• 合意分野は環境配慮型エネルギー、テクノロジー、物流、建設、製造など多岐にわたる
• 主たるものとして、サウジアラビアのビジョン2030と中国の一帯一路構想を連携させる旨の合意がある

ラマ・アルハマウィ

リヤド：中国のサウジアラビアの組織が関与する35の投資協定が調印されたことによって、両国間の商業的繋がりは大幅に強化された。

一連の協定は、習近平中国国家主席によるサウジアラビアの訪問に際して締結され、環境配慮型エネルギー、テクノロジー、クラウドサービスなど様々な分野にわたっている。

交通、物流、医療産業、建設、製造業、さらに石油化学プロジェクト、住宅開発、中国語教育も協定の対象とされた。

これら協定は約300億ドル相当の価値を有するものであり、中国が新型コロナウイルスにより打撃を受けた経済の立て直しを図り、サウジアラビアがビジョン2030に沿って経済的・政治的提携の多角化を続けている中で結ばれたも。

これらの協定は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と習主席が見守る中で調印された。最初に調印されたものは、サウジアラビアのビジョン2030と中国の一帯一路構想との連携計画であった。

他には水素エネルギー分野での基本合意書があり、これはサウジアラビアのエネルギー大臣であるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子と中国国家発展改革委員会の何立峰委員長が調印した。

また、サウジアラビアのワリド・ビン・モハメド・アル・サマーニ法務大臣と中国の王毅国務委員兼外務大臣は、民事、商事、個人の身分事件における協力および司法支援に関する協定に調印した。

サウジアラビアのユセフ・ビン・アブドゥラー・アル・ブニャン教育大臣と中国の王毅氏は、中国語教育のための協力協定に調印した。

サウジアラビアのハーリド・ビン・アブドルアジーズ・アル・ファーレフ投資大臣と中国の王文濤商務大臣は、直接投資を促進する協力協定を締結した。

また、住宅に関する協力協定の諸条項の活性化に向けた行動計画についても合意され、サウジアラビアのマジッド・アル・ホガイル都市村落・住宅大臣と中国の王文濤氏が調印した。

これらの基本合意書や協定の調印に続き、キングサウード大学から中国の国家主席に行政学の名誉博士号を授与する式典が開催された。

サウジアラビアのハーリド・アル・ファーレフ投資大臣は、今週の訪問によって「両国の経済・投資協力の歩調が速まるでしょう」と述べ、中国の企業や投資家は「見返りのある報酬」を受けるであろうと述べた。

政府通信部は声明で、クラウドコンピューティングおよびサウジアラビアの都市におけるハイテク複合施設建設に関する中国の華為技術との協定も締結されたと発表した。

サウジアラビアのAJEXロジスティクス・サービス社は、サウジアラビアと中国の関係強化により利益を得ようとしている企業の一つである。

同社は中国首脳の訪問を記念して、同社の中国と中東への拡大戦略の一環として、2つの新サービス開始を発表した。

まもなく同社を利用して、中国からサウジアラビア、アラブ首長国連邦、およびバーレーン宛に、1個から複数個の貨物を4～7日で送ることができるようになる。

他方、サウジアラビア投資省と山東革新集団との間では、アルミニウム工場の建設に関わる協定が締結された。

中国の化学会社である金発科技、上海の風力タービン・エネルギー管理ソフトウェア会社であるエンビジョン、北京に本社を置く中国中信集団公司との間でも基本合意書が締結された。

サウジアラビア輸出開発庁のアブドルラハマン・アル・トゥカイル最高経営責任者は、様々な協定によるサウジアラビアと中国の強力な経済関係を称賛している。

アル・トゥカイル氏は、両国間の貿易取引量の成長および発展を称え、中国はサウジアラビアにとって主要な貿易パートナーの1つであると述べた。

また、サウジアラビアから中国への非石油輸出総額は2021年に360億リヤル（95.7億ドル）に達しており、主なものとして石油化学製品が317億リヤル、鉱物が20億リヤルとなった点を指摘した。

8日木曜日の動きを受けて、メディア省の国際メディア部長であるハッサン・アル・シャマリ氏は、サウジアラビアは今や中国産業にとって「ハブ」であると述べた。

同氏はアラブニュースの取材に対して次のように語った。「今や、サウジアラビアに中国のあらゆる工場のための地域センターが開設されようとしており、これにより、サウジアラビアは中国の産業にとってのハブとなるでしょう。中国のシルクロードは、サウジアラビアのビジョンと共に役割を果たすことになります。両国は関係強化に関心を示しており、我々は両国間で行われる訪問によって中国とサウジアラビアの両方から利益を得るでしょう」

また、「今回の中国国家主席の2度目の訪問は非常に重要です。私たちは1100億リヤルの契約に署名し、20以上の合意書を結ぼうとしているのです。これは、両国にとって10年に一度の取引です」と付言した。

アル・シャマリ氏は、中国国家主席による今回のサウジアラビア訪問と、サウジ・ビジョン2030と中国の一帯一路構想が足並みを揃えた目標の重要性を強調した。

同人は「これらの重要な合意は、サウジ・ビジョン2030の両方の目的に役立つと同時に、中国の目的にも役立つでしょう」と述べ、次のように付け加えた。「中国はエネルギーと石油の継続的供給を必要としています。私たちは中国にとって重要であり、中国もまた私たちにとって重要なのです」

「サウジアラビアと中国の二国間関係は非常に強く、中国はサウジアラビアにとって最大の商業的パートナーです。両国間では年間670億ドルの取引が行われており、両首脳はこの関係のさらなる発展を期待しています」と述べた。

アル・シャマリ氏は、中国は世界第2位の経済大国であり、サウジアラビアはビジョン2030を目標として進んでいることから、新技術の移転が必要であると語った。

さらに、「今回の首脳会談は、この二国間関係をさらに強化するうえで重要な時期に開催されるものです」と付け加えた。

サウジアラビアのエネルギー大臣であるアブドルアジーズ・ビン・サルマン王子が近時認めたとおり、サウジアラビアは、アジア、アフリカ、欧州の3大陸の間に位置する同国の戦略的立地を活かして、中国の工場のための地域センターを開設する予定である。

また、同大臣は、中国の一帯一路構想との連携や、両国での統合精製・石油化学複合施設への投資も再確認した。

バンダル・ビン・イブラヒム・アル・ホレイフ産業・鉱物資源大臣は、「両国間の協力は過去5年間に著しい成長を遂げました」とアラブニュースに語った。

2019年2月に皇太子が中国を訪問した際、両国は製造業、石油化学、医薬品などを含む複数の分野を網羅する共同プロジェクトを立ち上げる契約を締結した。

アル・ホレイフ大臣は、両国はすでに良好な協力の歴史を築いていると述べ、サウジアラビア工業団地公団で既に稼働している、様々な分野における中国の工場7施設を例に挙げた。

これに加えて、10施設の工場が、計画、建設、および実施段階にある。

さらに、ジュベイル・ヤンブー王立委員会には中国企業とのプロジェクトが約12件あり、一部は既に稼働中、その他は計画中または設計中などさまざまな段階にある。

サウジアラビアと中国の緊密な関係から利益を得ているのは、企業集団だけではない。

サウジアラビアのシンクタンク であるアブドラ国王石油調査研究センター（KAPSARC）は、中国の経済技術研究機構との間で、エネルギー、経済、気候変動に関する情報交換のための基本合意書に調印した。

同基本合意書に基づき、両機関は実用的な知見を生み出すため、手を携えて研究に取り組むだろう。

優先されるべき共通の関心分野には、エネルギー、経済、気候変動、持続可能性、エネルギー転換、生産性、水素、二酸化炭素回収などが含まれる。

同基本合意書は、応用研究およびイノベーションを活用して世界のエネルギー分野を推進するというKAPSARCの使命に沿ったものであり、一方、中国側組織は石油・ガス会社の中国石油天然気集団公司と提携している。