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シリアからの麻薬密輸をヨルダン軍が阻止し、4人を殺害

麻薬取引を防ぐためシリアとの国境沿いを警備するヨルダン兵(2022年2月17日撮影)。(AFP)
麻薬取引を防ぐためシリアとの国境沿いを警備するヨルダン兵(2022年2月17日撮影)。(AFP)
シリア・ダルアーのヨルダン国境に所在するナシブ国境検問所(資料写真:ロイター)
シリア・ダルアーのヨルダン国境に所在するナシブ国境検問所(資料写真:ロイター)
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23 May 2022 06:05:04 GMT9
23 May 2022 06:05:04 GMT9
  • 米国への対イラン制裁以降、ヒズボラは資金確保を麻薬取引に頼っている

ラエド・オマリ

アンマン:ヨルダン軍は、シリアから国内へ「大量」の麻薬密輸を試みた人物4人を殺害したと発表した。

ヨルダン軍の情報筋によれば、ヨルダン東部のシリアとの国境部隊が、国内に潜入しようとした人々に対して発砲し、そのうち4人が死亡、他の人々が負傷したという。

同情報筋によれば、潜入を試みた人々はシリア領内への撤退を余儀なくされた。

「当該地域を調査したところ、手のひら大のハシシ181枚、カプタゴン錠剤63万7000錠、トラマドール錠剤3万9600錠が見つかり、関係当局に引き渡された」と、情報筋はアラブニュースに語った。

ロンドンの「シリア人権監視団」によると、この作戦で6人が負傷し、うち数人が重体であるという。

ヨルダン軍によって殺害された一人は、レバノンのシーア派ヒズボラと「強い」関係を持つ、シリア南部で麻薬産業に携わるグループのリーダーであったといわれている。

日曜日に行われたこの作戦は、ヨルダンがシリアからの麻薬密輸の取り締まりと隣国からの麻薬密輸の「劇的な増加」を抑制する交戦規則の変更に関する発表を行って以来、最新のものである。

ヨルダンは、シリアが麻薬国家になりつつあり、ヨルダン、近傍地域、そして世界に対して、国境を越えた脅威を与えていると警告してきた。

ヨルダン軍は、2021年にシリアからの密輸合計361件を阻止し、様々な種類の麻薬約1550万錠の押収につながったと最近発表している。

2020年にはシリアからの密輸130件以上を阻止し、約1億3200万錠のカプタゴンおよび1万5000枚以上のハシシを押収している。

匿名希望の軍関係者は、この数字を「劇的に高い」と表現し、アラブニュースに対して、「シリアでは、不正薬物の栽培と製造が成長産業となっている」と述べた。

シリアのニュースサイト「エナブバラディ」によれば、麻薬の密輸が最も活発に行われているのは南部のダルアーとアルスワイダー地域であるという。

同ニュースサイトは情報筋の話を引用し、密輸ルートのほとんどはヨルダン国内に仲間を有する武装ベドウィン部族が支配していると伝えている。

専門家によれば、戦争によって荒廃したシリアが麻薬国家となり、ヨルダン、アラブ湾岸諸国、ヨーロッパへの麻薬密輸が増加した主な原因は、シリアにおける過激派組織ヒズボラの強力な存在とその麻薬取引の拡大であるという。

元少将で軍事アナリストであるフェイズ・ドウェイリ氏は、最近のアラブニュースに対するコメントで、ヒズボラは、米国が対イラン制裁を課して以降、資金源を確保するために麻薬取引に手を染めたと述べている。

「ベイルートのダヒエ・アルジャヌビヤとシーア派の拠点であるバールベックには、ヒズボラの不法な麻薬産業が確立されている」と彼は言った。

ドウェイリ氏は、ヒズボラは「複数の麻薬工場をアレッポ等のシリア政権支配地域に移転させている」と述べた。

「米国によるイランへの制裁はヒズボラに大きな打撃を与えた。それにより、テヘランの最も資金力のある代理人が他の収入源を探さねばならなくなった」と述べた。

ワシントン近東政策研究所の報告書によると、ヒズボラは麻薬密売事業を大幅に拡大および制度化し、現在では、他の資金源を超える資金を生み出しているという。

同シンクタンクによれば、ヒズボラの世界的な麻薬産業は1970年代にレバノンのベッカ峡谷において始まり、イスラエルとレバノンの国境を越える十分に確立された密輸ルートを使っていたとのことだ。

ヨルダンとの国境にあるナシブ国境交差点(シリア、ダラア)(ファイル写真:ロイター)

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