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東京オリンピックのカウントダウン時計、カウント再開

東京の地下鉄駅前で東京2020オリンピックとパラリンピックまでの日数を表示するカウントダウン時計。2020年3月31日。(AFP)
東京の地下鉄駅前で東京2020オリンピックとパラリンピックまでの日数を表示するカウントダウン時計。2020年3月31日。(AFP)
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31 Mar 2020 04:03:05 GMT9
31 Mar 2020 04:03:05 GMT9

東京:カウントダウン時計がリセットされ、東京オリンピックまでの残り時間と日数を再び数え始めた。

東京駅前に設置された時計をはじめとして五輪開幕までの残り日数や時間を示す目的で東京各地に設置されたカウントダウン時計が、2021年7月23日~8月8日という新しい開催日程の表示に切り替えられた。新日程が主催者から発表されたほぼ直後のことだった。

時計に示された残り日数は479日である。これは長い道のりのようだが、新型コロナウイルスが与える世界的な余波と比較してみると、小さく、とりとめのない数字のようにも感じられる。

そうはいっても、オリンピックを再編成する時間としては十分とはいえない。東京2020は、124年前に近代オリンピックが始まって以来、史上初めて延期されるオリンピックなのだ。時間が足りないのは、11,000人のオリンピック選手、4,400人のパラリンピック選手にとっても、スポンサー、放送局、すでにチケットを購入したファンにとっても、そしてこのオリンピックのために数十億ドルを費やした上に延期に伴ってかかる数十億ドルの追加費用をどうやって捻出するか考えなければならない日本の主催者や納税者にとっても同じだ。

「このオリンピックは歴史的に大変意味がある事」と、東京組織委員会の森芳郎理事長が新日程を発表した後で述べた。

82歳になる森元首相はまた、新型コロナウイルスのパンデミックが今から1年以内 — パラリンピックの開催日程も同様に8月24日~9月24日へと変更 — に制御下に置かれているという保証がないことも思い出させた。

「神頼みみたいな所もありますけどそうした気持ちが必ず通じていくんじゃないかなと思っておりまして」と森氏は語った。

春季オリンピックの可能性についても急ぎの協議を行った結果、夏季オリンピックの新しい開催日程は2020年に選ばれた時期とほぼ同時期と決定した。主催者は、古いプランを新しいプランに重ね合わせ、会場を適切に維持し、選手村の何千という部屋を確保し、同じボランティアを配置し、購入済のチケットがそのまま利用できるようにしたいと考えている。

夏季五輪の新日程では、北米や欧州の込み合ったスポーツスケジュールとの衝突も回避されている。だが、夏の東京でのスポーツイベント開催は、猛暑と湿気との闘いでもある。これはパンデミックの前からも主催者の頭を悩ませていた問題だった。

「夏は暑さや台風の可能性が高くなるという点はあるが、これは2020年開催でも同様に想定された事であり、暑さ対策や台風への備えは万全を期すべき」と森氏は述べている。

各種の国際スポーツ連盟は新しい日程に合わせるとしているが、国際トライアスロン連合など一部の団体は、日本ではより涼しい季節である桜の季節の方を望むと表明した。だがその要望も、会場確保が先となり受け入れられなかった。

組織委員会の武藤敏郎事務総長によると、現在同委員会は施設側と協議を行っているところだが、現時点では最終的な決定ができておらず、いくつかの問題がすでに明らかになっているという。

武藤氏は、来年この新日程では施設を貸せないと言ってきた施設はまだないとする。

まだ決断できない施設がたくさんあるので、施設側とは交渉を進めていかなければならず、もし会場を変更しなければならないなら競技日程を変更する必要も出てくるとした。

武藤氏はまた、個人的には詳細な競技日程を「大きく変更することは想定していない」と述べた。だが交渉はまだそれほど進んでいないともいう。

国際オリンピック歴史家協会のデービッド・ワルチンスキー会長は、2021年のオリンピック — 正式には2020年オリンピックと呼ばれる — は、パンデミック後、世界が1つになって問題を克服した象徴になり得る、と語った。

「私はこの延期を、オリンピック・ムーブメントにとって後退というよりむしろチャンスだと見ています」とワルチンスキー会長はAP通信への電子メールで述べている。

ワルチンスキー氏は、延期ではなく完全に中止してしまうのはおそらく無理だろうとの考えを述べた。

「財政的な観点から考えて、中止は選択肢としてはあり得なかったでしょう」とワルチンスキー氏は言う。「影響が複雑かつ広範囲に及んだはずです」

森氏も武藤氏も、オリンピックの日程変更にあたり「莫大な費用」がかかることを認めている。追加費用は推定で20億から60億ドル間の範囲とされている。しかも、そのほとんどを負担することになるのは、これまでの準備費用の大半を負担してきた日本の納税者なのだ。

武藤氏は、追加経費の算定と分担については手続きの透明性を約束した。

「追加費用はかかる。それを1つずつ検討していく必要がある」と武藤氏は語り、こちらの方が難しいプロセスとなるだろうと述べた。

日本は公式の数字で五輪開催に126億ドルを費やしている。だが日本政府の監査報告によると、費用はすでにその2倍に膨れ上がっている。2013年に入札を勝ち取った時点では、かかる費用は73億ドルということだった。

民間資金による運営予算56億ドルを除いては、そのすべてが公的資金だ。運営予算の約33億ドルは、日本の広告・広報会社大手の電通が取り付けた地元のスポンサー契約から調達されている。

その額は、これまでのオリンピックのほぼ3倍の額である。

「現在のスポンサー契約は今年中に期限切れになる」と武藤氏は語り、五輪は来年まで延長されるので契約の延長もお願いしたい。これに対し特に反対の声は聞いていない。スポンサーにもっと寄付をお願いするかどうかも含め、まだ具体的には何も決まっていないとした。

組織委員会の資料によると、スイスに拠点を置く国際オリンピック委員会(IOC)は東京オリンピックに13億ドルを寄付している。IOCの寄付金は運営予算に投入される。

IOCは過去4年間のオリンピック周期に57億ドルの収入があり、その73%は放映権の販売によるもので、18%が長期スポンサーの収入による。米国の放送局NBCがIOCの放映権収入の半分を占め、NBCは各大会の権利に10億ドル以上を支払っている。

IOCにはまた、約20億ドルの準備金と、損失を補填する保険がある。

「特にNBCには大きな発言権があります」と歴史家のワルチンスキー氏は言う。「それが大会が夏に行われる理由なのです。屋外で競技を行う選手たちにとっては理想的な時期とはいえません。1964年の東京オリンピックはもっと気候条件の良い10月に開催されました」

1940年に東京で予定されていたオリンピックは、日中戦争のために中止された。1916年と1944年のオリンピックも同様に中止された。こうしてオリンピックには、過去にも困難な時期があった。去年の買収スキャンダルによる日本オリンピック委員会会長の辞任事件もその1つである。

「1940年の東京オリンピックでさえ、9月から10月までの時期で予定されていました」とワルチンスキー氏は言う。「2020~2021オリンピックでは、テレビの力がいかに強いかがわかります」

AP

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