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中小企業がサウジアラビアの経済成長の推進力

リヤドの街の全景。サウジアラビアの中小企業庁(Monshaat)は、国内の中小企業の成長を加速させている。(Shutterstock)
リヤドの街の全景。サウジアラビアの中小企業庁(Monshaat)は、国内の中小企業の成長を加速させている。(Shutterstock)
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01 Jan 2023 07:01:00 GMT9
01 Jan 2023 07:01:00 GMT9

ニルマル・ナラヤナン

リヤド:サウジアラビア王国が、ビジョン2030で描かれた目標に従って長く石油に依存してきた経済の多様化を進める上で、中小企業は計算に入れるべき勢力だ。

新型コロナウイルス感染症がグローバル経済を崩壊させても、サウジアラビアの中小企業は、サルマン国王とムハンマド・ビン・サルマン皇太子の未来志向の指導力のもとで堅実に成長し続けている。

2022年、世界がパンデミックの影響から立ち直り始める中、政府がサウジアラビアの中小企業に提供した支援は企業の回復の一助になった。

政府は、緩和的な環境の創出を狙った新たな規制、改革、財政支援により、中小企業セクターを国内の経済成長の原動力に転換させている。

中小企業庁の役割

サウジアラビアの中小企業庁(Monshaat)は、国内の中小企業の成長を加速させている。

国営の同庁は、ビジネスインキュベーター、ビジネスアクセラレーター、コワーキングスペースをはじめ、中小企業の市場での進化と成功を促す起業家的なプラットフォームを提供している。また、中小企業や急成長中のユニコーンを対象に、政府の手数料の払い戻しや直接的・間接的な融資プログラムを促進している。

中小企業庁は、これらのイニシアチブを通してビジョン2030に定められた目標を達成し、失業率を11.6%から7%に引き下げ、女性の労働力参入を22%から30%に増やし、中小企業の国内総生産への貢献をこの10年間で35%に拡大させている。

中小企業の目覚ましい成長

2022年に中小企業は目覚ましい成長を遂げた。サウジアラビアで登記されている中小企業の数は6月末に892,063件に達し、2021年の第4四半期から25.6%増加している。

中小企業庁は、「SMEモニター」と題する報告書の中で、スタートアップを最も引きつけている地域はリヤドとメッカで、2022年上半期の時点で、国内の中小企業の35.4%がリヤド、21%がメッカにあると述べた。

同報告書はさらに、45%の中小企業の経営者が女性であり、サウジアラビアが国内の男女格差の縮小に成功していることを明らかにした。

同報告書は、2022年前半の規制改革が国内の女性起業家の数を増やす上で重要な役割を果たしたとした。その多くは、食品、卸売・小売、健康と専門的分野、またそれらの業界を支えるサービス産業を運営している。

規制の変更

サウジアラビア内閣が起業を後押しすることを目的とした新会社法を承認したのは6月28日だった。

国立家族企業センターのガッサン・アル・スライマン代表は、新会社法は、特に家族経営の企業や中小企業において、投資を促す発展的かつ刺激的な環境を用意する上で極めて重要な役割を果たすと述べた。

新会社法のもとで、設立、運営、投資回収の段階における多くの制限と、社名の制限が取り除かれた。

11月、サウジアラビア内閣は、中小企業銀行システムを承認した。銀行が支店を設立せずにすべての商品とサービスをデジタル形式で提供できるようにすることを目指すものだ。

その承認後、閣僚はカファラ中小企業ローン保証プログラムを中小企業庁から中小企業銀行に移管することも認めた。

10月初旬、石油大手のサウジアラムコは、30億リヤル(7億9,800万ドル)以上の資金を調達し、国内の中小企業セクターを支援するタリード・プログラムを始動させた。

アラムコの発表によると、タリードは20のイニシアチブが特徴で、その内容はスキルアップした地域の人材と仕事のマッチング、中小企業向けのビジネスチャンスの創出、中小企業の支援とエコシステムの実現など3つの多様なグループに分類されるという。

4月、サウジアラビア輸出入銀行は、中小企業庁と国際イスラム貿易金融公社との三者間で、中小企業の輸出を支援するプログラムを開始するための基本合意書に署名した。

この合意は、中小企業のデジタル転換を加速させてその輸出能力を高めるほか、保険、商品、金融保証を通して間接的に資金を提供することを目的としている。

国際イスラム貿易金融公社CEOのハニ・ソンボル氏はアラブニュースに対し、「この同意書はサウジアラビアのシャリアに準拠した中小企業が新たな市場にアクセスすることも奨励するものだ」と述べた。

サウジアラビアが旅行・観光セクターで飛躍する中、8月に観光開発基金は国内の中小企業を支援し、発展させるために1億3,300万ドルの基金を立ち上げた。

国家観光戦略に沿って、「アウン・ツーリズム」プログラムは、国内の2,000社以上に資金を提供する予定だ。

この3年間のプログラムは、国内で働くツアーガイド、オペレーター、施設、旅行代理店、イベント企画者のために資金、教育、研修を保証する。アラブニュースの独占取材に応じたTDFの最高事業責任者のワフダン・アル・カディ氏は、同プログラムは国内の中小企業に財政的・非財政的支援を行うと述べた。「財政支援と非財政支援を用意している。中小企業に事業運営を指導するビジネスアプリもある。中小企業向けの10のさまざまなプロダクトでスタートアップローン、運転資金、資産融資を提供し、他にも支援のためのプロダクトを多く揃えている」とアル・カディ氏は説明した。

技術革命 

サウジアラビアの中小企業は、猛烈な勢いで成長しているとはいえ、グローバル化して国際的な競争力を持つには、さらに変革を進め、事業における技術に精通する必要がある、と多国籍プロフェッショナルサービスネットワークのKPMGはある報告の中で指摘した。

KMPGは、サウジアラビアの中小企業はサードパーティを利用してデジタル化を加速し、新しいデジタルソリューションの構築に不可欠な技術的なスキルと経験を活用できるようにする必要があると報告している。

国家産業開発・物流プログラムCEOのスライマーン・アル・マズルーア氏は、サウジアラビアの中小企業は、物流の欠落部を埋める革新的な技術のアイデアを開発しなければならないと述べた。

「物流管理のこの分野(技術)はとりわけ中小企業にとっては魅力的で、その分野の変革は非常に開かれた状態にある。物流の欠落部を埋める中小企業の参入が増えれば、生産に要する時間とコストが減る。そして、競争が生じたところでは必ず変革の役割が大きくなる」とアル・マズルーア氏はアラブニュースに語った。

サウジアラビアがビジョン2030で骨子を描いた目標の達成に向けて動き続ける中、国内の中小企業は、今後数年間で国の様相を変える原動力として浮上してくると予想されている。

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