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アラビア書道に世界が注目 サウジアラビアのDar Al-Qalam Complex

サウジアラビアの有名なDar Al-Qalam Complexには、何百もの書道作品が所蔵されている(アラブニュース)
サウジアラビアの有名なDar Al-Qalam Complexには、何百もの書道作品が所蔵されている(アラブニュース)
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19 Feb 2020 02:02:00 GMT9
19 Feb 2020 02:02:00 GMT9
  • 「アラビア書道の年」が祝われるなか、サウジアラビアの有名なDar Al-Qalam Complexの舞台裏を訪ねた

マディーナ:サウジアラビア王国文化省は、2020年を「アラビア書道の年」と定め、マディーナにある複合文化施設Dar Al-Qalam Complexを、アラビア書道の技能証明書を授与する国際機関にする計画を明らかにした。

マディーナ教育総局文化活動部長でDar Al-Qalam Complexの責任者を務めるAli Al-Mutairi氏が、この施設の主な活動と目的について、アラブニュースに語った。

夜のDar Al-Qalam Complex(提供)

マディーナのDar Al-Qalam Complexは、アートギャラリー、教材用画像・文書部署、歴史劇場、採用・ボランティアサービスにかかわるEtharセンターを備え、文化に鋭敏な人々をひきつける場となっている。しかし、この施設の至宝といえるのは、有名な書道センターである。

Ali Al-Mutairi氏によると、Nasser Al-Abdulkareem教育総局長は、この施設を世界的な書道センターにすることを計画している。

マディーナのDar Al-Qalam Complex は、アラビア書道の技能証明書を授与する国際機関となる計画を明らかにした。(提供)

「マディーナ州知事のファイサル・ビン・サルマン王子の支援のもと、私たち教育総局では、アラビア書道センターを発展させ、アラビア書道の厳正な資格授与機関にすることを計画しています。そのために、世界中から一流のイスラーム書道家たちを呼び寄せることを目指しています」とAl-Mutairi氏は語った。

この施設の歴史を考えると、世界中から才能ある人材を集めることはそれほど難しいことではないだろう。

この施設は、アートギャラリー、教材用画像・文書部署、歴史劇場などを兼ね備えている。(提供)

Dar Al-Qalam Complexの名高い歴史

Al-Mutairi氏によると、Dar Al-Qalam Complexの歴史は、サウジアラビア最初の近代的学校の1つ、タイバー中等学校と密接にかかわっている。

「タイバー校は1942年に創立され、後にDar Al-Qalamの建物に移りました。Dar Al-Qalamは、1962年に故サウード・ビン・アブドゥルアズィーズ・アル=サウード国王によって開館されて以来、この学校の所在地となっています」と彼は説明した。

Al-Mutairi氏は、Dar Al-Qalam Complexの発展において、ファイサル王子と副知事のサウード・ビン・ハーリド・アル=ファイサル王子が果たした役割について言及した。

Dar Al-Qalam Complexは、サウジアラビアにおける最初の近代的学校の1つ、タイバー中等学校と密接に結びついている。(提供)

「2013年、施設は現在の形になり、当時の教育相ファイサル・ビン・アブドゥッラー・アル=サウード王子の出席のもと、ファイサル王子が落成式を執り行いました」

「それ以来、マディーナの教育総局を通じて教育省は、この施設をとても重要なものとみなし、格別の配慮と支援を与えてきました。その結果、この施設は、マディーナ地方における科学と教育の発展を象徴する存在となりました」と彼は話す。

Madani書道についての関心を高める

マディーナ地方の当局は、また、地元の文化や芸術の振興に特に力を入れることを宣言し、マディーナ開発庁は、2015年8月、地元のMadani様式の書道を保存する取り組みを始めた。

著名な書道家であり、サウジアラビア文化芸術協会(SASCA)マディーナ支部のアラビア書道委員会の委員長でもあるBandar Al-Amri氏は、「歴史的に見ると、Madani書体は、クライシュ族がメッカで最初に使ったMakki様式の書体から発展したものです」と説明した。

マディーナ開発庁は、2015年、地元のMadani 書体の書道を保存する取り組みを開始した。(提供)

「Madani様式で書かれた聖典クルアーンの写本が、現存しています。これらの写本は、パリのフランス国立図書館やベルリン図書館など、多くの図書館や博物館に所蔵されています」

「マディーナ地方には、山や川岸の岩に刻まれたイスラーム初期の碑文が数多く残されています。これらの碑文は、マディーナ市内を通過していた隊商のルートに沿って見つかっています。これらの碑文が他の碑文と異なるのは、そのほとんどが、マディーナの人々やそこに住みついた人々に向けたものであることです」とAl-Amri氏は説明した。

マディーナ地方には、山や川岸の岩に刻まれた初期イスラームの碑文が数多く残っている。(提供)

「これらの碑文の対象は男性だけではなく、女性に向けて書かれたものもあります。クルアーンの詩句やお祈り、走り書き、詩、ニュースなどの碑文もあります。そして、Madani書体で刻まれたものは、マディーナ地方の谷間の岩で発見されています」

次世代の育成

この施設の主な目的の1つは、次世代の書道家たちを育成することで、それによってこの芸術を存続させ、才能ある書道家たちとの結びつきを強めようとしている。

マディーナ教育総局の男子学生活動部長のAbdullah Al-Zahrani氏は、「アラビア書道の美しさを、男女問わず教員・生徒たちに紹介すること」を目指していると、アラブニュースの取材に答えた。

施設の主な目的の1つは、次世代の書道家たちを育成することである。(提供)

一方、女子学生活動部長のLayla Al-Amri氏は、「書道の専門家と彼らによるワークショップ、そして道具がそろった練習室は全て、女子学生たちが習字を上達させるのに役に立ちます」と話した。

8年生のBassam Al-Sa’idyさんは、文字を読むことを初めて習ったときから、学校にある書道作品に目がひきつけられたと話した。

「Uthman Taha(シリアの書道家)のクルアーンの筆跡にも、ひきつけられました。絶対にアラビア書道を習おうと決めたのです」

著名な書道家たちによる異なる書体の数種の習字手本が、センターのカリキュラムのなかで使われている。(提供)

「学校で書道の練習コースがあったので、それに参加しました。その後、僕たちは、Dar Al-Qalam Complex見学に招待されました。とても歓迎してくれて、僕たちはルクア体とナスフ体を習いはじめました」とAl-Sa’idyは話した。

「これまで、ルクア体とナスフ体は、ほとんど習得しました。クルアーン書道家になるという夢をかなえるために、もうすぐオスマン体を習いはじめます」

書道家のAdel Barri氏は、異なる書体を学ぶために、著名な書道家たちの数種の習字手本が、センターのカリキュラムのなかで使われていると話した。

「私たちの一番の目標は、彼らがアラビア書道の技術を身につけることです」と書道家Adel Barri氏 は話す。(提供)

「私たちは、イラクの著名な書道家モハメド・エザットの習字手本をディーワーニ体を教えるのに使い、トルコの書道家メフメト・シェヴキー・エフェンディの習字手本を、ナスフ体とスルス体を教えるのに使っています。この2人は、それぞれの字体でお手本とされています」とBarri氏は説明した。

「私たちは彼ら(書道センターの学生たち)に、必要なものを全て無料で与えることができます。私たちの一番の目標は、彼らがアラビア書道の技術を身につけることです」

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