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バグダッドの自爆テロが、苦しいイラク軍の欠陥を露呈

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23 Jan 2021 06:01:12 GMT9
23 Jan 2021 06:01:12 GMT9
  • 首相は治安対策を見直し、新たな連邦警察長官と、エリートの国家諜報機関、ファルコンの新チーフを任命

バグダッド:イスラム国(IS)グループが犯行を主張する2度にわたった自爆テロは、COVID-19のパンデミック、ライバルの武装集団、政治的緊張で弱体化したイラクの治安部隊内の欠落部分を露呈させた。

1月21日、バグダッドの商業地区を狙った2度にわたる自爆テロで、少なくとも32人が死亡し、100人以上が負傷した。

2003年にアメリカが主導したイラク侵攻に続き、イラクの治安部隊は外国軍による訓練に大きく依存し、最初から効果的に編制し直す必要があった。このパンデミックにより、この編成作業は突然中断した。

ソーシャルディスタンスをほとんど確保できずに、基地で共同生活をするイラク軍の中には、この国で最初の新型コロナウイルスの感染者となった者たちもいた。

2020年3月、アメリカ主導の有志連合は、このパンデミックの拡大を阻止するために、イラク治安部隊を訓練している外国人部隊を帰還させると発表した。

この1年間、COVID-19のために訓練が減少したことにより、イラク治安部隊に欠陥が生じた、とバグダッドにいるアメリカの高官は先月、AFP通信に語った。

これは、イラクの治安当局が有志連合のコミュニケーションによる監視、つまり、ISの攻撃を未然に防ぐために不可欠な「早期警戒システム」の利用を減らしたこととなる、と高官のワトリング氏は語った。

こうした撤退の多くが、恒久的なものとなった。

アメリカ主導の有志連合は昨年、イラク軍はISの残党と自力で戦うことができると発表し、イラク中の8つの基地から撤退した。

これと同時に、治安状況が改善したことを挙げ、バグダッドの当局は、何年間もこの都市の渋滞の原因となってきたコンクリート製の防爆壁と、検問所を撤去した。

百戦錬磨の部隊は、潜伏しているIS工作員を追いかけるために、都市から地方に派遣され、経験の浅い部隊が都市の治安を担っていた。

安全保障専門家のアレックスメロ氏は、こうした部隊の交代と、諜報機関の信頼性低下が組み合わさって、結局ISに「つけ込む隙」を与えてしまった。

イラクの治安部隊には、陸軍、武装警察部隊、2014年以降この国で取り入れられた国防軍のネットワークである国民動員軍、ハシド・シャービが含まれている。

治安部隊の多くが、イランから支援を受けており、このことが、イラン最大の敵、アメリカに訓練を受けた部隊との相互不信を生み出していた。イランのガーセム・ソレイマニ最高司令官と、イラクの司令官、ハシドのアブー・マフディー・アル・ムハンディスー副長を殺害したアメリカのドローンによる昨年の攻撃の後、緊張感は急激に高まっていた。「本当のひずみは、政治的なことからでした」と、ワトリング氏は語った。

「ISとの闘いの間に、ハシド、有志連合、その他の部隊の間には非公式な情報共有がたくさんありました。こうした共有は、もはや全くありません。これにより、状況を認識する能力が衰えているのです」と、同氏は語った。

このような緊張感に対処するのは、アメリカに友好的だと見られているムスタファ・アル・カーズィミー首相の主要課題となっている。

21日の自爆テロに続いて、カーズィミー首相は、新たな連邦警察長官と、エリートの国家諜報機関、ファルコンの新チーフをはじめとして、イラク治安当局の首脳陣の見直しを発表した。カーズィミー首相は、このような変更が、21日のテロリストがつけ込んだ穴を埋めるばかりか、信頼と協力のより深い問題を解決できれば良いと望んでいる。

AFP通信

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