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厳しいラマダンの状況の中、レバノンの人々はロウソクの明かりでモスクでの礼拝を行う

2022年3月29日、レバノン・ベイルートのパン屋でパンの箱を運ぶ従業員ら。(ロイター)
2022年3月29日、レバノン・ベイルートのパン屋でパンの箱を運ぶ従業員ら。(ロイター)
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02 Apr 2022 02:04:54 GMT9
02 Apr 2022 02:04:54 GMT9
  • レバノンの金融システムは、2019年以降、政府債務の重圧とそれを支配する汚職システムの下で崩壊している

ナジャ・フーサリ

ベイルート:ラマダンが近づくなか、ベイルートをはじめとする都市では、以前この行事の際に街中を飾っていた装飾が、今は見られない。代わりに、議会選挙の候補者の写真があちこちに貼られている。

聖月期間に慈善団体に寄付をするよう人々に呼びかける、ささやかな横断幕がいくつか掲げられているだけだ。

レバノンは3年連続で深刻な財政危機に見舞われており、多くの人が貧困ライン以下に追い込まれ、その結果、路上で物乞いをする人が増えている。この危機は、ドルに対する自国通貨の下落により収入が減少している中産階級にも大きな影響を与えており、一方で、数百の施設や工場、店舗が閉鎖されたことにより、解雇された人々もいる。

一方では失業率が上昇し、他方では発電機や燃料の月額使用料など、最も基本的なニーズがドル化され、ほとんどのレバノン人がぎりぎりの状態で生きている。

政府から1日に1時間以上電力が供給される地域は幸運だと考えられている。燃料の値段も大きく上昇している。タクシーに乗ると往復で36,000レバノンポンド(23ドル)かかるが、危機以前は2,000レバノンポンド(1.30ドル)だった。

タリク・アル・ジディデの人気市場で野菜の買い物をする五児の母親、ニーマット氏はアラブニュースにこう話した。「神が私たちを助けてくれますように。ラマダンは毎回、前のラマダンより大変になっています。一包のパンが10,000レバノンポンドもするようになり、私は毎日2個必要です。野菜や果物の価格は、すべて地元のものですが、ありえないような価格です。キュウリ1キロが35,000レバノンポンド、レタス1個が20,000レバノンポンド。鶏の胸肉1キロは約200,000レバノンポンドで、地元の肉屋によると、今月はさらに値上がりする見込みだそうです。植物油1ガロンは500,000レバノンポンドします」

ニーマット氏はこう言った。「ウクライナ危機で、物価はさらに上昇しました。若者が失業しているのに、まるでさらなる逆境がレバノンに必要だとでもいうかのようです」

レバノンの金融システムは、2019年以降、政府債務の重圧とそれを支配する汚職システムの下で崩壊している。一方、政治家たちは、国際通貨基金がレバノンを救済するのに十分な復興計画について、まだ合意に至っていない。

レバノンポンドの価値は90%以上下がり、レバノンは輸入に大きく依存しているため、物価は劇的に上昇した。軍の月給は、以前は900ドルだったのが、50ドル相当にまで減少している。

レバノン人が物価について議論するとき、彼らは役人に対して容赦しない。

元サッカー国際審判員のズハイル・アル・マスリー氏は、アラブニュースに次のように話した。「昨年のラマダンの際は、為替レートが1ドル=16,000レバノンポンド程度でした。それが今では1ドル=23,000レバノンポンドに上がっています。燃料費は2倍になり、あらゆる商品の価格が上昇しました。ラマダンの時期に人気のフルーツシロップであるジャラブ1ガロンは、昨年は25,000レバノンポンドでしたが、今では140,000レバノンポンドもします。アラビアの普通のお菓子1キロは、以前は35,000レバノンポンドでしたが、今は100,000レバノンポンドになっています。糖尿病の人がうらやましいと思うこともあります」

ベイルートの人気地区のひとつにある小さな店のオーナー、モハメド・アル・ハラク氏は、アラブニュースにこう語った。「今回の価格上昇は前代未聞です。人々は耐えられませんが、必ず断食するでしょう。今のところ、餓死者は出ていません。この聖月に神のご加護がありますように」

経済危機で仕事がなくなったコンクリート商のムスタファ氏は、ラマダンに必要なものをすべて買うことはできないだろうと不満を漏らした。「ラマダンの間、湾岸諸国から支援が来ると言っていました。なぜ私たちだけをこんな不公平な目に遭わせたままなのかわかりません」

ベイルート南部郊外に住む年配の女性、ウム・イマド氏はこう話す。「ヒズボラのメンバーの家族や、給与の一部をドルで支払う機関で働く従業員、海外で働く親族がいてドルを送ってもらえる家族など、給与をドルで受け取る人たちは無事です。彼らはラマダンの間に肉や魚を買う余裕があります。彼らのイフタールの食事は、他の人々が経験していることに関係なく、例年通りでしょう」

ラマダン期間中に例年大人気のアラビア菓子を売る店は、より手頃な材料を使ったレシピに変更した。1キロ100ドルもする松の実の代わりにアーモンドを使い、アレッポ産ピスタチオの代わりに価格を抑えたスーダン産ピスタチオを使うことで、客は多額の代金を支払わずにお菓子を買え、店主は商品を売ることができる。

アル・ババ・スイーツの支店長であるナジャ・ザフラ氏は、次のように述べる。「私たちは、一般的な生活状況を考慮するようにしています。砂糖や小麦粉、油などの原材料のコストは、ドル相場の上昇やウクライナ危機の影響を受けています。十分な材料を得るにも、二倍の努力が必要です」

ザフラ氏は話す。「私たちのシェフは、顧客がまだ購入できるように、低コストで少し小さいサイズの新しいアイテムを考案しています」

ダール・アル・ファトワが監督するモスクの状況を追っているマヘル・アル・タウィール氏は、タラーウィーフの礼拝がろうそくの明かりで行われると予想している。

「夜間は電気がありません。人々はスフールをどうするのでしょう?すべてのモスクが、発電機に月200万レバノンポンド以上支払えるわけではありません。一部の裕福な市民は、一部のモスクにUPS装置を提供し、最低限の照明を供給しています。また、自費でソーラーパネルを購入し、モスクを照らす人々もいます。それでも、多くのモスクでは、ラマダンの礼拝はろうそくの明かりで行われるでしょう」と彼は述べた。

アル・タウィール氏はこう言った。「今年は街中にラマダンの装飾がありません。ドル建てで売られているため、贅沢品になってしまいました。以前飾り付けをしていた人たちは、むしろそのお金を慈善団体に寄付しています。慈善団体は今年、できるだけ多くの人に届くように、ソーシャルメディアで非常に活発に活動しています」

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