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  ガザ、世界は歴史上初の戦争を口実にした大量虐殺を目の当たりに、と国連専門家ら

2024年4月3日、イスラエルとパレスチナ過激派組織ハマスの紛争が続く中、ガザのアルシファ病院周辺の荒廃した地域で、がれきの上を歩くパレスチナ人男性。(AFP=時事通信)
2024年4月3日、イスラエルとパレスチナ過激派組織ハマスの紛争が続く中、ガザのアルシファ病院周辺の荒廃した地域で、がれきの上を歩くパレスチナ人男性。(AFP=時事通信)
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04 Apr 2024 02:04:22 GMT9
04 Apr 2024 02:04:22 GMT9
  • 「ガザにおける医療インフラの意図的な空爆は、苦悩し心に傷を負った住民をさらに追い詰めるような状況を作り出している」と警告。
  • イスラエルによるアル・シファ病院の破壊を受け、国連加盟国に対し「この恐怖を終結させる為に、可能な限り外交的、政治的、経済的手段、法的手続きを用いる」よう呼びかけた。

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:国連の専門家らは、ガザの「アル・シファ病院での大規模な破壊と殺戮行為」を非難し、同地域で進行中の「大量虐殺」を終結させる為、あらゆる力を尽くすよう各国に求めた。

専門家らは、世界の指導者たちが採択した戦略が失敗し「この継続的で悪質、グロテスクな暴力 」に未だ終止符を打てずにいることを嘆いた。

ガザに残された最後の病院であったアル・シファを標的にした2週間にわたるイスラエル軍の作戦によって、病院は廃墟と化し、病院内やその周辺には数百体の遺体が散乱している。イスラエル軍は、医療従事者を殺害し、数百人の市民を拘束し、家屋を焼いたと伝えられている。

到達可能な最高水準の心身の健康を享受するすべての人の権利に関する特別報告者であるトラレン・モフォケン氏と、1967年以来占領されているパレスチナ地域の人権状況に関する特別報告者であるフランチェスカ・アルバネーゼ氏は、「世界は、こういった犠牲者たちによって、イスラエルが戦争を口実に正当化した、歴史上初の大量虐殺をリアルタイムで目の当たりにしている」と述べた。

アル・シファ病院の包囲と破壊を受け、専門家らは国連加盟国に対し、「この恐怖を止めるために、可能な限り外交的、政治的、経済的措置と法的手続きを用いる」よう求めた。

「病院を包囲・破壊し、医療従事者、病人、負傷者、そして彼らを援助する人々を殺害することは、国際法で禁じられています。このような暴力を許すことは、ガザの人々が健康と、健康の社会的決定要因を得る権利を持たない、という明確なメッセージを国際社会に送ることになります」と専門家らは続けた。

戦争前、アル・シファ病院はガザの人々に医療を提供する唯一無二で最大の施設だった。その破壊は、世界保健機関(WHO)によって、「保健システムの中枢を引き裂いた 」と評された。

アルバネーゼ氏とモフォケン氏は言う「もはやこれ以上、尊厳を持って受けられる医療の利用可能性、利便性、受容性、医療の質について議論している場合ではありません。ガザにおける医療インフラの意図的な破壊は、苦悩し心に傷を負った住民をさらに追い詰める為に計算されている」

専門家らによれば、アル・シファ病院周辺の患者には、イスラエル軍の作戦によって負傷した住民だけでなく、急性および慢性疾患の患者も含まれていた。このため、組織や臓器の損傷、大量出血、骨折、脱臼などのような重軽傷、合併症等の、治療が困難かつ複雑な多面的な医療が必要とされる。

「適切、効果的な治療と援助を適宜提供できなかったことで、多くの患者が動揺した。障害が残ったり、負傷のために命を落とした者もいた」と専門家らは述べた。

「この前例のない悲劇を通し、我々は加盟国に対し、人道支援への効果的なアクセス、残された医療インフラと医療従事者の保護、多くを失い、心に傷を負った住民の生命、健康、尊厳に対する権利保護、促進、尊重するための行動を直ちに取るよう求める」とは付け加えた。

特別報告者は、国連人権理事会の特別手続として知られるものの一部である。彼らはボランティアベースで働く独立した専門家であり、国連スタッフの一員ではなく、報酬は支払われない。

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