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サウジと中国の気候変動対策、電気自動車が原動力に

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08 Dec 2022 02:12:21 GMT9
08 Dec 2022 02:12:21 GMT9
  • 中国は世界最大のEV市場であり、世界シェアの53%を占めている
  • サウジアラビアは独自のEVブランド「Ceer」を立ち上げており、米国の自動車メーカー「Lucid」(ルーシッド)の株式を保有している

アラブニュース

リヤド:中国とサウジアラビアは世界を代表するエネルギー大国であり、気候変動をめぐる議論では、世界の視線がこの両国に向けられている。

サウジの石油生産と中国政府の石炭採掘事業に注目が集まる中、両国は電気自動車(EV)の活用による脱炭素化というビジョンを共有している。両国の真価が問われるのは、まさにこれからといえる。

電気自動車は、サウジアラビアと中国が熱意を共有するとともに、技術革新とその実行面で世界を主導するべく、さらに協力関係を深めることができる分野だ。

サウジアラビアは、「ビジョン2030」として知られる経済多様化計画において、電気自動車を重要な産業と位置づけてきた。

世界最大の石油輸出国であるサウジは、化石燃料からの脱却が世界的に進む中、この電気自動車分野を成長のきっかけと捉えており、海外企業だけでなく、国産の関連製品への投資も進めている。

そのようなサウジの海外における後ろ盾として浮上しているのは、米系企業のLucidだ。2018年、サウジの公共投資ファンドは同社に10億ドルを注ぎ込み、現在60%の株式を保有している。

この投資を受け、Lucidは2022年2月、ジェッダ北部のキング・アブドゥラー経済都市(KAEC)に同社初の国際自動車組立工場を建設すると発表した。

サウジアラビア政府は、この分野への注力をさらに明確化するために、Lucidと10年間で最大10万台のEVを購入する契約を結んだ。

サウジでEVを生産するのは、Lucidだけではない。今年10月、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、サウジ独自のEVブランド「Ceer」の立ち上げを発表した。

Ceerは、Lucidと同様にKAECの工場で自動車を生産する企業で、総工費6900万ドルの施設の建設が2023年初頭に開始される予定だ。

Ceerは、中国最大の民間雇用主であるFoxConn社(本社・台湾)との合弁事業であり、サウジアラビアと極東経済圏との結びつきをより強固にするものだ。

CeerはBMWから部品技術のライセンスを受け、サウジ国内でセダンやスポーツ用多目的車(SUV)を含む車両の設計・製造を行う。

一方、FoxConnは車両の電気的アーキテクチャを開発し、インフォテインメント、コネクティビティ、自律走行技術をリードする製品ポートフォリオを実現しようとしている。

もちろん、サウジは、国内市場を満足させるために世界有数のEV生産国になろうとしているわけではない。

サウジアラビアの経済多角化戦略だけでなく、世界的なCO2排出量削減のためにも、こうした自動車の輸出は重要な役割を担うことになる。

中国市場への参入には、困難が伴うかもしれない。

中国政府は、国民にEVへの乗り換えを奨励するため、購入補助金を提供している。その結果、中国はシェア53%を占める世界最大のEV市場に成長した。

中国政府は、2035年までに中国国内の新車販売台数の50%をEVが占めると予測しており、EVに対する強い意欲を今後も持ち続けることが予想される。

それでも、今年9月に過去最高の8万3,135台の国内販売台数を中国で記録したテスラのような企業が、市場で好調な業績を示す中、中国には成長を続ける生産部門があり、輸入への依存度は低くなっている。

しかし、多くの国がそうであるように、ガソリン車よりも高い購入価格が、EVの大量普及に立ちはだかる大きな障壁の一つとなっている。

サウジアラビアは今後、ジェッダのすぐ北に建設される電気自動車の大規模生産ハブを利用して、世界最大の市場である中国向けに、手頃な価格の自動車を製造する立場になる可能性もある。

そうした目標を達成できれば、サウジが「ビジョン2030」で掲げている「非石油部門の輸出をGDPの50%にする」という目標の達成も近づくことになるだろう。

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