• イスラエルはエルサレム全域をイスラエルの首都と考えており、エルサレムの自治体は、観光事業者が湾岸諸国の旅行者にエルサレムを売り込むための会議やセミナーを開催している

エルサレム：イスラエルが湾岸諸国の旅行者を誘致し、ドバイとアブダビの主要な旅行の拠点への新しい航路を確立する中、東エルサレムのパレスチナ人は、コロナウイルスが聖都をゴーストタウンに変えてから数か月たち、ほどなく観光事業の恩恵を目の当たりにする可能性がある。

パレスチナ人は、1967年の戦争でイスラエルによって占領された領土である東エルサレムとヨルダン川西岸地区を含む国家を樹立することを願っている。数十年間の断続的な和平交渉において主要な影響力の現れとして考えられているアラブの支持は現在、消えゆくよう見え、パレスチナ人は間違いなく最近の歴史の中でどの時点よりも弱く、孤立している。

先週の印象的な展開では、イスラエルの入植者の代表団がビジネスの機会について議論するためにアラブ首長国連邦を訪問した。パレスチナ人は、ヨルダン川西岸地区と東エルサレムの入植地を和平の主な障害と見ており、国際社会の大半は入植地を違法と見なしている。

しかし、宗教観光の拡大の見通しは、裕福な湾岸諸国の観光客や遠く離れた場所からのイスラム教徒の巡礼者が新しい航路と改善された関係を活用してアル・アクサや他の聖地を訪問するため、イスラエル人とパレスチナ人の両方に利益をもたらす可能性がある。

イスラエルはエルサレム全域をイスラエルの首都と考えており、エルサレムの自治体は、観光事業者が湾岸諸国の旅行者にエルサレムを売り込むための会議やセミナーを開催している。

UAE・イスラエル・ビジネス協議会の共同創設者で、最近UAEを訪問したHassan Nahoum氏は、自治体は利益がすべてに行き渡ることを保障するために地元のアラブの観光事業者に接触していると述べた。

Abu-Dayyeh氏は、長距離航空会社エミレーツ航空とエティハド航空の世界的な旅行の拠点であるドバイとアブダビからテルアビブに1日最大で28便の航空機が到着し、極東や南米からの旅行者が容易に聖地に来ることができるようになることを期待している。

同氏は、パレスチナの事業者が競争に打ち勝つことができると確信している。「我々はこの地で何百年もこのサービスを提供してきました」と同氏は話した。

他のパレスチナ人はより懐疑的なように見える。主にコロナウイルスのために閉鎖されているエルサレム旧市街にある店の十数人の所有者は、余りに政治的に敏感だとして、湾岸諸国からの観光の推進についてコメントすることを断った。

また、イスラエルがアル・アクサへの観光を推進することで緊張が高まるのではないかという懸念もある。

エルサレム旧市街の丘の上にある平坦地には、アル・アクサ・モスクと象徴的な岩のドーム神殿があり、イスラム教で3番目に神聖な場所となっている。また、ユダヤ人にとっては最も神聖な場所でもあり、古代に聖書の2つの神殿があった場所であることから神殿の丘と呼ばれている。

この場所はイスラエルとパレスチナの紛争において敏感な場所であり、近年、宗教家や国家主義者のユダヤ人がイスラエル警察に付き添われてこれまでにないほどの数で訪問したため、緊張が高まっている。

これらのモスク群を管理するヨルダンの宗教団体ワクフの関係者は、湾岸諸国からの観光を推進するイスラエルの取り組みについてコメントを避け、政治的な敏感さを強調した。

アル・アクサで金曜日の礼拝を主導するイマームのイクレマ・サブリ氏は、聖地の主権に対するイスラエルの主張を助長しないように、訪問はすべてワクフと調整されなければならないと述べた。パレスチナ人は、イスラエルがこの地を占領したり、分割したりしようとしているのではないかと長い間恐れてきた。イスラエル政府は、現状維持を約束すると言っている。

「パレスチナの外からの訪問者はワクフと調整しなければならない。しかし、占領地側からの訪問者は、歓迎も受け入れもしない 」とサブリ氏は言う。

AP通信