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日本の中立は終わりとなるか

日本の外交官である元木辰徳氏は、スパイ行為を行ったとしてロシアから出国するよう命じられた。(AFP通信)
日本の外交官である元木辰徳氏は、スパイ行為を行ったとしてロシアから出国するよう命じられた。(AFP通信)
東シナ海の係争海域で行われた中国の「実弾訓練」は、日本の怒りを招いた。(AFP/資料写真)
東シナ海の係争海域で行われた中国の「実弾訓練」は、日本の怒りを招いた。(AFP/資料写真)
2020年10月12日にインド洋のベンガル湾で行われたマラバール海軍演習に参加する、日本、インド、オーストラリア、米国の軍艦。( AFP経由インド海軍)
2020年10月12日にインド洋のベンガル湾で行われたマラバール海軍演習に参加する、日本、インド、オーストラリア、米国の軍艦。( AFP経由インド海軍)
2022年3月24日に撮影されたこの配布資料の写真には、実射演習中に北朝鮮から日本海周辺に向けて発射されたミサイルが映っている。(AFP経由韓国国防部)
2022年3月24日に撮影されたこの配布資料の写真には、実射演習中に北朝鮮から日本海周辺に向けて発射されたミサイルが映っている。(AFP経由韓国国防部)
東シナ海の係争海域で行われた中国の「実弾訓練」は、日本の怒りを招いた。(AFP/資料写真)
東シナ海の係争海域で行われた中国の「実弾訓練」は、日本の怒りを招いた。(AFP/資料写真)
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29 Sep 2022 04:09:47 GMT9
29 Sep 2022 04:09:47 GMT9
  • イスラエルとの防衛協定に続き、ロシアがスパイ容疑で領事を拘束するという厳しい状況にある
  • 2つの進展が日本の中立性に疑問を投げかけ、外交上の脆弱性を露呈した

アラブニュース

ドバイ:日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、日本政府にとって有利なパワーバランスの維持はますます微妙な任務となっており、戦略面で主に3つの課題に直面している。中国、北朝鮮、ロシアのウクライナ侵攻である。

しかし、わずか2ヶ月の間に2つの事態が発生し、日本の中立性が疑問視され、外交上の脆弱性が露呈した。

直近の事件では、ロシアの主要保安機関が26日、同国の極東ウラジオストクで、金銭と引き換えに情報を不正に入手した疑いで日本の領事を拘束した。

その後、外交官である元木辰徳氏は、ロシア外務省から48時間以内の出国を命じられ、モスクワにある日本大使館の高官が不正な情報入手の疑いに抗議するために呼び出されたという旨の発表がなされた。

日本の外交官である元木辰徳氏は、スパイ行為を行ったとしてロシアから出国するよう命じられた。(AFP通信)

「日本の外交官が、アジア太平洋地域にある他の国とロシアとの連携について、金銭と引き換えに機密情報を受け取っている時に現行犯で拘束された」とFSBのセキュリティサービスは声明の中で述べ、ロシアのニュースメディアが引用した。

27日、日本政府関係者は領事が解放されたと発表した。

それにもかかわらず、同日、日本の森健良外務事務次官はロシア大使ミハイル・ガルージン氏を東京の外務省事務所に呼び出し、日本領事の拘束について正式に抗議した。

これとは別に、林芳正外務大臣は、領事を拘束し、尋問することは「領事関係に関するウィーン条約に明らかに違反する」と述べ、また、日本・ロシア間の領事条約にも違反すると語った。

林外相は、ロシアの行動は「極めて遺憾で受け入れられない」と述べ、元木氏が身動きできない状態で目隠しをされ、威圧的な取り調べを受けたと主張した。

林外相は、元木氏が違法行為を行ったというロシアの主張を否定した。

ロシア連邦保安庁は、日本の領事がロシアと匿名のアジア太平洋諸国との協力関係に関する非公開の情報を入手したほか、西側の制裁がロシア極東の経済状況に及ぼす影響についての情報を、金銭を提供することにより入手したと発表した。

ロシアの機関はまた、レストランで書類を受け取っている領事と思われる人物を密かに撮影した画像を公開した。

ロシアは最近、ウクライナ侵攻後のロシア政府に対する制裁措置において、日本政府が米国およびヨーロッパ諸国と協力したことを受けて、日本を非友好国に指定した。

2022年8月30日、イスラエルのベニー・ガンツ国防相(左)と日本の浜田靖一防衛大臣(右)が、東京で『日・イスラエルの防衛交流に関する覚書』に署名した。(AFP通信)

日本の中立性に疑問を投げかけた最初の外交的進展は、8月にイスラエルとの防衛協定の締結を決定したことだ。

この協定は、特に軍事ハードウェアと技術の分野で、両国間の防衛協力を促進するための取り組みの一環だった。とはいえ、それがイスラエルとパレスチナの紛争に関して、日本政府の公平であり続ける能力を低下させる可能性がある。

日本は、イスラエルとパレスチナの間の将来の取引における公正な調停者として長い間称賛されてきた。2019年、アラブニュース・ジャパンとYouGovの共同調査では、56%のアラブ人が日本を中東の平和調停役として最も信頼できる候補と考えていることが分かった。

イスラエルのベニー・ガンツ国防相は、東京を訪れた際に林外相と会談し、外相はイスラエルとパレスチナの数十年にわたる紛争を解決するための二国家解決に対する日本政府の支持を改めて強調した。

日本のアナリスト、東京の慶應義塾大学教授の田中浩一郎氏は、2020年にイスラエルと複数のアラブ諸国の間で締結された国交正常化協定であるアブラハム合意の拡大により、日本はこの調停役から解放されたと考えている。

「日本は、中東政策とエネルギー安全保障を両立するという圧力から解放されたと感じている」と田中氏はアラブニュース・ジャパンに語った。

中国との対立の中で同盟国を維持する必要性を考慮して、日本の外交政策の主な目標は「米国政府をなだめる」ことだったと同氏は述べた。それには、イスラエルと「仲よくする」ことが期待された。

2022年8月30日、イスラエルのベニー・ガンツ国防相(左)と日本の浜田靖一防衛大臣(右)が、東京で二国間の防衛会議を開いた。(AFP通信)

「米国が渋り、イスラエルが拒否したため、日本の調停役が実現したことはありません」と田中氏は述べた。

アブラハム合意は、1994年以降、初めて公式に表明されたアラブ諸国とイスラエルとの間の国交正常化である。この合意が発表されたとき、日本の元外務報道官である吉田朋之氏は、「緊張を緩和し、地域を安定させる」ことができる「前向きな進展」と呼んだ。

同氏は、イスラエルと将来の独立パレスチナ国が「平和かつ安全に共存する」という「二国家解決」を日本は支持していると改めて述べた。

この2017年12月25日の写真では、日本の河野太郎外相(左)がヨルダン川西岸の都市ラマッラーでパレスチナのマフムード・アッバース大統領と会談している。(AFP/資料写真)

とはいえ、中国や北朝鮮との関係がますます緊張している中で、日本は従来の同盟国である米国だけでなく、アジア太平洋地域やヨーロッパの他の国々に軍事協力を拡大している。

特に、東シナ海と南シナ海における中国政府の軍事行動を懸念している。イスラエルは以前に中国と武器取引をしており、ロシアに次いで2番目に大きな武器供給国である。

中国は高度な軍事装備と技術を大量に備蓄してきた。米国はイスラエルの対中武器貿易に強く反対してきた。しかし、イスラエルはアメリカ政府の反対をほぼ無視している。

イスラエルと中国の密接な貿易関係が、日本がイスラエルとの防衛協力を強化することを選択した理由ではないか、という見方もある。

日本の軍事戦略家らは、米国への防衛的依存を緩和する方法を模索しており、イスラエルを、この地域における日本の軍事力を強化するための武器と技術の供給源と見なす可能性もある。

しかし、イスラエルとの新たな防衛協定の締結で、日本政府は依然としてイスラエル・パレスチナ間を調停できる立場にあるのだろうか。

パレスチナ当局の駐日大使であるワリード・シアム氏は、アラブニュース・ジャパンに対し、日本政府は双方を「おおむね支持している」と述べた。

「日本はイスラエルとの長い歴史があるが、それでも日本は中立の立場で両者の和解を支援できると考えている」と述べた。

シアム氏は、パレスチナ人、そしてアラブ世界全般は日本を非常に尊敬していると述べ、多くの国連組織を通じて、日本政府は「常にパレスチナ人を最大限に支援してきた」と語った。

「日本はパレスチナ国家の支援に尽力しており、また常に国連決議に忠実で、東エルサレムをイスラエルの首都として認めることを拒否し、イスラエルの違法入植地を決して認めない」

パレスチナのラミ・ハムダラ首相(左から2番目)と日本の岸田文雄首相は、2022年9月28日に東京の迎賓館赤坂離宮で二国間会談を行った。(AFP通信)

日本はイスラエルとの安全保障協定を締結する前に、まずパレスチナ側に中立の継続を保証すべきだったのではないかと尋ねると、日本政府には「望むことをする権利がある」とシアム氏は答えた。

さらにこう付け加えた:「日本は何も保証する必要はない。国際社会と国連決議に対して確固とした信念をもっているからだ。二国家解決とパレスチナ独立の権利を支持している。

「トランプ前大統領がその政権時に、イスラエルの首都としてエルサレムを認めるよう皆に圧力をかけていたときでさえ、日本は国連で断固とした態度をとり、反対票を投じた」

しかし、イスラエルと協定を締結する国はすべて、国際法と人権の遵守を重視すべきだとシアム氏は考えている。

「私は、日本がイスラエルとこうした緊密な友好関係を利用して、イスラエルに国際法を遵守するよう圧力をかけることを求めている」とシアム氏は述べた。「国際社会が共に立ち上がり、イスラエルに二国家解決を迫らなければ、平和は絶対に訪れない」

日本が提案した「平和の回廊」と呼ばれるジェリコの大規模な農産加工団地と物流イニシアチブを最終的に確立するために、イスラエルは「最大の障害」になってきた、とシアム氏は述べた。

同氏は、イスラエルとの関係を深めていることを利用して、同プロジェクトの最終的な実現を支援できると主張している。

2021年5月にガザ地区で11日間続いた対立の間、日本はすべての国連決議と国際法に従うべきであると強硬に主張し、紛争における「明確で、尊重し、支持する」立場を改めて表明したとシアム氏は述べた。

日本は長年、イスラエルとパレスチナの和平交渉で最も有能な国であると自負してきた。

結局のところ、軍事力の強化と防衛技術への投資が、日本の正しい方向性への一歩であると主張できる人はほとんどいない。しかし、それを成功させるには、より外交的になる必要があるのは明らかだ。

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