに対し、ファーウェイの機器の使用を避けて、欧米の機器を購入するための支援をする可能性があると述べている。

AP通信

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