アラブニュース

• 救急車58台が事故現場に向かい、負傷者を県内の３カ所の病院へ搬送
• エジプトの列車事故は脆弱なインフラとメンテナンス不足が原因であることが多い

カイロ：18日（日）にエジプトで発生した列車事故で11人以上が死亡、約100人が負傷した。

カイロからナイルデルタのマンスーラに向かう列車の４車両が、カイロから北に40キロのカリュビア県の農村、トゥークで脱線した。

事故を受け、サウジアラビアはいち早く哀悼の意を表した。「王国はご遺族、エジプト政府および国民に心から哀悼の意を表し、負傷者の皆様の速やかな回復を祈ります」と外務省は発表した。

エジプトの保健省によると、負傷者は50台以上の救急車で県内の３軒の病院に搬送され、軽傷の14人が事故現場近くの病院から退院した。また、事故原因の究明にあたる調査員らが派遣された。

鉄道当局のアシュラフ・ラスラン局長は、列車の脱線の原因を究明するための緊急技術委員会が設立されたと述べた。

またエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、エジプト軍の工学当局に事故の調査を命じた。運転士その他の鉄道関係者が事情聴取のために身柄を拘束されている。

日曜に起きたこの列車事故は、ソハグ県で死者18人および子供を含む200人の負傷者を出した列車同士の衝突事故からわずか３週間後に起きた。

検察は、死者を出した３月25日の衝突事故の要因として鉄道員らの著しい怠慢を指摘し、全国で非難の声が上がった。

今月、カイロから北に70キロのミンヤ・アル・カム近郊で旅客列車の２両が脱線した際、15人が負傷した。

2019年２月には、無人の機関車がカイロのラムセス駅構内の壁に衝突して大爆発と火災が発生し、25人以上が死亡した。この事故で当時の交通相が辞任に追い込まれた。

2017年８月には、地中海の港町アレクサンドリアで旅客列車同士が衝突し、43人が死亡した。2016年には、カイロ近郊で通勤列車同士が衝突し、51人以上が亡くなった。

エジプトで最も被害が甚大だった列車事故は2002年にカイロからエジプト南部に向かう夜行列車で火災が発生し、300人以上が死亡したものであった。

エジプトの列車事故は脆弱なインフラとメンテナンス不足が原因であることが多いとされるが、死者を出した2019年の列車事故を受けて軍人から交通相に就任したカメル・エル=ワジル大臣は３月の事故をヒューマンエラーによるものと断罪した。

大臣は「人為的な要因に問題がある」と事故の後に述べ、2024年までに自動ネットワークを導入することを約束した。

アフリカ開発銀行は今月、エジプトの鉄道ネットワークの改善のために1.7億ドルの貸付を行うことを発表した。

同行によると、この資金は「運営の安全性向上および国内鉄道のネットワーク輸送能力の増強のため」に用いられるという。

また、「この改善計画は安価な交通手段として鉄道を求める、国民の40パーセントを占める低所得のエジプト人にとって有益なものとなる」としている。

(AP)