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サウジアラビア、建設業とAIが将来の雇用の中心に:PMI関係者

5月初め、米国・サウジアラビアビジネス協議会が発表した報告書によると、サウジの建設セクターでは2022年に受注契約額が前年比35%増の513億ドルまで増加した。(ロイター)
5月初め、米国・サウジアラビアビジネス協議会が発表した報告書によると、サウジの建設セクターでは2022年に受注契約額が前年比35%増の513億ドルまで増加した。(ロイター)
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19 Jun 2023 02:06:26 GMT9
19 Jun 2023 02:06:26 GMT9
  • サウジアラビアは今後数年間、国民と海外の人材に対しより多くの雇用機会を提供する

ニルマル・ナラヤナン

リヤド:数十年にわたり豊富な石油埋蔵量に依存してきたサウジアラビアは現在、経済多様化の道を歩んでいる。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下は、「ビジョン2030」により、サウジアラビアが非石油民間セクターでも優れたパフォーマンスを発揮できることを証明している。  

サウジアラビアの民間セクターが急速に拡大するにつれて、同国は今後数年間、国民や海外の人材に対しより多くの雇用機会を提供することが期待される。 

NEOMのようなギガプロジェクトは、人工知能のような最新技術を含む様々なセクターで雇用を提供するとともに、建設セクターで膨大な雇用機会を提供している。

建設セクターへの注目

プロジェクトマネジメント協会(PMI)の中東・北アフリカ地域担当地域マネージングディレクターを務めるグレース・ナジャール氏によると、建設業界は「ビジョン2030」によって設定された目標を達成する上で重要な役割を果たし、将来的に大きな雇用機会を提供する見通しだ。 

同氏はまた、サウジアラビアの建設セクターではプロジェクトマネージャー、エンジニア、建築家などの熟練した専門家に対する高い需要が見られるだろうと指摘した。 

「サウジアラビア全土では5,200件以上のプロジェクトが進行中で、総額は8,190億ドルに上り、進行中のすべてのGCC(湾岸協力会議)プロジェクトが持つ価値の35%を占めています。このような膨大な数のプロジェクトでは、プロジェクトマネージャー、エンジニア、建築家、熟練した労働者など建設業界の熟練した専門家に対する著しい需要があります」とナジャール氏は述べた。 

またこう付け加えた。「特にサウジアラビアとGCC全体が経済多様化の道を歩んでいることから、この需要は今後数年間、引き続き増加する見通しです」 

5月初め、米国・サウジアラビアビジネス協議会が発表した報告書によると、サウジの建設セクターでは2022年に受注契約額が前年比35%増の513億ドルまで増加した。 

「新型コロナウイルス感染症の減少傾向に伴う大幅な石油収入とギガプロジェクトの加速に支えられた経済成長を背景に、契約受注数の急増は衰えることなく続いています」と、米サウジ・ビジネス・カウンシル(USSBC)の経済調査ディレクターであるアルバーラ・アルワジル氏は述べた。  

ナジャール氏はさらに、サウジアラビアの現地人材は建設セクターでの雇用機会を模索する十分な機会を得るだろうと指摘した。 

「近年、サウジアラビアでは建設セクターを含む現地人材の育成が進められています。政府は、国家変革プログラムなど、サウジアラビア人のスキルを開発し雇用機会を創出するためのいくつかのイニシアチブを実施しています」とナジャール氏は付け加えた。

最新技術への注目

サウジアラビアにおける建設セクターの成長は、特に建設会社が効率と安全性を高めるためにAIを活用しているという事実を考慮すると、人工知能のような最新技術の雇用機会も同時に増加させると期待されている。 

「AIを活用した建設は業界を席巻しており、建設プロジェクトの生産性、安全性、品質を向上させるかもしれません。AIを活用して、スケジュール作成、資源配分、リスク管理などのプロジェクト管理を合理化できます」とナジャール氏は述べた。 

世界経済フォーラムが発行した最新の「The Future of Jobs」レポートによると、サウジアラビアにおいて最も急速に成長を遂げている役職は、テクノロジーとデジタル化によってもたらされるだろう。このレポートは、サウジアラビアでは現在ほぼすべての企業がデジタルトランスフォーメーションを推進しておりAIと機械学習の専門家に対する需要は急増するだろうと指摘した。

サウジアラビア全土では5,200件以上のプロジェクトが進行中で、総額は8,190億ドルに上り、進行中のすべてのGCCプロジェクトが持つ価値の35%を占めています。グレース・ナジャール氏、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の中東・北アフリカ地域担当地域マネージングディレクター

LinkedInでサウジアラビア政府の戦略的パートナーシップ責任者を務めるラニム・アルアミン氏も同様の見解を共有し、雇用に焦点を当てたソーシャルメディアプラットフォームのLinkedInではこの地域でAI関連の仕事が大幅に増加していると指摘した。 

AIのような新技術がこの地域にもたらす変革を考えるとわくわくします。すでに11月以降、LinkedIn上でこうした変化が加速しているのを目にしています。AIはあらゆる場所で一度にあらゆる人の仕事を変革しはじめています。 ほんの数か月しか経っていませんが、LinkedInGPTに言及している仕事の数は、2021年から2022年にかけて51%増加しています」とアルアミン氏は述べた。 

またこう付け加えた。「プロファイルにおける『ChatGPT』『プロンプトエンジニアリング』『プロンプトクラフティング』『生成AI』『生成的人工知能』などのキーワード使用率も20232月から3月にかけて71%増加しており、わずか1か月で大幅な増加がみられました」

ハイブリッド勤務

パンデミック発生時に、一部の企業は従業員が自宅で働けるようにした。しかし、パンデミックが収束しても世界中の多くの企業や従業員は依然としてハイブリッドな働き方を好み、サウジアラビアも同様である。 

「私たちの最近のデータによると、『ソフトウェアエンジニア』は2022年にサウジアラビアにおける上位職種の中で6位にランクインし、そのうちの45.7%がハイブリッド勤務の選択肢を提供しています。これはトップ10に入った職種の中で最も高い割合を占めています」とアミン氏は述べた。

 

AIのような新技術がこの地域にもたらす変革を考えるとわくわくします。すでにLinkedIn上でこうした変化が加速しているのを目にしています。ラニム・アルアミン氏、LinkedInのサウジアラビア政府戦略的パートナーシップ責任者

またこう付け加えた。「さらに注目すべき点として、すべてのエントリーレベルの仕事の10.3%がリモートワークまたはハイブリッド勤務を許可しており、昨年から5.7%増加しました。シニアレベルの仕事は昨年と変わらず、リモートワークを提供しているのはわずか8.9%でした」 

同時に、サウジアラビアは「ビジョン2030」で概説された目標に沿って、失業率の削減において大幅な前進を遂げている。 

サウジアラビア統計局の労働力調査によると、失業率は前四半期の9.9%から、2022年第4四半期には8%に低下した。

サウジアラビアが2030年までに設定した失業率7%の目標も妥当といえる。

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