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数週間にわたる集団抗議活動によるイラクの死者数は400人を超える

2019年11月27日、反政府抗議活動が続く首都バグダッドのアル=ラシド通りで保安部隊との衝突が発生し、負傷した参加者を運ぶイラク人のデモ参加者。(資料写真/AFP)
2019年11月27日、反政府抗議活動が続く首都バグダッドのアル=ラシド通りで保安部隊との衝突が発生し、負傷した参加者を運ぶイラク人のデモ参加者。(資料写真/AFP)
木曜日、イラクのナーシリーヤで、現在進行中の反政府抗議活動でデモ参加者と衝突するイラクの治安部隊。(ロイター通信)
木曜日、イラクのナーシリーヤで、現在進行中の反政府抗議活動でデモ参加者と衝突するイラクの治安部隊。(ロイター通信)
木曜日、イラクのナーシリーヤで、現在進行中の反政府抗議活動でデモ参加者と衝突するイラクの治安部隊。(ロイター通信)
木曜日、イラクのナーシリーヤで、現在進行中の反政府抗議活動でデモ参加者と衝突するイラクの治安部隊。(ロイター通信)
28 Nov 2019 02:11:08 GMT9
  • 抗議活動は、10月1日にバグダッドで始まり、南部の都市に広がった
  • アデル・アブドルマハディ首相は選挙と腐敗防止の改革を行うことを約束した

バグダッド:警察や医療関係者の情報によると、数週間にわたる反政府暴動によるイラクでの死者数は少なくとも408人に上り、そのほとんどが武装していない抗議者であった、とロイターが明らかにした。

病院の情報によると、28日、イラク南部の都市ナシリヤで治安部隊との衝突で負傷していた数人が死亡し、ナシリヤでの死者は少なくとも46人となり、10月1日以降、イラク全国での死者数は408人となった。

バグダッドでは、ティグリス川にかかる橋の近くで治安部隊が抗議活動参加者に発砲し、4人が死亡した。ナジャフでは日中に衝突が発生し、12人が死亡した。

ナーシリーヤでは、大規模な発砲の後、死亡した人を埋葬しようと、夜間外出禁止令が出ているにも関わらず、数千人が街頭に出て哀悼の意を表した。

保安部隊と軍の指揮官は『Arab News』に対し、イラン領事館への放火を含め、暴力の大部分は、イラク内務省や人民動員隊と関連のある数多くの保安組織によって「指揮され実行された」と語った。

アーディル・アブドゥルマフディー首相は選挙制度と反汚職の改革を約束したが、ほとんど実行には移していない。その間治安部隊はバグダッドと南部の各都市で、その多くが街頭で平和的に抗議を行っていたデモ参加者に向けて発砲し、何百人も死者が出ているのだ。

抗議活動は10月1日にバグダッドで始まり、南部の各都市に広まった。イラクは長きにわたってスンニ派のサダム・フセイン大統領が統治していたが、2003年のアメリカ主導のイラク侵攻でフセイン大統領が失脚した後は、国の機関や有力者のネットワークの上層部はシーア派が多数派となっており、現在の抗議活動は彼らにとって最も複雑な難題となっている。

ほとんどがシーア派の若い抗議活動参加者たちは、政治家は腐敗しており、外国、特にイランに恩義がある状態であるとし、2017年のISの打倒後は比較的落ち着いた状態が続いているとはいえ、何年にもわたって続いている紛争から国を復興させることができていないことを批判している。
ナーシリーヤでは、日の出前に橋に集まった抗議活動参加者に対して治安部隊が発砲したと、病院関係者が明かした。同情報筋によると、約22人が死亡し、180人が負傷したとのことだ。

ナジャフでは、抗議活動参加者が水曜日夜にイラン領事館を襲撃し放火したことを受けて夜間外出禁止令が発動された。同市では企業や政府の事務所は閉められたままだと、国営メディアが報じた。

「昨夜の領事館への放火は、イランによる干渉を望まないというイラクの人々による勇敢な行動であり反発です」と、ナジャフで抗議活動に参加しているアリさんは語る。「もちろんイランから報復があるでしょう。イラン人たちはまだここにいますし、治安部隊は私たちに向けて発砲を続けていますから」

領事館の放火を目撃した男性の抗議活動参加者によると、治安部隊は放火を止めようとして発砲したとのことだ。

「ナジャフの機動隊の全部隊と治安部隊が私たちに向かって発砲を始めました。まるで私たちがイラク全体を燃やしていると言わんばかりに」と匿名希望の同男性は語った。

「潜入者と破壊工作員」

武装勢力が集まった組織で、イラン政府に近い筋が最も力を持っている人民動員隊(PMF)の軍司令官は、ナジャフに住むイランの最も強大なシーア派の聖職者を攻撃しようとすれば、誰であっても徹底的に力でねじ伏せると語った。

「(大アヤトラのアリー・)アル=スィースターニー師に近づくものがいれば、誰であっても手を切り落とします」との声明を、アブー・マフディー・アル=ムハンディス司令官はPMFのウェブサイト上で発表した。

評論家からは、ナジャフでの放火は、政府に改革の実施を促すというよりは、力に頼る反応を引き出すことになるのではとの意見が上がっている。

「通り一遍の声明を除いて… 政府からは何の計画も発表されておらず、(また)どのような手を講じていくのかはっきりとした説明もありません」と、人民主義の有力聖職者であるモクタダ・アル=サドル師の顧問を務めるディアア・アル=アサディ氏は語った。「十分なイニシアチブは期待できません」

シンガポール国立大学の中東研究所で上級研究員を務めるファナル・ハッダド氏によると、政府はイラン領事館への放火を口実に、さらに力に頼る取り締まりを強化していく可能性があるとのことだ。

「抗議活動参加者にとって不利な展開の可能性として、今回の件で、抗議活動参加者は潜入者であり破壊工作員であり良からぬ企みをしているとの政府の主張が説得力を増してしまう事が考えられます」と同氏は言う。
「イランに対してメッセージになってしまいますし、またムハンディス氏のような人たちにも有利な状況になります… 人々を弾圧し、今回の件をスィースターニー師への脅威だと述べる口実(になるからです)」

スィースターニー師は政治問題についてはほとんど発言しないが、以前から世論に極めて大きな影響力を持っており、イラン南部のシーア派の中心地では特にそうである。最近では、金曜日の説教の時間を利用して、真の改革を実施し、デモ参加者の殺害をやめるよう政府に対して求めている。

抗議活動参加者の多くは武装していないにも関わらず、治安部隊は実弾、催涙ガス、及び閃光弾を使用している。一部のデモ参加者は、警察に向かって火炎瓶やレンガを投げたり、小石を飛ばしたりしている。

当局はいくつかの地域で「緊急対応部」を設置して秩序の回復を試みていると、軍から木曜日声明で発表された。緊急対応部は、各地域の知事が率い、また地域の治安部隊を指揮する軍の指導者も加わるとのことだ。

警察や病院関係者によると、今回の暴力では350人以上が死亡したとのことだ。

ロイター通信

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