• ガザでの戦争が続く中、ジャニン・へニス・プラスハルト氏が国連安全保障理事会に対し、「中東は重大局面にあり」、「イラクにも同じことが言える」と述べた

国際連合：イラク政府はイスラエル・ハマス戦争が国内や地域に飛び火する事態の回避に注力しているが、イラクへの継続的攻撃が、同国がようやく手にした安定を脅かすと、国連のイラク担当特使が6日に警告した。

ガザでの戦争が続く中、ジャニン・へニス・プラスハルト氏は国連安全保障理事会に対し、「中東は重大局面にあり」、「イラクにも同じことが言える」と述べた。

イラク国内外からの攻撃は、同国の安定だけでなく、「過去18か月の成果」をも帳消しにしてしまうだろうと、同氏は述べた。そして、「攻撃によるメッセージは、緊張をむやみに高め、死傷者を出し、財産を破壊するだけだ」と語った。

過激派ダーイシュと戦う米軍が駐留するヨルダンの施設に対して行われ、米兵3名が死亡し、多数が負傷した1月28日のドローン攻撃と、これに報復した米軍の、イランが支援する武装組織とイランの革命防衛隊が使用するイラクおよびシリアの拠点に対する2月2日の85回の空爆について、同氏は指摘した。イラクもシリアも、民間人が死傷し、財産が破壊されたと主張している。

へニス・プラスハルト氏は、多くのイラク人は、1月中旬にイランが行った、イラクのクルド人自治区の首都である北部の都市エルビルへのミサイル攻撃にも衝撃を受けたと述べた。この攻撃は民間人の死者を出しており、「イラクとイランの安全保障協定に関する多大な努力と」相容れないものだという。

「武力を誇示するのではなく、イラクが広範な紛争に決して引き込まれないよう守ることをあらゆる取り組みの主軸とするべきだ」と、同氏は述べた。

同氏は、イラクの武装組織、隣国および諸外国に自制を求め、それがイラクの安定と発展のために「不可欠」だと述べた。

「イラクは既に複雑に絡み合った複数の課題を抱えている状況であり、全ての攻撃が停止されることが非常に重要だ」とへニス・プラスハルト氏は述べた。同氏は、バグダッドでの5年間の国連特別代表としての務めを終え、5月末に去る予定であることを発表した。

ロシアは5日に、米国のイラクおよびシリアへの空爆に関する理事会会合を招集し、ロシアのドミトリー・ポリアンスキー次席大使は、イラク政府による安全保障面での達成があっても「現地の状況は不安定だ」と述べた。

同氏は、米国は中東和平政策の失敗と、現在の大統領選の選挙運動を背景に、イラクを「偏狭な国内のアジェンダを進めるための地政学的なリベンジの場」にしようとしていると、改めて非難した。

米国のロバート・ウッド国連代理大使は、イランと連携する武装組織は、7年前に過激派ダーイシュが打倒されて以来「イラクが苦戦して得たものを台無しにしようとしている」と反論した。

「2023年10月から、これらの組織はイラク、シリア、ヨルダンの米軍および連合軍を165回以上攻撃し」、イラク軍などに死傷者を出してきた。

米国は、UNAMIと呼ばれる国連の政治ミッションが、「国民のための持続可能な未来を築くとともに、政治的移行と絶えず変化する安全保障上のニーズに適応するイラクの計画を促進する」方法についての独立審査による勧告を待っていると、ウッド氏は述べた。

イラクのアッバス・アル・ファトラウィ国連大使は理事会に対し、自国は地域および世界における「主導的役割」を取り戻そうとしていると述べ、国際的・国内的に行っている取り組みについて概説した。

同大使は、自国の主権を侵害する「米国、トルコ、イランによるイラク領土への攻撃」を非難し、イスラエル・ハマス戦争の拡大とその継続の危険について警告した。

アル・ファトラウィ氏によれば、イラクと米国は、ダーイシュの残存戦闘員と戦う米軍および連合軍の駐留の今後に関する、第1回の協議を行っており、「円滑な移行を保証できる形での」駐留軍縮小のための予定表作成に関して話し合った。

AP