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イラク石油相、「ガス部門を優先」と発言

イラクの石油産業は、新型コロナウイルスの世界的流行により壊滅的な打撃を受けたが、現在回復しつつあり、重要な投資プロジェクトが控えているものの、同国の石油相は、官僚的な恐怖文化がその妨げになっていると警告した。(AP)
イラクの石油産業は、新型コロナウイルスの世界的流行により壊滅的な打撃を受けたが、現在回復しつつあり、重要な投資プロジェクトが控えているものの、同国の石油相は、官僚的な恐怖文化がその妨げになっていると警告した。(AP)
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13 Jun 2021 01:06:44 GMT9
13 Jun 2021 01:06:44 GMT9
  • イラクでは現在、原油が1バレルあたり68ドルで取引されており、中央銀行に頼ることなく国家を運営するために必要な約76ドルに近い水準となっている。

バグダッド:イラクの石油産業は、新型コロナウイルスの世界的大流行により壊滅的な打撃を受けたが、現在回復しつつあり、重要な投資プロジェクトが控えていると、イラク石油相が金曜日に発表した。しかし、その一方で、官僚的な恐怖文化が根強く残っていることにも警鐘を鳴らした。

イラクでは現在、原油が1バレルあたり68ドルで取引されており、中央銀行に頼ることなく政府の支出を賄うために必要な約76ドルに近い水準となっている。

イフサン・アブドゥル・ジャバー・イスマイル​石油相は、昨年石油収入が半分以下に落ち込んだ石油価格の暴落の最中に、イラクの最も重要な産業を監督するという前途多難な責務を引き受けた。それ以来、イスマイル石油相は、国家財政のため収入を増やすという国内の要求と、世界の石油市場を安定させるために輸出を低く抑えるというOPECからの圧力とのバランスを取らなければならなかった。

イスマイル石油相はAP通信に対し、このように石油部門が回復していることにより、他の優先事項に集中できるようになったと語った。AP通信インタビューの中で、イスマイル石油相は国家収入の90%を占めるイラクの石油産業という、同国で最も重要な省庁の内情を垣間見せた。

イスマイル石油相は、イラクの厳しい国内政治と汚職への懸念により、彼の在任中および前任者の在任中に重要な投資プロジェクトがしばしば頓挫し、イラクで活動する国際企業にとって長期的な不満の原因となっていると述べた。

「石油省における大きな課題や問題は、意思決定が遅れたり、まったく意思決定がなされなかったりすることである」と述べ、優柔不断となってしまうのは、利益を得られない団体や有力議員からの政治的報復に対する恐怖があるからだと指摘した。

さらにイスマイル石油相は、汚職の疑惑が政界関係者の思い通りになるための道具として利用されている、歪んだ職場文化がまん延していると語った。その可能性があるというだけで、省庁の高官が重要なプロジェクトを承認しないことが多いとイスマイル石油相は主張した。

「いかなる事件にも関与せず、監査官に関わらず、『やめておこう』と言う、それが文化だ」とイスマイル石油相は加えた。「これが経済を停滞させる汚職だと思う。」

イスマイル石油相は大臣任期中に、プロジェクトの迅速な進行を目指してきたと語った。

イスマイル石油相の掲げる最優先事項はガス部門の開発である。そのためイラクにとって主な必須条件となるのが、米国の制裁措置が除外され隣国イランからのエネルギー輸入が可能となることである。そのために、イラクでは長年放置されていたガス田を開発し、石油採掘場から排出されるガスを回収しようと検討している。

イスマイル石油相は、2025年までにイラクのガス容量を30億標準立方フィート増加させることが可能となる主要プロジェクトの開発に向けて、今後数ヶ月以内に契約が締結されることを期待していると語った。しかし、それは石油会社との契約が成立するかどうかにかかっている。イラクでは、商業的な条件が提示されると、有利な契約交渉が頓挫してしまうという歴史がある。

イラクは現在、国内の需要を満たすために20億標準立方フィートを輸入している。

同省は中国のシノペック社とイラク・ディヤラ州のマンスリーヤ・ガス田開発の契約締結に近づいている、とイスマイル石油相は述べた。このガス田開発により、国内生産に3億標準立方フィートのガスを追加することができる。イスマイル石油相は、7月中旬までには契約を最終決定したいと考えている。

さらに、同省はフランスのトタル社との間で、イラク南部におけるラタウィ・ガス・ハブ、ラタウィ油田の開発、生産増強に必要となる油田への水供給計画など、数十億ドル規模の野心的なメガ投資プロジェクトの開発に向けた協議を進めている。

また、アンバル州のアッカス・ガス田の開発についても、アメリカのシュルンベルジェ社とサウジアラビアの石油大手アラムコ社との間で初期の協議が進んでいるといい、ここでも契約締結への期待を示した。

国際企業との交渉は活発化している一方、イスマイル石油相は、省内には優柔不断な考えが根強く残っていると語る。投資家らは、省庁内の官僚主義や優柔不断さがプロジェクトの妨げになっていると指摘している。

イスマイル氏が最も残念に思っていることは、イラクの生産と輸出を拡大するための鍵となる数十億ドル規模の投資プロジェクトを巡り、同省とエクソン・モービル社との間で5年間に及ぶ交渉が決裂したことだ。

以前国営バスラ石油会社の社長を務めたイスマイル氏は、「この交渉決裂は石油省による大きな間違いであった」と述べた。

イスマイル氏自身も、議員から汚職を指摘され、批判を受けていた。内閣は2019年10月、汚職疑惑に対する粛清の中で、同氏をバスラ社の社長職から解任した。彼はその数ヶ月後には復職した。

イラクのメディアは圧力の道具として使われることが多い、とイスマイル氏は述べた 。

「誰かが私に契約書を送ってきて、イエスと言うのは違法となるため、私はノーと言う。すると彼はメディアで悪口を言い始める」とイスマイル氏は語った。

また、イスマイル氏は自身の時間の80%は、政党や個人からの雇用、契約、転勤などの依頼に対応するために費やされており、それらの依頼を日常的に断っていると述べた。

「『この人物をこの職からあそこの職に移動させろ。この職が必要だ、この部署が必要だ、この会社が必要だ』と言うのだ。」

AP

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