ナーシリーヤ市長が辞任した翌日、ナジャフ県のルーアイ・アル・ヤッセリ県知事も辞任した

政治腐敗に対する怒りの声を上げるため、数万人が抗議活動に参加した

ナジャフ：イラク・ナジャフ県の知事が24日、辞任した。前日には、別の地域の首長が生活状況や政治腐敗に対する抗議活動を受け、辞任していた。

イラク中央部・ナジャフ県のルーアイ・アル・ヤッセリ知事が辞任した。同国南部・ナーシリーヤの市長が、抗議活動を暴力的に抑圧する事態が発生したことで辞任した翌日のことだった。

両首長の辞任によって浮かび上がるのは、戦争の傷跡を残すイラクが直面する課題と、2年前にバグダッドや同国南部で抗議活動が盛んに行われたにも関わらず、ほとんど何も変わっていないという現実だ。

政治腐敗や失業率、崩壊しつつある公共サービスに怒りの声を上げるため、数万人が抗議活動に参加し、同活動に関係する暴力によって数百人が命を落とした。

国営イラク通信によると、ヤッセリ県知事は記者会見において、シーア派の聖地があるナジャフ県の知事職を辞任すると発表した。

ヤッセリ氏の辞任は、シーア派指導者、ムクタダー・サドル師の強い非難を受けたものでもある。サドル師は10月の国民議会選挙の後、キングメーカーとして浮上していた。

イラク通信によると、「政治腐敗と県政の欠陥に関する報道」がなされた後、サドル師は22日にナジャフ県庁を公的に訪問した。

「我々はナジャフ県知事を合法的に解任させ、別の人に代わってもらうよう取り組みます」とサドル師は述べた。

24日夜、サドル師はヤッセリ県知事の辞任を「正しい方向への一歩」として歓迎した。

ここ数週間、ナジャフ県全域や近隣のディーワーニーヤ市、ナーシリーヤ市などで散発的に抗議活動が行われている。

抗議者らは生活状況について非難し、学校や大学を卒業した若者らに職の機会を与えるよう訴えている。

ムスタファ・アル・カディミ首相は22日、抗議活動に関する安全保障会議を開き、「実力行使や銃撃」を回避する必要性を強調した。

その翌日、医療筋によると抗議活動の中で3名が銃撃され負傷したとされる事態を受け、ナーシリーヤのアハメド・ガーニー・カフジ市長が辞任を発表した。

2019年に広く行われた抗議活動は、死傷者を伴う厳しい取り締まりと新型コロナウイルス感染症の蔓延により、徐々に鎮まった。そうした抗議活動の中で、600人以上が犠牲となり、数万人が負傷した。

カディミ首相は抗議活動者らに対する譲歩として、議会選挙を10月に前倒しして実施した。

しかし、国民の怒りは幻滅へと変わり、議会選挙は過去最低の投票率を記録した。

選挙管理委員会によると、かつて米軍とイラク政府軍に対抗する民兵組織を率いたサドル師による政治組織「サドル運動」はイラク国民議会の全329議席の内、73議席を獲得した。