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5月の投票に参加できないのではないかと心配するトルコ地震生存者たち

トルコのディヤルバクルのセレモニーに参加するレジェップ・タイイップ・エルドアン 大統領。(ロイター)
トルコのディヤルバクルのセレモニーに参加するレジェップ・タイイップ・エルドアン 大統領。(ロイター)
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16 Apr 2023 06:04:59 GMT9
16 Apr 2023 06:04:59 GMT9

アンカラ:23歳の学生アリはトルコの地震ですべてを失った。

アリさんの両親は行方不明であり、彼が生まれ育った古都アンタキヤは廃墟と化している。

そこから立ち上がるために、アリ(多くの生存者と同様そのフルネームを公表していない)は、2月の災害で住む場所を失った300万人以上の人々が来月の総選挙で投票できるようにする運動を立ち上げている。

トルコにおける近代最悪の災害に対する政府の対応について謝罪するという異例の立場に陥った有力なリーダーであるレジェップ・タイイップ・エルドアン 大統領にとって5月14日の投票は間違いなく危難を伴うものとなる。

一部の被災地に救助者および救援活動者が到着するまで数日を要したことは、放棄された感覚を被災者にもたらし、50,000を超えた死亡者数は役人に怒りを向かわせることになった。

「この怒りを投票に反映することが大切です」と現在アンカラに住んでいるアリさんは語った。

アンタキヤを離れざるを得なかったが投票するために戻りたいと思う学生たちのバス券の料金を負担するよう政党に依頼する訴えをアリさんは友人たちと共にTwitter上で立ち上げた。

最大野党である共和人民党はその支援を誓約している。

アンカラやイスタンブール、トルコ南岸のメルシンといった都市で避難した人々は4月2日までにその新たな投票住所を登録しなくてはならなかった。

その機会を逃した人々は投票のためその荒廃した都市に戻らなくてはならなかった。エルドアン氏の対立政党はその短い期限を、抗議表を抑圧することを政府が暗に意図した企みと考えている。

「人々は愛すべき人や大切だったすべてのものを失いました。ほとんどの人は選挙登録どころではない状況にあります」と、カフラマンマラシュ県の代表である共和人民党の副党首アリ・オズトゥンク議員はマグニチュード7.8の地震の震源地の近くで語った。

オズトゥンク議員によるとカフラマンマラシュ県の登録投票者820,000名のうち50,000名だけがその登録を変更することができた。県の住人の半数がその地を去ったものとオズトゥンク議員は推定している。

つまり数十万名が、オスマン帝国後の歴史上トルコにとって最も重要と広く目されている選挙に参加するためになんとかして元の場所に戻らなくてはならない。

「そんなに多くの人々を移動させることは不可能です」とオズトゥンク議員は語った。

「数千台のバスが必要になり、とてつもない交通渋滞を起こすことになります。どの政党にも手配できないでしょう。」

共和人民党の総裁であるケマル・クルチダルオール氏は、接戦となる票決における野党の統一候補である。

共和人民党の副総裁であるオヌルサル・アディグゼル氏は、住む場所を失った人々の投票率を抑制しようとする役人を公に糾弾している。

「当局は期限を延長してその登録を支援することができたはずである」とアディグゼル氏は語った。

「しかし当局は被災者を恐れている」と彼は語った。「当局は投票を阻害すべく手を尽くしている。」

カフラマンマラシュ県を去ることになった、二人の子供がいるアブドラさんは、その登録住所の変更を公務員から露骨に妨害されたと語った。

「地震被災者への公的支援を受ける権利を失うと言われました。」とアブドラさんはアンカラの仮設住宅で語った。

「それで私は住所をカフラマンマラシュ県にしておきました。しかしどうやってそこに行って投票すればいいのかわかりません。」

アンカラの郊外の避難所では、住む場所を失った525世帯中120世帯のみがその法的住所の変更に必要な手続をとっていた。

2人の娘と共に避難所で暮らす34歳のエイメン・ガッサログルさんは、選挙日にアンタキャに戻ることを決意していた――たとえテントで寝ることになろうとも。

「私の将来に関することですから」ガッサログルさんは語った。「何としてでも投票します。」

カフラマンマラシュ県に戻ることは投票を監視し不法行為を報告する機会にもなると語った人々もいた。

エルドアン氏の批評家たちは、行方不明となったが死亡を公的に宣言されていない人々が投票リストに含まれており、選挙管理人による改ざんの余地が生じることを懸念している。

「当局は行方不明者の数を公表していません。これが懸念です」と共和人民党の副党首アディグゼル氏は語った。

45歳のオズグル・ユスフ・カブキュさんは、なんとかアンカラで投票するために登録することができた。しかし彼の友人のほとんどは、ごく一部の建物のみが損傷を免れたゴーストタウンと化したアンタキヤに戻らなくてはならない。

「このような状況では自由選挙は不可能だと思います」とカブキュさんは語った。

「しかし他に選択肢がありません。私たちは地震ですでに多くのものを失っています。私たちの自由意思の表現を失うことはもう一つの災害となるでしょう。」

AFP

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