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サウジアラビアの紅海映画祭、レッドカーペットとガラ受賞式で幕を閉じる

映画祭委員長のムハンマド・アル・トゥルキ氏とイギリス人モデルのナオミ・キャンベル氏。(AFP)
映画祭委員長のムハンマド・アル・トゥルキ氏とイギリス人モデルのナオミ・キャンベル氏。(AFP)
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14 Dec 2021 08:12:05 GMT9
14 Dec 2021 08:12:05 GMT9
  • ジェッダにスターが集結し、サウジアラビアで初のイベントが盛況のうちに幕を閉じるとともに、今後のさらなる発展が期待された
  • サウジアラビアの映画界に歴史的な瞬間をもたらした輝かしいイベントが閉幕した

レベッカ・アン・プロクター、ラワン・ラドワン

ジェッダ:サウジアラビアの駆け出しの映画業界にとって、またしても画期的な出来事だ。月曜日、ジェッダで開催された第1回紅海国際映画祭のフィナーレに、スターたちが再び集結した。

映画の上映はあと2日間続くものの、ほんの数年前にはサウジアラビアで開催されるとは想像もできなかったイベントは、映画祭の受賞発表を含むこのガライベントをもって正式に終了する。この国で長らく禁止されていた映画館が解禁されてからわずか4年だ。

スーパーモデルのナオミ・キャンベル、英国人俳優のエド・ウェストウィック、スペイン人俳優のマリア・ペドラサ、「Junoon」を書いたペドロ・ポーラ・アラウジョ、パリのアラブ世界研究所の会長で元フランス文化大臣のジャック・ラング、イタリア人監督のジュゼッペ・トルナトーレのほか、バセム・カヤット、ヘンド・サブリ、メイサ・マグラビ、アフド・カメル、ダファー・ラビディン、ヤスミン・サブリなど、数十名の俳優、著名人、映画製作者や関係者が参加した。

閉会式では、サウジアラビアの著名なプロデューサーで映画祭委員長のムハンマド・アル・トゥルキ氏が、「今回の映画祭は私たちにとって初めての国際映画祭でしたが、多くのことを学びました。第2回目の開催につなげていきたいと思います」と述べた。

「多くのゲストが、サウジアラビアの人々から信じられないほど温かいホスピタリティを受けたという前向きな話をしてくれました。彼らの反応には感動しました。サウジアラビアの映画業界には明るい未来が待っています」

多くの海外からのゲストもその思いに賛同した。その中の1人であるラング氏は、「第1回紅海映画祭が大成功を収め、皆さんが私と同じように喜んでいるのを見て、とても嬉しく思います」と述べた。

「これはサウジアラビア映画にとって非常に重要なことです。多くの新しい、若い才能を発見することができました。この映画祭が世界で最も重要な映画祭のひとつになると楽観視しているし、確信しています」

閉会式では、最優秀作品賞、最優秀サウジアラビア映画賞、最優秀短編映画賞や、バーチャルリアリティプロジェクトを対象とした特別賞「イマーシブ」など、映画祭の各部門の受賞作品が発表された。「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ監督、エジプトのマルワン・ハメド監督、アメリカの前衛芸術家ローリー・アンダーソン氏が審査委員長を務める3つの審査員団が選出した。

最初の賞である最優秀サウジアラビア映画賞は、サイコスリラー映画の「Rupture」が受賞し、ナオミ・キャンベル氏からハムザ・ジャムジューム監督に賞が贈られた。

ゴールデンユルスル最優秀長編映画賞には、ジョージアのレバン・コグアシュビリ監督によるドラマ「Brighton 4th」が選ばれた。

短編映画賞はヨルダンのムラド・アブ・アイシャ監督の「Tala’Vision」、(審査員)特別賞はヨルダンのダリン・J・サラム監督のパレスチナを舞台にした「Farha」、最優秀俳優賞は「Europa」に出演したアダム・アリ氏が受賞した。シリア人俳優のバセル・カヤット氏がプレゼンターを務めた審査員賞は、イランのパナー・パナヒ監督の「Hit the Road」が受賞した。

観客賞は「You Resemble Me」が受賞した。エジプト系アメリカ人の映画監督で、受賞歴のあるジャーナリストでもあるディーナ・アメル氏は本作で監督デビューを果たした。

アメル氏は受賞スピーチで、今回の受賞は夢のような出来事だとし、次のように述べた。「この瞬間のために多くの祈りが捧げられてきました。この映画は、私たちの美しい信仰であるイスラム教について描いたものです。イスラム教はプロパガンダによって暴力の宗教という実際とは異なるものに曲解され、売られてきました。この映画は、イスラム教が美しい信仰であり、平和の信仰であるということ、そして、私たちは私たちのやり方で私たちの物語を語ることができるということを再確認するためのものです」

デイビッド・アドラー監督は、「End of Night」でゴールデンユルスル・イマーシブ賞を受賞し、アンダーソン氏より賞が贈られた。シルバーユルスル賞は台湾の黃心健監督の「Samsara」が受賞した。

「この数日間で、私たちはイマーシブ映画を13作品観ました」とアンダーソンは述べた。「とても大きなヘッドセットやヘッドフォンに慣れてしまえば、空を飛んだりビルの上から落ちたりするだけにはとどまりません。このアートの形では、新しい方法で映画の世界に入り込めることが分かります」

そのような重力を利用したトリックを抜きにしても、イマーシブ映画の中では、自分自身がプロットと映像の間で自分の夢や思考の中に入り込んでしまう。イマーシブ映画の中では、夢のような身体を使って、その身体が見るものや語るストーリーを全く新しい方法で体験できるのだ。

映画祭の主催者によると、10日間の映画祭で上映された67ヵ国の138作品のうち、38%が女性監督によるものだという。これは、地域の映画業界における女性の才能の成長をさらに明確に示す事実だ。

サウジアラビアの女優で作家のサラ・タイバー氏は、アラブニュースの取材に対し、女性の脚本家、監督、プロデューサーにとってこれは始まりに過ぎないと信じていると語る。

「多くの女性の脚本家や監督、女優が長い間活躍してきましたが、ようやくスポットライトが当たるようになりました」と彼女は述べた。「これ(映画祭)が私の国で、私の街でついに開催されていることなり、本当に感激しています」

「何と言ったらよいか分かりません。閉会式と思うと悲しいですが、この1週間は慌ただしく、クレイジーでエキサイティングなものでした。女性も男性もですが、ほとんどが女性である私たちの声を伝えることが待ちきれません」

「国際的なメディアに溢れるステレオタイプの表現から離れて、私たちの本当の姿を全世界の人々に伝える時がついに来たのです」

映画の上映は12月15日(水)まで続く。初開催のイベントはヒンディー語映画「’83」の上映をもって締めくくられる。この映画は、インドのクリケットチームが「無敵」と言われたウエストインディーズチームに勝利し、インドがクリケットの世界で再び注目されるきっかけとなった実話に基づいている。

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