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米国の、アラブとイスラエルの国交正常化に向けた動きがスーダンの指導者を分断

米政府がスーダンとの外交における関わりを深めようと努める中、ハルツームに到着したマイク・ポンペオ米国務長官(AFP)
米政府がスーダンとの外交における関わりを深めようと努める中、ハルツームに到着したマイク・ポンペオ米国務長官(AFP)
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05 Oct 2020 08:10:00 GMT9
05 Oct 2020 08:10:00 GMT9
  • 提示されたのは現金で10億ドル以下で、そのほとんどがUAEによって支払われる予定だ、と会議に参加したスーダン政府高官は述べた

カイロ:不安定なスーダン暫定政府は、イスラエルとの国交正常化をめぐって意見がはっきり分かれている。UAEとバーレーンに続いて国交正常化する第三のアラブ国家にすぐになれ、というトランプ政権からの強い圧力にさらされているからだ。

米国がスーダンとイスラエルの国交正常化に向けて動いているのは、11月の米大統領選挙前に外交政策の成果を収めるキャンペーンの一環だ。

スーダンは、米国の影響力により、自然とその圧力キャンペーンの標的になっているように思われた。ハルツームは、米国のテロ支援国家のリストから除外されるために必死に努力していた。スーダンは、その汚点が除去されれば、疲弊した経済を再建するために不可欠な国際融資を受け、国際援助を得ることができる。

スーダン暫定政府は、同国をリストから除外する条件を1年以上にわたって交渉してきたが、米当局者はつい最近、イスラエルとの国交正常化を交換交渉条件として紹介した。

最高評議会で文民のテクノクラートと共同で統治するスーダンの最高軍事指導者らは、米大統領選挙前の米政府との迅速な交渉の一環として、イスラエルとの国交正常化を支持することをますます強く主張している。

同評議会の副議長ムハンマド・ダガロ将軍は2日、地元テレビ局で、「好むと好まざるとにかかわらず、(スーダンのテロ支援国家のリストからの)除外はイスラエル(との国交正常化)と関連している」と語った。

「我々にはイスラエルが必要だ……イスラエルは先進国で、全世界がイスラエルと協働している。我々はそのような関係から利益を得るだろう……皆がスーダンの国益に目を向けることを願っている」と同氏は述べた。

イスラエルへの国民の反発が今も強い国でそのようなコメントが出ることは、最近まで考えられなかっただろう。

連合の文民の最高幹部であるアブダラ・ハムドク首相は、暫定政権には、これほど重要な外交政策案件を決定する権限はないと主張している。

先月、マイク・ポンペオ米国務長官がスーダンを訪れた際、ハムドク氏はポンペオ氏に、スーダンをテロ支援国家のリストから除外することを進め、それをイスラエルを承認することに関連付けないよう求めた。

ハムドク氏は今週、記者団に対し、「我々の社会の中で深い議論をする必要がある」と述べた。

メディアに話す権限がないため匿名を条件に発言した数人のスーダン政府高官は、文民の指導者らは、交渉を行うのを米大統領選挙が終わるまで待つことを望んでいると話した。

高官らによると、軍指導者らは、包括的援助計画と引き換えに、イスラエルとの国交正常化を含め、米・スーダン間で迅速に交渉することを求めている。軍部は、現在提示されているインセンティブが米大統領選挙後に取り消される可能性があることを恐れている、と高官らは話した。

一つの障害は、スーダンへの将来的な援助の規模だ。スーダン、米国、UAEの高官が出席して先月開かれたアブダビでの会議は合意に至らず終了した。

会議に出席したスーダン政府高官によると、提示されたのは現金で10億ドル以下で、そのほとんどがUAEから支払われる予定だという。スーダン・チームは、スーダン経済救済のために30億ドルを要求していた。

軍高官のダガロ氏はツイッターに、南スーダンで米国のドナルド・ブース・スーダン担当特使と会った後、スーダンをテロ支援国家のリストから「できるだけ早く」除外するという約束を取り付けた、と2日に投稿した。

イスラエル高官は、国交正常化に関する交渉は、米国とスーダンだけで行われていると述べた。

同高官は、機密事項である外交問題について話しているため匿名を条件に、「我々はまだそこにいない」と述べた。イスラエル政府は、11月3日の米大統領選挙までに交渉がまとまることを望んでいるという。

イスラエルにとって、スーダンとの友好関係は象徴的な勝利となるだろう。

イスラム教徒が大多数を占めるアフリカの国スーダンは、独立国家樹立を求めるパレスチナ人を支援している、と以前から表明している。パレスチナ人がその国家のために求めている土地であるヨルダン川西岸、ガザ地区、東エルサレムをイスラエルが占領した1967年の中東戦争の後、歴史的なアラブ連盟首脳会議がハルツームで開かれた。

この会議では、「3つのノー」として知られるようになった決議案が承認された。イスラエルとの和平へのノー、イスラエルの承認へのノー、そして交渉へのノーだ。

スーダンが「テロ支援国家」に指定されたのは、ウサマ・ビン・ラディンと他の指名手配中の過激派を一時的にかくまっていた1990年代だ。スーダンはまた、イランがガザ地区のパレスチナ武装勢力に武器を提供するためのパイプラインとしての役割を果たしたと考えられている。

スーダン人のアナリストで日刊紙Al-Tayarの編集者でもあるオスマン・ミルガニ氏は、スーダンの指導者たちには決断を下す時間が無限にあるわけではないと述べた。

「米国によるインセンティブの申し出は……長くは続かないだろう。それは、一方では米大統領選挙、そして国交を正常化するアラブ国家の数と関係しています」と同氏は話した。

スーダンを長年にわたって指導したオマル・バシル氏が退陣し、戦争犯罪やその他の容疑が掛けられていることから、スーダン暫定政府は、テロ支援国家に指定された理由はなくなったと考えている。

しかし、米国人の多くは、スーダンは前政権の行動を償うべきだと主張している。

スーダンは既に、理屈の上では、ビンラディンがスーダンで生活している間にアルカイダ・ネットワークが計画した、1998年のケニアおよびタンザニアの米大使館爆破事件の犠牲者に対する補償協定に関して米国務省と合意している。

しかし、大使館で働いていて、後に米国市民となった人々を含む、米国人以外の被害者に対して提案された補償協定の公正さに関する問題により、協定を承認しなければならない議会での審議が遅れている。

一方、9月11日同時多発テロの犠牲者の家族の一部もスーダンに対して補償を求める手続きを開始しているが、同国とそのテロ計画とのつながりはあまり明確ではない。彼らの申し立てによって大使館爆破事件の補償協定は複雑化しており、米国議会にスーダンをリストから除外することをさらに躊躇させる可能性がある。

一方、スーダン政府は、打つ手が限られていることを認識している。

「我々は、完全に合法なスーダンとの関係からいくらかの利益を得るために米国が影響力として使用しているそのリストから除外されるべきだ」とスーダンのOmar Qamar Al-Din外相代理は先月、ジュネーブの記者団に語った。

AP

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