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レバノン 通信料金の値上げにより、移民の雇用と安全が脅かされる

2022年7月9日。レバノンのドーラにあるモバイルショップの店内で、客をサポートする店員。(ロイター)
2022年7月9日。レバノンのドーラにあるモバイルショップの店内で、客をサポートする店員。(ロイター)
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12 Jul 2022 01:07:15 GMT9
12 Jul 2022 01:07:15 GMT9
  • 国連によると、レバノンには主にサハラ以南のアフリカや東南アジアからの出稼ぎ労働者が25万人いると推定されている

ベイルート:ケニア人の清掃員ノエル・ムサンガ氏は、レバノンの経済危機、新型コロナウイルスやベイルート港の爆発事故の影響を乗り越え、生活してきた。しかし、インターネット・プロバイダーが料金を2倍にすると発表した今、彼女は家族や仕事とつながる最後の命綱が絶たれてしまうのではないかと不安を覚えている。

フリーランスの出稼ぎ労働者は、すでに生きていくのに十分な収入を得るのがやっとである。しかし、通信料金の値上げにより、彼女は親戚や、見込み顧客との通話を制限しなければならなくなった。

ムサンガ氏は、ベイルートの端にある人口密度の高いブルジュ・ハムード地区にあるアパートの1階で、「深い穴に入っていくような気持ちです」と語った。

国連によると、レバノンには主にサハラ以南のアフリカや東南アジアからの出稼ぎ労働者が25万人いると推定されている。

彼らの居住には通常「カファラ」と呼ばれる労働契約制度が適用されるが、人権団体は、雇用主が労働者の生活を過度に管理することになると指摘している。

レバノンの3年にわたる財政悪化は彼らの苦境に拍車をかけている。150ドルから400ドルという月給が高すぎるとして、雇用主は国内の移民労働者を路上に放置するようになった。

2022年7月1日。レバノンのルジュ・ハムード地区のアパートでロイターのインタビューに応じるケニア人出稼ぎ労働者のノエル・ムサンガ氏。(ロイター)

彼らの中にはフリーランスになり、一人暮らしをしながら、掃除や子守りの仕事を請け負って生活費を稼ぐ人もいた。

しかし、それは日に日に難しくなっている。レバノンの通貨はその価値の95%を失い、食料品や公共交通機関のコストはおよそ11倍に跳ね上がった。そしてインターネットは、次の大きな課題だ。

今月まで、レバノンの通信部門は、政府が定めた1ドル=1500レバノン・ポンドという旧来の固定レートで、電話、ブロードバンド、モバイル・インターネットの料金を徴収し続けていた。

しかし収益は少なく、政府は通信送信所の運営に必要な燃料の輸入に苦労しており、2021年には通信エリアの縮小を招いた。

この流れを変えるため、レバノン内閣は、通信料金の計算を、政府のサイラファ・プラットフォームが設定する、より弱い柔軟通貨レートに基づいて行うことを発表した。

政府の計算式に従えば、顧客への請求額は最大で4倍にもなる。

移住者の権利擁護のボランティア活動も行っているムサンガ氏は、この値上げは弱い立場の労働者にとって人生を左右するものだと言う。

家庭用回線にお金を払うか、データ利用料の節約のため、あまり利用しないであろうモバイル回線にお金を払うか、どちらかを選ばなければならなくなるのだ。

また、虐待的な雇用主から逃れようとする労働者にとっても、より高いリスクをもたらす可能性がある。

「私はいつも、契約している女の子たちが困っているという苦情を電話で受けています。だから、彼女たちと連絡を取り、問題を解決するためには、インターネット通信が必要なのです」とムサンガ氏は言った。

物価の高騰は、出稼ぎ労働者が故郷の親類に送金するお金がほとんどないことも意味する。

「レバノンにいると、時間や労力を無駄にすることになります……全ての物価が高騰しています。自分にも、家族にも何も残りません。だから、故郷に帰った方が良いのでしょう」と彼女は言った。

ロイター

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