アラブニュース

ドバイ：第10回世界政府サミット（World Government Summit、WGS）が13日、アラブ首長国連邦（UAE）で開幕し、開会式では、各国からの代表団に向けて、これからの世界政治における成功は、テクノロジー、特に人工知能（AI）を政府および産業組織がどう取り込んでいくかにかかっているとのアピールがなされた。

WGSの会長を務めるムハンマド・アブドゥラー・アル・ゲルガウィUAE内務相は、開会の挨拶で「2013年に（WGSを）立ち上げたとき、私たちは多くの課題に直面したが、それらはすべて、一部の政府の失策を原因としている部分があった」と振り返った。

13日にドバイの超一流ホテル、マディナ・ジュメイラで行われた開会式で演説したアル・ゲルガウィ内務相は、近年、予想外のコストにつながる事態が何度か起きているが、特にウクライナでの戦争は、非常に多くの難民を生み出しているだけでなく、すでに2兆8千億ドル（約360兆円）にのぼる費用を発生させていると指摘した。

また、世界は過去60年間で最も高い食糧コストに直面しており、気候変動の影響は拡大を続けていることにも注意を促した。

さらに、現在は紛争が難民が生まれる主な原因となっているが、気候変動による難民が大半を占める状況へと急速に移行しつつあるとアル・ゲルガウィUAE内務相・WGS会長は警告した。

一方、地政学的な問題は今後も進歩の障害ではあり続けるが、その影響を受けないバーチャルな世界の発達は、これまで以上の勢力変化をもたらすだろうとして、アル・ゲルガウィ氏は、「データの所有が力を意味するようになっています」と時代の変化を強調した。

インターネット上のすべての情報を印刷するには3000億ページが必要で、その数は増え続けているとアル・ゲルガウィ氏は述べ、世界は人工知能を完全に理解し、その能力を管理可能にしておく必要があるとした。

また、人工知能の能力を示す例として、アル・ゲルガウィ氏は、将来的にはメディアの90％がプレスリリースや論説コラム、ニュース記事などあらゆる側面において人工知能によって制作されるようになるだろうとの予測を述べた。

「”地政学的な問題 “は過去のものになる。新しい時代の戦いは、技術的・政治的な問題をめぐるものになるだろう」とアル・ゲルガウィUAE内務相・WGS会長は付け加えた。

新しいテクノロジーの時代に適応できない国や組織は遅れをとり、「前時代的な存在」に見えてしまうようになる、とも同氏は述べている。

一方、世界経済フォーラムの創設者兼会長、クラウス・シュワブ氏は、世界の脱グローバル化はこれまでも話題になっていたが、今やその脱グローバル化こそが、人類と地球が進歩を継続していける道なのだと述べた。

「私たちは、1つの超大国が他を圧する力を持つ世界から、多くの国や組織が力を競い合う状況へと移行している」ともシュワブ氏は指摘した。

また、世界が技術的な変革とともに前進し、発展していくことの方が、危機で受けた損害から回復しようとするよりも重要であるとシュワブ氏は強調した。「新しいテクノロジーには、何とかついていくという選択肢はなく、最先端を行くしかないのだ」

そして、テクノロジーの世界の中でリーダーシップを獲得することが鍵になると、シュワブ氏は語った。

「これからの時代のテクノロジーがどう機能するかを理解し、未知のものへの恐怖心を取り除かなければならない。また、テクノロジーが役に立つ良いものだということを、各国政府が示す必要がある」とシュワブ氏は付け加えた。