• アル・ジャーベル氏はドバイで開催中の世界政府サミットでの演説で、指名を受けている自らのCOP28議長の地位を、石油関連企業と気候変動活動家たちとの間の橋渡し役としてアピールしようと試みた
• COP28は11月30日から12月12日まで、ドバイのエキスポシティで開催される

ドバイ：今年、アラブ首長国連邦（UAE）で開催される第28回国連気候変動枠組条約締約国会議（COP28）の議長を務める、スルターン・アル・ジャーベルUAE産業・先端技術大臣は14日、世界に向けて「互いに争うのではなく、気候変動と共に戦うべきだ」と訴えた。抗議運動に力を入れる活動家たちに直截にメッセージを送った形だ。

国営石油会社アブダビ国営石油（ADNOC）の最高経営責任者（CEO）でもあるアル・ジャーベル氏はまた、今年の開催されるCOP28は「エネルギー産業にテクノロジー革命を活かしていく前例のない機会」であると位置づけた。

アル・ジャーベル氏の発言は、ドバイで開催されている世界政府サミット（World Government Summit、WGS）での演説の中でのものである。この演説でアル・ジャーベル氏は、指名を受けている自らのCOP28議長の地位を、石油関連企業と、炭素排出量制限の取り組み石油産業が影響力を行使しているのではないかと長い間疑念を抱いている気候変動活動家たちとの間の橋渡し役としてアピールしようと試みていた。しかし、そのような役目が実際に果たせるかどうかには、今の段階では疑問が残る。

「大幅な軌道修正が必要だ」とアル・ジャーベル氏も語っており、状況の複雑さを認めている。

Sultan AlJaber, Ministry of Industry and Advanced Technology, delivers a speech at @WorldGovSummit titled "The Road Map to COP28: Prioritizing Action"#WGS2023#WorldGovSummit pic.twitter.com/Qqy3DdpgdY

— Dubai Media Office (@DXBMediaOffice) February 14, 2023

しかし、同氏は次のようにも訴えている。「私たちが追求する戦略は、誰かを置き去りにするものであってはならない。私たちが選択する施策は、成長の促進と、気候変動の抑制を同時に実現するものになる」

49歳のアル・ジャーベル氏は、長年気候問題に関するUAEの特使を務めており、同国のシェイク・ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン大統領からの信頼も厚い人物である。

アル・ジャーベル氏は、再生可能エネルギーへの数十億ドルに及ぶ投資の後ろ盾ともなっている。米国のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使とフランスの財務相は、中東の重要な同盟国であるUAEによるアル・ジャーベル氏のCOP28議長指名を支持している。

「歴史にはこれまで、人類が共通の脅威と戦うために団結した瞬間が何度かあった。もう一度、私たちにそれができることを証明しようではないか」とアル・ジャベール氏は訴えた。「相違する部分はひとまず置いておけば良い。互いに争うのではなく、気候変動と共に戦うべきだ」

アル・ジャーベル氏の今回の演説の一部は、1月に同氏が行った演説でも既に述べられていた。「“損失と損害”基金を実現し、運用するためには資本が重要である」ことも同氏は認めている。この基金は、エジプトのシャルム・エル・シェイクで開催された前回のCOP27での協議で合意されたものだが、資金調達の手段については言及されていない。アル・ジャーベル氏の今回の演説でも、資金調達の方法についての提案はなかった。

しかし、アル・ジャーベル氏は、再生可能エネルギーの能力を3倍にすること、原子力の拡大、バッテリー貯蔵の改善、炭素捕捉技術の提供などを世界に呼びかけた。また、OPEC加盟国であるUAEが気候変動会議を主催することを擁護し、大多数を占めるUAEからの聴衆から拍手を集めた。

「私たちUAEは、エネルギー転換に尻込みしているわけではない」とアル・ジャーベル氏は語った。「私たちは、転換に向かって突き進んでいるのです」

毎年、COPと呼ばれる国連による交渉の場、気候変動枠組条約締約国会議を主催する国は、会議の議長を指名する。この会議では、競合する国や利害関係者の間で舵取りが難しくなるため、主催国はベテランの外交官を指名するのが通例となっている。

指名された人物の「COP議長」としての地位は、通常、異議が申し立てられることはなく、会議の開始時に出席者によって是認される。しかし、アル・ジャーベル氏の指名については、活動家たちが数週間前から批判を続けている。

AP