ナジャ・フーサリ
ベイルート:レバノンのミシェル・アウン大統領は国際連合レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)の部隊が火曜日の暴力で負傷したことを受け、「UNIFILを標的としたあらゆる攻撃」を非難した。
水曜の会議で、アウン氏は国連レバノン担当特別調整官のジョアンナ・ヴロネッカ氏に、レバノン政府が南部のラミエ村西側での襲撃についての調査を開始したことを伝えた。アウン氏は誰に責任があるのかを明確にすると約束した。
UNIFIL広報担当のアンドレア・テネンティ氏は火曜夜、定期パトロールをしていた複数人の平和維持軍が、車両に妨害を受けて襲撃されたと述べた。この事件で兵士1名が負傷した。
テネンティ氏は「襲撃者は車両2台を破壊し、多数の備品を窃盗しました」と述べ、「レバノン軍が現場におり、状況を静めることができました」と付け加えた。
テネンティ氏は「平和維持軍は民間の所有地に入っていたわけではなく、いつも通っている公道にいた」と強調した。
兵士は自分たちの仕事をしており、国連決議1701を実行中であり、レバノン南部の安定を維持していた、と同氏は語った。
声明でテネンティ氏は次のように警告した。「平和のために奉仕する人々への攻撃は、レバノン法および国際法で犯罪と見なされる」
同氏はレバノン当局に「この事件を調査し、責任者を起訴」するよう求めた。
最近発生した他2件の襲撃でもUNIFILのパトロール隊が標的にされた。去年末に国境の村チャクラで、そして今月初旬にはビント・ジュバイル村にて、部隊が標的にされた。
これらの攻撃が発生した地域は国境に隣接しているためヒズボラにとって重要な場所だと考えられており、反対側には複数のイスラエル軍の重要拠点が見える。
UNIFILのパトロール隊に対する直近の襲撃が発生したのは、レバノン当局がクウェートのシェイク・アフマド・ナーセル・アル・ムハンマド・アル・サバーハ外務大臣から届けられたメッセージについて議論している最中のことだった。メッセージは先週末にレバノンに対し、クウェートおよびアラブと湾岸諸国、そして国際社会の名において送られたものである。
クウェート外務大臣は「兄弟であるレバノンの人々への共感、連帯、協力、愛」のメッセージを送り、レバノン当局に中立的な立場を採用するよう要請するとともに、レバノンが「攻撃の舞台になることなく、同時に、広義にはアラブ諸国の、狭義には湾岸諸国の国際問題に干渉することは控えること」を保証するよう求めた。
アル・サバーハ氏は「国際社会とアラブの決議を実行することによって安定した安全で強い国となったレバノンを見たい」という地域の願いを再確認した。
クウェートはレバノンのアブドラ・ベンハビブ外務大臣が次の土曜日にクウェートを訪問した際に同氏から返事を受け取ることを期待している。
ヒズボラはクウェートの自発的行動に対し反応を示していないが、UNIFILのパトロール隊への攻撃はヒズボラの間接的な異議表明だと考える政治評論家もいる。
しかし、UNIFILと村民とヒズボラの仲介役を務めている人物がアラブニュースに伝えた情報によると、「発生した襲撃は政治や安全保障のメッセージとは何の関係もない」という。
同情報提供者によれば、「襲撃されたパトロール隊はUNIFILに参加しているガーナ人部隊の傘下だった」という。
「パトロール隊が公道を使用中に、車両の1台が、意図的なのか気付かなかったのか、農家の人が植木に水をやるために使っていた水槽に衝突した様子が見えました」
「パトロール隊は停止せず、おそらく水槽に衝突したことに気付かず、進行を続けました。水槽の所有者は、普段村で互いに助け合っている複数の村人と共に、パトロール隊を追いかけ、襲撃したのです。以上が起きたことの経緯です」
同情報提供者は匿名希望で、以前の2件の襲撃はそれとは違うと述べた。「そのうちの1件は、数名のUNIFIL兵士が内部の路地で写真を撮影していたことが理由で発生しました。一方、もう1件の方は、UNIFIL兵士が民間の所有地に立ち入ったことが発生の理由です。これは国連決議1701では許可されていないことです」
情報提供者は「この襲撃はクウェートの自発的行動に関するヒズボラの姿勢と協調したものではありません」と付け加えた。
「もしヒズボラが、本質的にレバノン運営を対象としているクウェートの自発的行動に反対したいと考えていたならば、ガーナ人部隊に対する襲撃はその返答にはなりません」
今回の出来事はイスラエルのエネルギー大臣ユバール・シュタイニッツ氏が「米国が仲介する海洋境界策定に関するレバノンとの国境交渉は、UNIFILがナコウラの本部で主催し、来週再開される」と発表したことと期を同じくして発生した。
レバノンは去年末から、米国の仲介人アモス・ホッホシュタイン氏が新たな提案を携えてこの地に戻り、レバノン・イスラエル間の海上国境を巡る協議が再開されることを待ち望んでいた。
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は去年末のレバノン訪問の際、「各国はこの交渉を後援する用意ができている」と発表した。
一方、レバノンは水曜、同国の壊滅的なエネルギー危機に対処するため、シリアを経由してヨルダンから電力を購入する取引に調印した。
電力はシリアを経由して送電される。この取引で2ヶ月以内に1日あたり最大250メガワットの電力がレバノンにもたらされる見込みとなっており、1日あたり約2時間分の電力をまかなうことができる。
世界銀行がこの取引に融資することが見込まれており、交渉が進められている。
レバノンのエネルギー大臣ワーリド・ファイヤド氏は、2ヶ月以内に融資の交渉に結論が出ることを見込んでいると語った。