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日本の首相、湾岸アラブ3カ国訪問の成果を称賛

カタールでの記者会見で通訳に耳を傾ける岸田文雄首相(2023年7月18日)。(AFP)
カタールでの記者会見で通訳に耳を傾ける岸田文雄首相(2023年7月18日)。(AFP)
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19 Jul 2023 08:07:17 GMT9
19 Jul 2023 08:07:17 GMT9

アラブニュース・ジャパン

東京:日本の岸田文雄首相はサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールの3カ国歴訪について、「主要な目的を達成した」とし、3カ国は「日本にとって重要な湾岸パートナー」であると強調した。2023年7月16日にサウジアラビアから始まった3カ国歴訪の最後の地となるカタール・ドーハで行われた記者会見で岸田氏は、「サウジアラビアのムハンマド皇太子兼首相、アラブ首長国連邦のムハンマド大統領、カタールのタミム首長、そして3カ国の政府関係者、国民の皆様に心温まる歓待をいただいたことに深く感謝を申し上げる」と述べた。岸田氏は湾岸3カ国首脳との会談で、広島G7サミットで採択された法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持という基本原則は「確固たるもの」だと述べた。エネルギー分野については、この分野の課題への対応が日本と中東との関係の中核であることに注目し、「ロシアのウクライナ侵略により、世界的なエネルギー供給の不安定化が問題となっている今、世界的な視野で議論を深めることができた」と語った。日本の首相は、今回訪れた 3カ国とも、「石油ガスの輸出に国家収入の半分以上を依存する経済の現状から脱却し、脱炭素エネルギーの輸出国に転換するとともに、経済産業の多角化を図りたいという強い意志がある」と指摘した。彼は「湾岸諸国と日本がそれぞれの強みを組み合わせて、中東産油国を脱炭素エネルギーや重要鉱物を輸出するグローバルグリーンエネルギーハブに変えていく」と述べた。岸田氏は今回、のべ100社以上の日本企業のCEOや幹部をはじめ、国際協力銀行(JBIC)や経済産業省などの政府関連機関の長が同行し、湾岸諸国の首脳と日本企業の経営者との間で直接協議が行われ、さまざまな分野で協力できる基盤が築かれたことに言及した。 また3カ国の協力の下、主要な目的が「熱意を持って」達成されたとして、グリーン・トランスフォーメーションの推進に向けた協力、ソフトパワー面での交流の推進、安全保障分野での協力、湾岸3カ国の経済多角化に向けた日本のコミットメントの4点を挙げた。クリーンエネルギーへの移行については、エネルギー分野におけるグリーン転換促進に協力することで合意した。 岸田氏は、「日本は、サウジアラビアと今年予定される第28回世界気候会議(COP28)議長国のUAEに対して、中東を将来のクリーンエネルギー供給と重要鉱物のグローバルな供給ハブにするビジョンを提示して賛同を得た」と語った。両国からも具体的な協力の進め方について、積極的な提案があった。今後、このビジョンの実現に向けて、水素・アンモニアの製造や脱炭素技術の実用化と普及に向け連携を強化していく。日本は、グリーンスチールなどの製造過程で二酸化炭素を排出しない素材の研究開発に関する協力も深めていく。岸田氏は、こうした協力も含め、現実的なエネルギー・トランジションに向けて大きな絵を共に描くグローバル・グリーン・ジャーニー構想について提案、賛同を得た。気候行動に関する日本とUAEの共同声明に関しては、「脱炭素化に向けた協力を強化し、COP28の成功に向けた国際社会の取り組みを主導する」と述べた。2点目の湾岸3カ国の経済産業多角化に向けた日本のコミットメントについては、「力強いコミットメントを示せた」と述べた。先端技術、半導体、宇宙、医療、教育、農業、観光といった分野で計 7 本の二国間協力に関する文書への署名が行われ、「海水淡水化プラントの共同研究に関するサウジアラビアの電力会社と東レの覚え書きや、医療ソフトウェアの販売保守契約に関する UAE の企業と富士フイルムの覚え書きなど、のべ 50 本以上の両国企業間の覚書への署名があった」と協力が政府間にとどまらないことを強調した。脱炭素化など先端分野のスタートアップ間の協業を通じて革新を加速化することが重要だと強調した。COP28に向け、 UAE に対して岸田氏から、日・UAE イノベーションパートナーシップを提案、賛同を得た。日本と湾岸協力会議(GCC)諸国の自由貿易協定(FTA)については、ブダイウィ事務局長と2024年中に交渉を再開することで合意した。 3点目の安全保障分野での協力強化では、外交·防衛分野での対話の機会を増やし、国際場裡における一層の協力を深めていくことで3カ国の賛同を得た。さらにGCC諸国との外相会合の定例化について一致したほか、イスラム国·地域57カ国を含むイスラム協力機構(OIC)事務総長とも会談、「OICは暴力的過激主義をなくすために積極的な役割を果たし、中東地域の安定感に大きな影響力を持って」おり、「対話を重ねて、緊密に連携する」とした。 4点目のソフトパワー面での交流について岸田氏は、新型コロナの影響で落ち込む湾岸三カ国から日本への留学生の大幅増を目指すとともに、文化、スポーツ、教育学術分野など、いわゆるソフトパワーの分野での交流をさらに深めていくことについて、各国首脳と意見が一致した。岸田氏は、「多角的な経済環境、安全保障、そしてソフトパワー交流など、幅広い分野で重層的な協力を進めること、そしてその土台には、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の堅持という共通の目標がある」と結論付けた。会見の終わりに、G7サミット議長国を務めた日本は、「G 7広島サミットの成果を世界各国に共有し、国際社会を 1 年間に渡って主導していく。今回の中東訪問で議論したことを、今後の外交機会でもしっかりと継続し、わが国の安全・繁栄と国際社会の安定と繁栄に着実につなげていく」と締めくくった。

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