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権利団体「ハマスのイスラエルへのロケット発射は明らかな戦争犯罪」

ガザ地区からイスラエルに向けてロケットが発射される。2021年8月12日、ガザ市にて。(資料画像・AP)
ガザ地区からイスラエルに向けてロケットが発射される。2021年8月12日、ガザ市にて。(資料画像・AP)
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13 Aug 2021 01:08:06 GMT9
13 Aug 2021 01:08:06 GMT9
  • ヒューマン・ライツ・ウォッチはイスラエルで12人、ガザ地区で7人が死亡したロケット弾攻撃について調査を行った
  • 紛争は5月10日、ハマスがパレスチナ人の抗議行動を支持しエルサレムにロケット弾を発射したことを受けて勃発した

エルサレム:ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は木曜、パレスチナの武装勢力ハマスが11日間に及んだイスラエルとの戦闘においてロケット弾数千発を発射したことは「戦時法違反であり、戦争犯罪に等しい」と述べた。

ニューヨークに拠点を置く同権利団体はイスラエルで民間人12人が死亡したハマスによるロケット攻撃に加え、ロケット弾の誤発射によりガザ地区でパレスチナ人7人が死亡した事件についても調査を行った。

HRWはこれまでもイスラエルがパレスチナ人に対する戦争犯罪やアパルトヘイト、迫害を行ったとして非難する報告書を発表しており、イスラエルやその支持者から繰り返し批判を浴びてきた。しかし、この報告書はパレスチナの人口密集地から民間人居住区に向けて行われた無差別のロケット弾攻撃も国際法違反であるという点において、大多数の法律専門家に加えイスラエルとも意見が一致するものであった。

「5月の戦闘中、パレスチナ武装勢力はイスラエルの都市に向けて無誘導ロケット数千発を発射したことで、無差別攻撃を禁止する戦時法に著しく違反した」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ中東・北アフリカ局長代理エリック・ゴールドスタインは述べた。

HRWは先月、パレスチナ人民間人62人が死亡したと結論づけたイスラエルによる空爆に関する調査を行った後、イスラエル軍が戦闘において「明らかに戦争犯罪に等しい」攻撃を行ったとして非難する報告書を発表した。

紛争は5月10日、激しい争いが起こっているユダヤ教とイスラム教のエルサレムの聖地でイスラエルが強圧的な警察行為を行ったことに抗議したパレスチナ人を支持したハマスがエルサレムにロケット弾による集中攻撃を行ったことを受け、勃発した。

戦闘中、イスラエルはガザ地区の1,000以上の標的に爆撃を行ったと表明した一方、ハマスはテルアビブとエルサレム近辺の主な人口密集地に向けた集中砲撃を含め4,300発以上のロケット弾や迫撃砲弾を発射している。

ガザ保健省によると、ガザ地区での合計死亡者数は少なくとも子ども67人と女性39人を含む254人に上った。ハマスは武装勢力の80人が死亡したと認めた一方、イスラエルは死者数はもっと多いと主張している。イスラエルでは子ども2人を含む民間人12人とともに、兵士1人が死亡している。

「パレスチナ武装勢力が発射したロケット弾や迫撃砲は誘導システム非搭載で誤爆が生じやすく、極めて精度が低いため、民間人のいる地域に発射されれば無差別攻撃同然となる」

イスラエルはパレスチナ武装勢力が発射したロケット弾の約20パーセントがガザ地区内に着弾したと主張しており、それ以外のミサイルはほとんどがイスラエル軍の防空システム「アイアンドーム」により迎撃されたか、空き地に落下したとしている。

「明らかにイスラエルに向けて発射された弾薬であり、誤発射により飛距離不足で落下しガザのパレスチナ人に死傷者が発生した」と報告書には記述され、さらにハマスは「何発のロケット弾が誤発射されたか、その結果ガザで何人が死亡したかに関する情報を提供しておらず、独立の詳細な推計値もない」と続けている。

報告書は、5月10日に発射されたハマスのロケット弾によりガザ地区のジャバリヤの街で子ども2人を含む7人が死亡したと結論付けた。

イスラエル軍は5月10日にベイト・ハヌーンでパレスチナ人民間人が8人死亡した少なくとももう1件の爆発についても、ハマスが誤発射したロケット弾がガザ地区で爆発した結果によるものと主張している。同軍はこの事件は同地区内で軍事行動を開始する前に起きたものだと言う。ヒューマン・ライツ・ウォッチは先に発表された報告書で、爆発はイスラエルの爆弾によるものに見えると書いている。

5月の紛争はイスラム主義を掲げるハマスがパレスチナ議会選挙に勝利した翌年の2007年にガザを制圧して以降、イスラエルとハマスとの間で起きた4回目の戦争となる。1980年代に設立されたハマスはイスラエルの存在を認めず、何十人ものイスラエル人民間人が死亡した攻撃を主導し、米国、EU、イスラエルにはテロリスト集団とみなされている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ他の権利団体と国連の当局者らはすべての紛争において双方が戦争犯罪を行っていると非難しており、HRWは両当事者が「容疑に関する調査を長らく怠ってきた実績がある」と述べた。

「ハマス当局とイスラエル政府双方がそれぞれの軍にかけられた戦争犯罪の疑いについて説明責任を果たせていないことで、国際刑事裁判所(ICC)の役割の重要性が浮き彫りになっている」とゴールドスタイン氏は述べた。

HRWは今年、イスラエルがイスラエル国内に加え占領下にある西岸地区やガザ地区でもパレスチナ人への差別的政策によりアパルトヘイトおよび迫害の国際犯罪を行ったとして非難していた。イスラエルはこれを拒絶し、HRW の側に偏見があると非難した。

HRWはICCに対し、イスラエルおよびパレスチナ武装勢力による戦争犯罪の可能性に関して継続中の調査の内容に、直近のガザでの紛争におけるパレスチナによるロケット弾攻撃とイスラエルによる空爆を含めるよう呼び掛けた。

イスラエルはICCの管轄権を認めておらず、イスラエル軍が行った可能性のある犯罪行為については自国で調査が可能だと言う。ICCの調査は不公平で政治的な思惑が働いていると主張している。

ハマスはイスラエルへのロケット弾攻撃は「占領に抵抗する正当な権利」に基づくものとしているが、木曜に発表されたHRWの報告書に対して直ちに対応は行わなかった。

「ハマス当局は、イスラエルによる侵害行為を指摘することで、民間人を無差別に殺傷する違法なロケット弾攻撃を正当化しようと試みることをやめるべきだ」とゴールドスタイン氏は述べた。

AP

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