Since 1975
日本語で読むアラビアのニュース
  • facebook
  • twitter

イスラエルは「戦争状態」、ハマスがガザから過去最大の攻撃

イスラエルのアシュケロンで、ガザ地区から発射されたロケット弾による火事の近くに集まる住民。2023年10月7日(ロイター)
イスラエルのアシュケロンで、ガザ地区から発射されたロケット弾による火事の近くに集まる住民。2023年10月7日(ロイター)
ヨルダン川西岸地区で激しい戦闘中に飛んでくるロケット弾。この地区では今年、イスラエル軍の急襲により200人近いパレスチナ人が殺害された。イスラエル(AFP)
ヨルダン川西岸地区で激しい戦闘中に飛んでくるロケット弾。この地区では今年、イスラエル軍の急襲により200人近いパレスチナ人が殺害された。イスラエル(AFP)
イスラエル南部アシュケロンでガザ地区からのロケット攻撃が続く中、燃えるバンを消火しようとする男性。2023年10月7日(ロイター)
イスラエル南部アシュケロンでガザ地区からのロケット攻撃が続く中、燃えるバンを消火しようとする男性。2023年10月7日(ロイター)
ガザ地区との隔離フェンス近くで、イスラエルのクファール・アザ・キブツから歩き去るパレスチナ人。2023年10月7日(AP)
ガザ地区との隔離フェンス近くで、イスラエルのクファール・アザ・キブツから歩き去るパレスチナ人。2023年10月7日(AP)
ガザ地区からパレスチナ人が押し寄せたクファール・アザ・キブツで燃えている家。2023年10月7日(AP)ガザ市のアルシファ病院の前で、イスラエルへの最近の侵入作戦で殺害されたパレスチナ人の死を悼む人々。2023年10月7日(AFP)
ガザ地区からパレスチナ人が押し寄せたクファール・アザ・キブツで燃えている家。2023年10月7日(AP)ガザ市のアルシファ病院の前で、イスラエルへの最近の侵入作戦で殺害されたパレスチナ人の死を悼む人々。2023年10月7日(AFP)
ガザ市のアルシファ病院の前で、イスラエルへの最近の侵入作戦で殺害されたパレスチナ人の遺体を運ぶ人々。2023年10月7日(AFP)
ガザ市のアルシファ病院の前で、イスラエルへの最近の侵入作戦で殺害されたパレスチナ人の遺体を運ぶ人々。2023年10月7日(AFP)
イスラエルとガザ地区北部の間のエレズ検問所に向かうパレスチナ人とエゼディン・アル・カッサム旅団の戦闘員たち。(AFP)
イスラエルとガザ地区北部の間のエレズ検問所に向かうパレスチナ人とエゼディン・アル・カッサム旅団の戦闘員たち。(AFP)
Short Url:
08 Oct 2023 06:10:05 GMT9
08 Oct 2023 06:10:05 GMT9
  • イスラエル軍はガザへの空爆でこれに応じたと表明
  • イスラエルの報復によりパレスチナ人232人が死亡、1,700人が負傷

モハメド・ムハウィシュ

エルサレム/ガザ:ガザ・イスラエル国境沿いで緊張の激化が続き、パレスチナのヨルダン川西岸地区で激しい衝突が起きた数週間に続いて、主にハマスに先導されたガザ地区のパレスチナ抵抗勢力が8日朝、ガザ地区との間の隔離フェンス沿いに位置する町や入植地内への本格的軍事行動を宣言した。

7日夜、国境沿いでは軍事衝突が進行しており、イスラエルはガザ地区中で複数の住宅街に空爆を行って報復した。

7日晩に起きた、ガザのパレスチナ武装派によるもっとも最近のロケットの集中砲火により、テルアビブではビルが倒壊したというイスラエルの消防署の報告をハアレツ紙が報じている。パレスチナ人の死者数は232人、負傷者は1,697人(内数十人が重体)に達した。現在続いている停電により、深刻な健康被害が生じると予想され、この被害はイスラエルによる封鎖と医薬品の大幅な不足によりさらに悪化すると考えられる。

パレスチナのニュース局Wafaの公式報道によると、完全な停電により、包囲されたガザ地区のすべての場所が影響を受けている。イスラエルのエネルギー大臣は先に、ガザ地区への送電を止める計画を発表していた。ガザは電力の3分の2をイスラエルに依存している。

アルシファ病院のモハメド・アブ・シリミヤ院長は、イスラエルの送電停止によってガザ地区の病院と医療機関が直面する深刻な状況を強調した。これらの施設は、現在進行中のイスラエルの空爆によって増え続ける負傷者に十分な手当てをしようと苦闘している。アルシファ病院は封鎖された飛び地になっているガザ地区最大の医療施設で、最多の死傷者を受け入れる中で、特に負担が集中している。怪我人の治療に当たる医療従事者たちにかかる負荷は、停電によりさらに増している。

パレスチナ保健省によると、占領下にあるヨルダン川西岸地区の都市カルキリヤでは、イスラエル軍が13歳の少年を銃撃して致命傷を負わせるという悲劇的な出来事があった。イスラエルが占領するヨルダン川西岸地区および東エルサレムではパレスチナ人医師が、3人が殺害され、30人超が負傷したと報告している。

さらに、ハマスの軍事部門「エゼディン・アル・カッサム旅団」の報道官は、パレスチナ人戦闘員が「数十名」のイスラエル軍兵士と将校を捕らえ、彼らは現在「地下の安全な場所」に拘束されていると発表した。

所属する政党リクードの発表では、イスラエルのネタニヤフ首相は野党指導者であるヤイール・ラピード氏とベニー・ガンツ氏に対し、統一政府樹立に向けた協力を提案した。特にラピード氏は以前、団結を示すためにネタニヤフ氏と協力することに前向きな姿勢を表明していた。一方、ガンツ氏はこの提案を考慮中だと示唆した。

さらに、ここ数時間でイスラエルは複数の高層建築に対して空爆を行っており、その内1つの攻撃の様子はアル・ジャジーラがライブ中継で伝えている。状況は依然きわめて危険かつ流動的である。

一方、イスラエルの救急サービスによると、パレスチナの抵抗運動勢力による攻撃で少なくとも200人のイスラエル人が死亡した。保健省によると、イスラエル人1,100人以上が負傷し、報道では数十名が人質となっている。

今回の攻撃では、武装したハマスのメンバー(人数は不明)がガザ地区から越境してイスラエル領内へ侵入しており、約20年前の第2次インティファーダにおける自爆攻撃以来、イスラエルにとっては最大の打撃である。

「どうか助けを寄越して」

ガザ近くのキブツ(共同農場)ニル・オズから電話でイスラエルのN12ニュースの取材に答えた女性はドリーンと名乗り、戦闘員が住居に侵入し、彼女が隠れている防空壕を開けようとしていると話した。

「また彼らが入ってきた。どうか助けを寄越して」と彼女は言った。「被害を受けた家がたくさんあり…夫がドアを押さえている…彼らは何度も銃で撃ってくる」

イスラエルのガラント国防相は「すべての場所で部隊は敵と交戦中」であると述べ、予備兵の招集を承認した。

イスラエルメディアの報道によると、スデロットでは武装した戦闘員が通行人に発砲し、ソーシャルメディアに出回っている動画には都市部の通りでの衝突と見られる場面や、田園地域で武装した男たちがジープで走り回る様子などが映っている。

「キブツ内部にテロリストがいると言われた。銃声が聞こえる」とベーリ・キブツのドヴィルという若い女性はイスラエル軍のラジオ局の取材に、自宅の防空壕から話した。

背景には暴力の急増

衝突の激化の背景には、ヨルダン川西岸地区でのイスラエル側とパレスチナ武装勢力間の暴力の急増がある。ヨルダン川西岸地区はガザ地区とともに、パレスチナの人々が長年国家樹立を望んできた領土の一部である。

ハマスに属するメディアは戦闘員がガザに運び込んだイスラエル軍兵士の遺体だとするものと、武装したパレスチナ人がイスラエル領内に入り、イスラエル人の住居内にいる姿やイスラエルの町をジープで回る様子を映した動画を公開した。

ロイターは、この映像を検証できていない。

ハマスはまた、破壊されたイスラエル軍の戦車と見られるものの映像も公開している。

ガザではロケットが発射される轟音が聞こえ、住民の報告では南部の町ハーン・ユーニス近郊ではイスラエルとの間の隔離フェンス沿いで武力衝突が起きており、武装した戦闘員に大きな動きが見られたという。

ガザのパレスチナ人たちはイスラエルの報復に備えていた。

「恐ろしい」とパレスチナの女性アマル・アブ・ダッカ氏はハーン・ユーニスの自宅を出ながら話した。

ガザに暮らす他の人々は、ハマスのイスラエル侵入を信じられないと述べた。「まるで夢を見ているようで、まだ信じられない」とあるガザの商店主は話した。

今回の攻撃の前日は、イスラエルの第4次中東戦争の50周年記念日であった。この戦争では、シリアとエジプトによる奇襲で一時イスラエルは壊滅的敗北の手前に追い込まれた。

 

特に人気
オススメ

return to top