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イランのイスラム革命防衛隊、イスラエルとの緊張状態の渦中、ホルムズ海峡付近で商船を拿捕

2024年4月13日、ホルムズ海峡付近で船を狙うヘリコプターの映像。(AP)
2024年4月13日、ホルムズ海峡付近で船を狙うヘリコプターの映像。(AP)
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14 Apr 2024 01:04:55 GMT9
14 Apr 2024 01:04:55 GMT9
  • ポルトガル船籍のMSCアリエス号は、イスラエルの大富豪エヤル・オフェル氏のゾディアックグループの傘下である、ゾディアック・マリタイムと関連がある。
  • 国営イラン通信(IRNA) は、イスラム革命防衛隊 の海軍特殊部隊が船舶を攻撃したと述べた。

テヘラン/ドバイ:イランの準軍事組織である、イスラム革命防衛隊の海軍特殊部隊は、13日ホルムズ海峡付近で運航していた、イスラエルとの関連が疑われた商船に、ヘリコプターから垂直降下して乗船し、同船を拿捕した。

中東では、今月初めにイスラエルがシリアのイラン大使館を空爆し、コッズ部隊の上級司令官を含む12人が死亡したことから、イランの報復の可能性に警戒していた。

一方、イスラエルによるガザ地区のハマスへの攻撃は6カ月を経過し、地域全体の数十年来の緊張を高めている。レバノンのヒズボラやイエメンの反体制派フーシ派など、イランが支援する武装勢力も戦闘に関与しており、中東での新たな攻撃は、この紛争をより広域の戦争へとエスカレートさせる恐れがある。

国営イラン通信(IRNA)によれば、イランの海軍特殊部隊が、ロンドンに拠点を置くゾディアック・マリタイムのポルトガル船籍の商船、MSCアリエス号を拿捕したという。

ゾディアック・マリタイムは、イスラエルの大富豪エヤル・オフェル氏のゾディアック・グループの傘下である。同社はコメントを拒否し、MSCに取材するよう求めた。ジュネーブに本拠を置くMSCは、後に同社の商船が拿捕された事を認め、25人の乗組員が乗船していたと述べた。IRNAは、イスラム革命防衛隊が、イラン領海内に拿捕した商船を引き入れるだろうと報道した。

これに先立ち、ある国防関係者は匿名を条件に、AP通信に商船拿捕に関する映像を公開した。そのビデオでは、イランの兵士が、ヘリコプターから船のデッキに置かれたコンテナの山に垂直下降している。

船の乗組員が「くるな」言っているのが聞こえる。さらに多くの兵士がデッキに降りてくる中、乗組員は、船のブリッジに行くように指示した。ある兵士が、他の兵士の上で、援護射撃をしているのが見える。

映像の商船は、MSCアリエス号の既知の詳細と一致した。使用されたヘリコプターは、ソ連時代のミルMi-17ヘリコプターのようで、イエメン沿岸警備隊とイランに支援されたフーシ派が過去に船舶の襲撃に使用したことがある。

英国海軍諜報機関は、この商船はアラブ首長国の港湾都市、フジャイラ沖のオマーン湾で「地域当局に拿捕された」と説明した。

MSCアリエス号は、12日に、ホルムズ海峡に向かうドバイ沖で最後に目撃された。同船は追跡データをオフにしていたが、これは同地域を航行するイスラエル船にはよくあることだった。

イスラエルのイスラエル・カッツ外相は、イラン革命防衛隊をテロ組織としてリストアップするよう各国に呼びかけた。

イラン革命防衛隊は「ハマスの犯罪を支援する犯罪政権であり、現在は国際法違反の海賊行為を行っている」とカッツ氏は述べた。

イランは2019年以降、急速に進む核開発計画をめぐる西側諸国との緊張が続く中、一連の船舶拿捕や、船舶への攻撃を行ってきた。

11月以降、フーシ派がアデン湾と紅海の船舶を標的にしたため、イランは船舶攻撃を減らしていた。フーシ派の攻撃は、イスラム教の聖なる断食月であるラマダン(断食月)が終わり、反体制派が数ヶ月に及ぶアメリカ主導の空爆に直面したため、ここ数週間で鈍化した。

これまでの拿捕では、イランはその攻撃と地政学的な緊張が無関係であるかのように見せかける説明をしてきた。しかし、13日の攻撃では、MSCアリエス号がイスラエルと関連があると言う以外に、何の説明もなかった。

最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイラン政府高官は、数日前から、シリアのイラン大使館空爆に対し、イスラエルに「報復」すると警告している。西側諸国は、この地域の自国民に対し、報復に警戒するよう呼びけかている。

しかし、イランはこれまで、イスラエルが核科学者暗殺や原子力施設に対する複数の妨害工作を行ってきたにもかかわらず、直接報復することは避けてきた。その代わり、数十年にわたり、親イラン武装勢力を通じて、イスラエルやユダヤ人関連施設を標的にしてきた。

今週初め、海軍を統括する、イスラム革命防衛隊のアリ・レザ・タングシリ司令官は、この地域とアラブ首長国連邦のイスラエル人を批判した。アラブ首長国連邦は2020年にイスラエルと外交を結んだが、このことは長い間イランを激怒させてきた。

「シオニストは単に経済的な分野だけでなく、治安維持や軍事的な分野でも存在感を強めている。これは脅威であり、あってはならないことです」と同司令官は述べた。

イスラエルの主要支援国であるアメリカは、ガザ戦争で33,600人以上のパレスチナ人が死亡、76,200人以上が負傷し、国際社会の懸念が高まっているにもかかわらず、イスラエルを支援し続けている。ガザ戦争は、ハマスが10月7日にイスラエルに攻撃を仕掛け、1,200人が死亡、約250人が人質に取られた事件に端を発し始まった。

ジョー・バイデン大統領は、イランに対し12日、イスラエルに報復しないよう警告した。また、イランによるイスラエルへの報復は「近いうち」だろうと予測した。

「アメリカは、イスラエルを防衛するために協力する。イランの報復は成功しないだろう」とバイデン大統領は続けた。

オマーン湾は、世界的に取引される石油の5分の1が通過する、アラビア湾の狭い湾口、ホルムズ海峡の近くにある。アラブ首長国連邦の東海岸にあるフジャイラ港は、この地域の主要港であり、船舶が新たな石油貨物を積み込んだり、物資を受け取ったり、乗組員を交換したりする場所だ。

2019年以降、フジャイラ沖では爆発やハイジャックが相次いでいる。米海軍は、タンカーを損傷させた、船舶へのリムペットマイン攻撃についてイランを非難した。一方、UAEはイランとの関係修復を模索し、シリアにおけるイラン大使館空爆に対し、イスラエルを非難する声明を発表した。

AP

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