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米下院の過半数、トランプ氏を2度目の弾劾訴追

民主・共和両党の下院議員の過半数は13日、ドナルド・トランプ氏を退任7日前に弾劾訴追する決議案を可決した。(AFP)
民主・共和両党の下院議員の過半数は13日、ドナルド・トランプ氏を退任7日前に弾劾訴追する決議案を可決した。(AFP)
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15 Jan 2021 11:01:27 GMT9
15 Jan 2021 11:01:27 GMT9
  • 10人の共和党員が、トランプ氏は責任を負う必要がある、と言う民主党側に加わった
  • 共和党上院のトップ、マコネル氏は、弾劾裁判でトランプ氏の過ちを証明することを受け入れる用意がある

ワシントン:ドナルド・トランプ大統領は13日、史上初めて2度目の弾劾訴追を受けた。同氏の任期最後の日々が急速に、驚くほどに崩壊する中、死者を出した、暴徒による連邦議会議事堂の占拠をめぐり、「反乱の扇動」で訴追された。

議事堂が武装した州兵によって厳重に警備される中、下院は232対197で、トランプ氏を弾劾する決議案を可決した。大統領による、選挙結果に対して「死に物狂いで戦え」という呼び掛けに扇動された暴力的なトランプ支持者が議事堂に乱入してからわずか1週間後、議員らによる採決が行われ、議事は電光石火のスピードで進行した。

共和党議員10人がトランプ氏を見捨て、トランプ氏は責任を負う必要がある、と言う民主党側に加わった。1月20日に行われる、民主党のジョー・バイデン氏の就任式の前に議会がトランプ氏を野放しにすれば、「今そこにある危機」が起きるだろう、と民主党は不吉にも警告していた。

トランプ氏は2度弾劾訴追された唯一の米大統領だ。1998年のビル・クリントン氏に対する弾劾以上に、近代で最も民主・共和両党が提携して行った大統領弾劾だった。

議事堂で起きた反乱により、暴徒が押し掛けてきたときに我先にと避難した議員らは動転し、激怒した。そして、米国の平和的な政権移譲の歴史のもろさが明らかになった。
今回の暴動により、トランプ氏の大統領在任期間を通じて同氏を支持し、同氏が2020年の選挙の完全性に対する誤った攻撃を拡大することを主に許してきた共和党の一部の議員が報いを受けることにもなった。

ナンシー・ペロシ下院議長は、エイブラハム・リンカーンと聖書を引き合いに出し、国「内」外の全ての敵から憲法を守るという誓約を守るよう議員らに求めた。

同氏はトランプ氏について、「彼は去らなければならない。彼は、私たち皆が愛している国にとって、今そこにある危機だ」と述べた。

ホワイトハウスに身を隠し、テレビで議事を見ていたトランプ氏はその後、動画で声明を発表した。その中で同氏は弾劾には一切言及しなかったが、さらなる暴力行為や、バイデン氏の就任式の妨害をやめるよう支持者に訴えた。

「皆と同じように私は、先週起きた議事堂での惨事にショックを受け、深い悲しみを覚えた」とトランプ氏は述べ、今回の襲撃を初めて非難した。同氏は「前に進む」ために結束するよう訴え、「暴徒の暴力は、私が信じる全てのもの、私たちの運動が支持する全てのものに反している……私の真の支持者は、決して法執行機関を軽視することはできない」と述べた。

トランプ氏は2019年に「ウクライナ疑惑」をめぐって下院によって初めて弾劾訴追されたが、上院は2020年に無罪評決を下した。同氏は2度弾劾訴追された最初の大統領だ。上院で有罪評決を受けた大統領はいないが、共和党は13日、官僚や献金者、大企業などが敗北した大統領から離れ、政治環境が急速に変化する中、それは変わる可能性があると発表した。

バイデン氏は、採決後に出した声明で、上院指導部が「国の他の急務にも取り組みつつ、弾劾に関する憲法上の責務に取り組む方法を見つける」ことを望んでいると述べた。共和党上院トップのミッチ・マコネル氏は、早ければ既にトランプ氏がホワイトハウスを去ると決まっている前日の19日に弾劾裁判を開始するだろう、とマコネル氏の事務所は発表した。この措置はトランプ氏の再出馬を阻止することも目的としている。

共和党の戦略担当者が13日にAP通信に語ったところによると、マコネル氏は、トランプ氏は弾劾されるべき罪を犯したと思っており、民主党による弾劾が、分裂を生む、混沌とした、大統領の共和党に対する影響力を弱める機会を促すと考えている。

マコネル氏は先週末、主要な大口献金者らに、トランプ氏とは手を切ったと話した、とその戦略担当者はマコネル氏の会話を説明するために匿名を希望して話した。

マコネル氏は13日、同僚宛てのメモに、「採決をどうするか、最終決定していない」と書いた。

初めての弾劾とは異なり、トランプ氏は、再選されず、上院で共和党の過半数の議席を失った、弱くなった指導者として今回の弾劾に直面している。

トランプ氏の盟友である共和党のケビン・マッカーシー下院院内総務でさえ立場を変え、13日、大統領は、議事堂で恐ろしいことがあった日に対して責任を負うと述べた。

合衆国憲法の中で要求されている「重罪や軽犯罪」の主張において、13日に承認された4ページの弾劾決議は、トランプ氏自身の扇動的なレトリックと、バイデン氏の選挙での勝利に関してトランプ氏が広めたうそに依拠しており、議事堂が襲撃された1月6日にホワイトハウスの近くで開かれた集会でのものも含まれている。

議事堂の警官が暴動で受けた損傷で死亡し、警察は包囲中に女性1人を射殺した。他の3人は、医療的緊急事態と当局が呼んだものの中で死亡した。この暴動により、バイデン氏の勝利を確定させる最後のステップである選挙人団の票の集計が遅れた。

共和党のナンバー3であるリズ・チェイニー氏(ワイオミング州選出)をはじめとする10人の共和党議員がトランプ氏の弾劾に賛成し、共和党指導部と党自体を分裂させた。その他の議員は、ワシントン州選出のJaime Herrera Beutler議員、オハイオ州選出のAnthony Gonzales議員、ニューヨーク州選出のJohn Katko議員、イリノイ州選出のAdam Kinzinger議員、ミシガン州選出のPeter Meijer議員、ワシントン州選出のDan Newhouse議員、サウスカロライナ州選出のTom Rice議員、ミシガン州選出のFred Upton議員、カリフォルニア州選出のDavid Valadao議員。

父親が共和党の元副大統領であるチェイニー氏は、暴徒を呼び集めたトランプ氏の行動について、「大統領が(大統領府を)これ以上裏切ったことはいまだかつてない」と述べた。

「現職の大統領の弾劾に賛成することに決めたのは、恐怖心からではない。どちら側に付くか選んでいるのではない。私は真実を選んでいる。恐怖に打ち勝つ唯一の方法だ」とBeutler氏は自身の採決を説明して述べた。

Newhouse氏は、トランプ氏は「議事堂の入り口で起こった国内の脅威を止めるために何もしなかった」と述べた。

「そういうわけで、重い気持ちで、明確な決意を持って、この弾劾条項に賛成票を投じる」と同氏は述べた。

トランプ氏は、マコネル氏とチェイニー氏の背信行為と受け取られる行為に激怒していると言われていた。

プライベートな会話について公に話す権限を与えられていない米政府当局者らとホワイトハウス西棟に近い共和党議員らによると、トランプ氏の周りのチームが空洞化し、ソーシャルメディア企業によって同氏のTwitterアカウントが停止され、トランプ大統領は反論できないことに非常にいらいらしていたという。

ホワイトハウスから、トランプ氏はリンゼー・グラム上院議員(サウスカロライナ州選出)を脅し、共和党上院議員が抵抗するよう後押しさせ、マーク・メドウズ首席補佐官は、連邦議会にいる元同僚数人に電話を掛けた。

共和党議員の選挙区でのトランプ大統領の根強い人気には依然として影響力があり、ほとんどの共和党下院議員は弾劾に反対した。

議事堂の周りには高いフェンスがあり、警備は極めて厳重だった。議員が下院本会議場に入るには金属探知機による検査が必要だった。1週間前、そこでは警察が銃を抜き、ドアにバリケードを築いて暴徒から守り、議員らはうずくまっていた。

民主党のジム・マクガバン下院議員(マサチューセッツ州選出)は「我々は犯行現場でこの歴史的な措置について議論している」と述べた。

議論中、共和党議員の中には、トランプ氏が大統領選に関して広めたうそを繰り返し、大統領は就任当日から民主党から不当な扱いを受けていると主張する者もいた。

他の共和党議員は、弾劾は大急ぎででっちあげたものだと主張し、共和党支持者にはダブルスタンダードが用いられているが、リベラル左派には用いられていないと批判した。単に国が前に進むことを訴える者もいた。

トム・マクリントック下院議員(カリフォルニア州選出)は「どの運動組織にも過激はいる」と述べた。

民主党のジェイソン・クロウ下院議員(コロラド州選出)らは、暴徒が会議場のドアをたたき、押し入ろうとした悲惨な一日について詳しく話した。これを「クーデターの企て」と呼ぶ者もいた。

民主党のマクシーン・ウォーターズ下院議員(カリフォルニア州選出)は「トランプ氏は内戦を始めることができた」と主張した。

トランプ氏の有罪を決定し、解任するには上院の3分の2の賛成が必要だが、二分されるだろう。共和党のパット・トーミー上院議員(ペンシルバニア州選出)は先週末、リサ・マカウスキ上院議員(アラスカ州選出)と一緒にトランプ氏の「できるだけ早い解任」を呼び掛けた。

弾劾裁判によってバイデン大統領は就任後の最初の数日間、身動きが取れなくなるのではないかという心配を払いのけるため、バイデン氏は上院議員に、候補者の確認とCOVID-19支援の承認を優先的に行いつつ、裁判の実施にも時間を割くよう促している。

弾劾法案は、大統領選挙でバイデン氏に敗北したことに関するトランプ自身の虚偽の発言から作られる。トランプ氏が指名した判事らを含む全米の判事らは、選挙結果に異議を申し立てる訴訟を繰り返し却下しており、トランプ氏の盟友であるウィリアム・バー元司法長官は、不正行為が広がっていた形跡はないと述べている。

下院は当初、マイク・ペンス副大統領と内閣に対し、トランプ氏を解任するために憲法修正第25条に基づく権限を行使するよう説得を試みた。ペンス氏はそうすることを拒否したが、それにもかかわらず下院は決議案を可決した。

弾劾法案には、トランプ氏が、もっと多くのトランプ票を「見つける」ようジョージア州の当局者らに圧力を掛けたことも詳しく書かれている。

任期終了直前に大統領を弾劾することに疑問を呈する者もいるが、前例はある。ユリシーズ・グラント政権下の1876年、ウィリアム・ベルナップ陸軍長官は辞任した日に下院によって弾劾訴追され、上院は数カ月後に裁判を開いた。同氏には無罪の評決が下った。

エージェンシー

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