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リビアの選挙プロセスに関する国連の新提案について専門家が見解を表明

今週、国連のリビア特使を務めるアブドゥライ・バティリー氏が、選挙プロセスに関する新提案を発表した。(スクリーンショット/ツイッター)
今週、国連のリビア特使を務めるアブドゥライ・バティリー氏が、選挙プロセスに関する新提案を発表した。(スクリーンショット/ツイッター)
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03 Mar 2023 09:03:30 GMT9
03 Mar 2023 09:03:30 GMT9
  • 中東研究所主催の討論会で、対立するグループ間の交渉を再活性化する必要性が強調された
  • 候補者の資格基準をめぐる争いや外国の干渉によって、プロセスが再び停滞する恐れがあると懸念を示す者もいた

アリ・ユネス

ワシントン:リビアで今年、議会選挙と大統領選挙を実施するという国連による新たな提案は、石油資源に恵まれたこの北アフリカのアラブ国家で長年の武力紛争が止み、もうすぐ和解と安定の時代がやってくるかもしれないという期待を一部の人々に抱かせることになった。

かつての指導者であるムアンマル・カダフィ氏が2011年に失脚して以来、同国では10年以上にわたり国を麻痺させる危機と行き詰まりの中で、各政治勢力が権力を争ってきた。

リビアでは、敵対するグループ間の見解の相違を解決し、権力の分担をめぐって合意に達しようとする試みが幾度となくなされてきた。だが、トリポリの国民合意政府と、リビア国軍を指揮するハリファ・ハフタル将軍と結び付く同国東部の競合政権との間で、敵意に満ちた分裂状態が依然続いている。いずれの側も、地域的、国際的なさまざまなアクターの支援を受けている。

2日にワシントンで行われた、中東研究所が主催し、アラブニュースも参加した討論会で、専門家がリビアの現状についての見解を表明した。その多くが、対立するグループ間の交渉プロセスを再活性化して、合意に至り、最終的には民主選挙を実施することの必要性を強調した。

今週、国連のリビア特使を務めるアブドゥライ・バティリー氏が、選挙プロセスに関する新提案を発表した。

「リビアの利害関係者の間で以前に達した合意をもとに、2023年に大統領選挙と議会選挙を計画・実施できるようにすることを目指す構想を立ち上げることにした」と同氏は述べている。

非営利の公共政策団体、ブルッキングス研究所中東政策センターの非滞在型シニアフェローで、国連のリビア問題特別顧問を務めたことのあるステファニー・T・ウィリアムズ氏は、リビアの状況は非常に複雑だが、選挙の障害となる最大の要因は候補者の「資格要件」であると発言した。

これまでの憲法交渉で、リビアでは人々が、安定と敵対勢力間の結束をもたらす強力な大統領制を望んでいることが明らかになっており、民主主義のジレンマが存在する、と同氏は述べた。

ウィリアムズ氏の説明では、過去の選挙では、「物議を醸す候補者」が結束よりも軋轢を生み出し、究極的に政治プロセスがゆっくり停止していったことから、「誰が権力の座に着くか」が重要な争点の一つになっているという。

討論会でリビアのタヘル・エル・ソニ国連大使は、国内の対立する勢力が外国の支援者の利益を代表するようになり、紛争がより激しくなったと発言した。

承認された憲法に基づく選挙を計画・実施できる暫定政府への支持は常に見られたが、利害が対立する諸外国やグループがリビア問題に干渉してきたため、実現に至らなかった、と同氏は主張した。

同大使は、対立するグループ間の紛争を解決する包括的合意に至らなかった責任は、地域内外の国々や国連に留まらず、リビア人自身にもあることを認めた。

だが、いずれのグループも単独では国全体に命令を課す力を備えておらず、そのために長期にわたる膠着状態が続いている、とエル・ソニ氏は付け加えた。

「リビア人は、地域的、国際的なプレーヤーがリビアをどのように取り扱いたいか(の考え方の相違)に翻弄されたままだ」と同氏は述べた。

「リビアを地政学や、至るところで現に起こっている地域的な課題と切り離すことはできない。我が国は、それらの紛争が実際に繰り広げられる場所になっている」

バティリー氏の提案が成功を収めるかどうかはまだわからないし、候補者の選定基準に大きく依存するだろう、とエル・ソニ氏は述べた。

中東研究所の非滞在型研究員で、欧州地中海地域、特にリビアを専門とするメアリー・フィッツジェラルド氏は、公式の和解プロセスが堂々巡りを続けるなか、人的つながりに基づく非公式の取り組みも行われている、と発言した。

以前は反目していた主要人物が、特定の問題で合意に達したと思われるような、ありそうになく尋常でもない和睦の兆しを眼にしている、と同氏は述べた。

「明確な形をとった和解プロセスの外部で、このようなことが継続的に観察され得ると考えている」

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