北海道・知床半島沖で遭難した観光船「KAZU I(カズワン)」は、水深約115~120メートル付近の傾斜した海底に沈んでいるとみられることが30日、海上保安庁の調査で分かった。第1管区海上保安本部(小樽市)や海上自衛隊は船内に乗客らが取り残されている可能性があるとして、水中カメラを使って確認作業を進めた。
乗客乗員26人が乗った観光船の遭難事故は30日で発生から1週間。これまでに3歳女児を含む14人が海上などで発見され、いずれも死亡が確認された。依然として12人の行方が分かっておらず、同本部などが捜索を続けている。
同本部は、測量船「天洋」が29日に実施した調査結果を解析した画像を公表した。それによると、カズワンが見つかったのは水深115~120メートル付近の傾斜した海底で、斜面に沿った姿勢でとどまっていた。船体の破損状況などは不明だが、近くには10メートルを超えるような大きな凹凸はないとみられる。
同本部は30日、船内を捜索するため、海自と協力して水中カメラを投入した。カズワンが沈む海底付近は太陽光が届かず、ライトを点灯しても視界は1~2メートルしかないという。
海保の特殊救難隊の潜水士が潜れる限界は水深60メートル。このため当面はカメラを使った捜索を中心とし、特殊技能を持つ民間潜水士の活用も検討する。
船舶や航空機による捜索も範囲を広げて継続。乗客らが流されている可能性があることから、国後島周辺海域での捜索を見据え、ロシアと連絡調整も続けている。
時事通信