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レバノン人教師、肥満をいじめた子らを見返すため5.5キロ沖の島へ泳いで渡る

トリポリ北部の街から5.5キロ沖合の通称「うさぎ島」へと泳いで渡り、レバノン国旗を掲げるカッバラ氏。(提供画像/ヤヒヤ・ナビル・カッバラ)
トリポリ北部の街から5.5キロ沖合の通称「うさぎ島」へと泳いで渡り、レバノン国旗を掲げるカッバラ氏。(提供画像/ヤヒヤ・ナビル・カッバラ)
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26 Sep 2021 05:09:48 GMT9
26 Sep 2021 05:09:48 GMT9
  • 2つの博士号を持つヤヒヤ・カッバラ博士は「身体面での成功を収める」まで、少年時代はいじめられていたという
  • 「クラスメイトや友達は、いつも負けるのは私が肥満なせいだと言って一緒にスポーツをさせてくれませんでした」と氏はアラブニュースに語った

バサム・ザアザア

ドバイ:ヤヒヤ・ナビル・カッバラ氏は学業の面では常に一目置かれてきたが、運動の面ではそうではなかった。子どもの頃から肥満のせいで悪夢のようないじめの対象となってきたためだ。

レバノン人の数学教師カッバラ氏は自分のやり方でいじめに立ち向かうため「肥満は高い目標を達成することを阻害しない」ことを証明しようと、レバノン沖5.5キロの場所にある岩だらけの島に泳いで渡ることにした。

カッバラ氏は十代の頃から友達やクラスメイトに「肥満だと負ける」と言われ、一緒にスポーツをさせてもらえなかったという。

「心に傷が残りましたが、そのことで、トリポリ沖で最も遠い島へ泳いで渡るという個人的な挑戦を打ち立ててみようと思ったのです」とカッバラ氏はアラブニュースに語った。

1987年にレバノン北部の街に生まれた34歳のカッバラ氏は現在数学教師として公立高校で数学を教えている。

氏が目標として設定した島は「アラネブ島」あるいは「うさぎ島」として知られ、パーム諸島自然保護区を構成する岩だらけの平らな3つの島のうち最大の島だ。三島の面積は約4.2平方メートルに及ぶ。

9月19日日曜、カッバラ氏はパドルを身に付け、海に飛び込み、約4時間半泳ぎ「うさぎ島」へとたどり着いた。

一時は体重が140kgを超えていたカッバラ氏は水泳、ウォーキング、ハイキング、登山を通して体を鍛え、「個人的な挑戦であるとともに、肥満だからと自分をいじめてきたすべての人達へのメッセージ」だと自ら称する目標のため、心も体も整えてきた。

「クラスメイトや友達は、いつも負けるのは私が肥満なせいだと言って一緒にスポーツをさせてくれませんでした。とても傷つきました…心の傷が痛み、いつもひとりでした。家族は私が自閉症だと疑っていた時期もありました」と、氏は付け加えた。

働き者の一家に育ったカッバラ氏は14歳の頃から教える仕事を始めた。教師の仕事が大好きで、父親を支えるためにポケットマネーが必要だったからだ。

博士号を2つ持っているにも関わらず、大学での仕事には就けなかった。氏によると、「(そのような仕事に就くには)『ワスタ』(政治家や影響力の大きい人物の支援)が必要だが、私はレバノン人政治家とはまったく縁がなかった」からだ。

2015年にはレバノン大学で応用数学の博士号を取得するとともに、フランスのパリ・エスト・クレテイユ大学の博士号も取得した。

9カ月の女児の父親であるカッバラ氏は、少年時代に常にいじめられたが、肥満であることが「人間の目標の妨げにはならない」ことを証明するため、運動能力の向上に「真剣に、全力で努力した」という。

「人生のある地点で、私は学問の面では多くを成し遂げたと気付き、あとは身体面で何かを達成する時が来たと思いました」と氏は述べ、「忍耐力があればどんな目標も達成できることを自分や他の人に証明するため」の水泳チャレンジを打ち立てたと説明した。

カッバラ氏は、うさぎ島まで泳いで渡ることは子どもの頃からの夢だったと説明した。

2020年初頭に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が現れた当時、34歳のカッバラ氏はまだ肥満に苦しんでおり、ロックダウンによりさらに体重が増えて「孤独感と気分の落ち込み」を感じるのではないかと恐れていた。

「しかし、私は自分に『ノー』と言いきかせました。できるだけ歩くようにし、いとこのパドルを借りてからはよく泳ぎました。水泳は好きなので300メートルを泳ぐと、500メートル泳ぐようになりました。11月にはいちばん近い島、アル・バッラン島に泳いで渡りました。1時間かかりました。その後、2番目に近いアル・ルメイレ島に泳ぎました」とカッバラ氏は語る。

「とにかく自分の目標を達成し、自分や他の人に対して、どんなことでも可能だということを証明したかったのです」と、体重を109kgまで落としたというカッバラ氏は語った。

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