• 活動家が所有する6台のiPhoneがスパイウェアに感染していたことが、専門家の鑑定を受けた調査で明らかになった
• ダブリンに拠点を置くデジタル調査機関は、イスラエルが標的としたNGOを「テロ」組織に指定する数日前に、スパイウェアのスキャンダルを発表した

ダオウド・クダブ

アンマン：イスラエルが問題となっているスパイウェアを使い、パレスチナの人権擁護活動家を標的にしたと、国際的なデジタル調査機関が主張している。

ダブリンを拠点とするフロントライン・ディフェンダーズ（FLD）は、プレスリリースの中で、イスラエルが6つの人権団体を「テロ」組織に指定したタイミングが、スパイ・アプリの使用が発覚した2日後であったと説明した。

FLDは、デジタル・フォレンジック調査で、「少なくとも6人のパレスチナの人権擁護活動家が所有する携帯電話に、ペガサスのスパイウェアが存在していることが明らかになった」と述べた。

イスラエルのスパイウェアの捜索は、パレスチナの人権団体アル・ハクのある職員が10月16日に携帯電話に関する懸念について、FLDに問い合わせたことで始まった。

「すぐにフォレンジック分析が行われ、翌日までにペガサスのスパイウェアが存在すると判断された」と、声明は述べた。

翌日、FLDのデジタル保護コーディネーターのモハメド・アル・マスカティ氏は、アダメア、アル・ハク、ディフェンス・フォー・チルドレン・パレスチナ、農業作業部会連合、ビサン研究開発センター、パレスチナ女性委員会連合の、パレスチナの6つのNGOの代表者との会談の中で追加情報を要請した。

セキュリティ侵害を伝えると、確認が行われた75の端末のうち6台のiPhoneがペガサスのスパイウェアに感染していることが判明した。

FLDと、FLDの調査を独立して鑑定し、その結果を確認したトロント大学シチズンラボとアムネスティ・インターナショナル・セキュリティ・ラボは、スパイウェアを仕込んだクライアントを特定できなかったが、「イスラエル政府が行った行為は多くの疑問を投げかける」と指摘した。

10月18日、イスラエルは、エルサレムを拠点とする弁護士で人権擁護活動家のサラフ・ハモーリ氏に対し、イスラエルの「忠誠違反」法に基づき、居住権の取り消しを命じた。

ハモーリ氏の携帯は、感染した6台のうちの1台だった。

同氏はフランス国民でもある。居住権がなければ、母国からの強制送還の対象となる。

イスラエルのベニー・ガンツ国防相は10月18日、パレスチナの6つのNGO（10月17日にFLDと会議を開いたのと同じ6つのNGO）を「テロリスト」組織に指定することを定めた行政命令を出した。

イスラエルから「テロ」組織と訴えられたパレスチナの6団体の1つであるビサン研究開発センターのウバイ・アボウディ理事長は、アラブニュースに対し、自身の携帯でスパイウェアが発見されたことで、不安になり、危険に晒されていると感じたと語った。

「侵害されたと感じている。自分のプライバシーは侵害された。私の家族や人権擁護活動家としての自分の仕事も危険に晒されている。不安だ」と、米国の市民権も持つアボウディ氏は語った。

FLDのアンドリュー・アンダーソン事務局長は、報告書の公開にあたり、次のように述べた。「国際的な尊敬を集めている人権団体に対してテロリズムに関する根拠のない主張をしたことに加えて、平和的なパレスチナの人権擁護活動家に対する違法なスパイ行為が明らかになったことで、彼らの正当な活動に対する国際社会の継続的な支援がいかに重要であるかが強調された」

同氏は次のように付け加えた。「きっとこの話は、世界中の人権擁護活動家に『テロリスト』という言葉を用いることに対する厳しい警告となり、人権擁護活動家、ジャーナリスト、その他の市民社会活動家に対するスパイウェアの使用を抑制する取り組みを新たにすることになるだろう」