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パレスチナ警察、相次ぐ武装強盗に対策チームを編成

占領下のヨルダン川西岸地区の都市ヘブロンの警察本部で訓練に参加するパレスチナ人警察官たち。2019年1月30日。(AFP)
占領下のヨルダン川西岸地区の都市ヘブロンの警察本部で訓練に参加するパレスチナ人警察官たち。2019年1月30日。(AFP)
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28 Apr 2023 10:04:22 GMT9
28 Apr 2023 10:04:22 GMT9

モハメッド・ナジブ

ラマッラー:パレスチナ警察は、ヨルダン川西岸地区の銀行や貴金属店、スーパーマーケット、ATMを狙った相次ぐ武装強盗への対応として特別チームを編成した。

水曜日に、ナブルス県南部のパレスチナ国立銀行アクラバ支店が武装グループの標的となった数時間後に、今回の緊急措置が警察署長のユセフ・エル・ヘロウ少将によって決定された。

このアクラバ支店の事件では、ピストルと密造のカルロ短機関銃で武装した4人組の屈強なギャングが175,000米ドルを奪って逃走した。

支店長のサイード・アブ・ラシッド・アルアモリは次のようにアラブニュースに語った。

「自分のオフィスに座っていたら、銀行の警備員が走って来て、支店に強盗が入ったと私に告げました」

「4人組の強盗が見えました。2人はピストル、1人はライフルで武装し、4人目は武装していませんでした。強盗たちは銃を掲げて支店に入って来ました」

「ナブルスの警察のオペレーションセンターとラマッラーにある国立銀行中央管理部に連絡する緊急ボタンを3回押しました。そうすれば、銀行強盗が発生していることが伝わり、警察と中央管理部が防犯カメラで状況を監視し始めるからです」

「私がオフィスから店内に出て行くと、強盗たちが現金を要求しました。私が彼らを金庫に連れて行くと、彼らは中に有った物を奪って立ち去りました」

「強盗たちは銀行から出た後、自動車に乗り込む前に空に向かって2度発砲しました。自動車にはナンバープレートもなく、ウィンドウには色がつけてありました。4人組はマスクを被った若い男性たちでした」

「たった40秒間の犯行です。私が20年前に銀行で勤務し始めてから初めて遭遇した銀行強盗でした」と、アルアモリ氏は付け加えた。

最近はこうした強盗事件が相次いでいるため、支店には2万米ドル以上の現金を置かないよう、また、開錠に30分を要する金庫に余剰の現金を移すようにとの指示をアクラバ支店は受けていたとアルアモリ氏は明かした。

1年前まで国立銀行の警備員はピストルで武装していたが、20ある支店のすべてから軽火器を引き上げその銃をパレスチナ警察に寄贈することを経営陣が決定したという経緯をアルアモリ氏は指摘した。

強奪された現金には保険がかけられていたとアルアモリ氏は付け加えた。しかし、警備員が武装していると強盗たちが思っていれば今回の事件自体が起きなかったかもしれないとアルアモリ氏は述べた。

「最近の強盗の多発をパレスチナ警察はまだ解決しておらず、犯人逮捕も強奪された現金の回収にも至っていません。これは由々しき問題です」と、アルアモリ氏は語った。

他方、ラマッラーの大手ガソリンスタンド企業のアカウント管理担当者は、イード・アル・フィトルで銀行が閉まっていたため現金を銀行口座に預け入れ出来なかったとアラブニュースに語った。その結果、彼と同僚たち数人で、百万米ドル近くを自力で警備しなければならなかったという。

ヨルダン川西岸地区では数多くのヨルダンとパレスチナの銀行が営業しているが、アルアモリ氏によれば、ヨルダンの銀行は警備員を武装させないよう指示されているという。

ラマダン終盤の数日間、武装強盗が8kg相当の金地金をヨルダン川西岸地区南部のアルダヒリヤの店舗から強奪した。現在の所、犯人逮捕の発表は無い。

パレスチナ警察の広報・情報部長であるザナイド・アブ・ザナイド准将は、「こうした武装強盗は必ず国境を越えたコネクションを持っています。私たちは、これら強盗犯の中にイスラエルのIDカードを持っている者が一定数いると確信しています」

「武装強盗の多発は有害です。強奪された金額の多寡が重要なのではありません。最重要なことは、犯人たちが白昼堂々と武装強盗をやってのけ、銀行内で発砲したことです。こうした犯罪行為は、パレスチナの治安、警察、法の威信を損ねてしまいます」と、ザナイド准将は付け加えた。

銀行協会やパレスチナ通貨庁が銀行支店を閉鎖することを危惧して、警察による取締りが強化されたとザナイド准将は指摘した。

パレスチナ証券取引所の代表者であるサミール・フリラ氏は、「銀行や換金所、貴金属やダイヤモンドを販売する店舗の周囲の警備と警察のパトロールを強化する必要があります」とアラブニュースに語った。

パレスチナの情報筋がアラブニュースに明かしたところでは、イスラエル人に対する発砲を想定して、イスラエル政府がヨルダン川西岸地区の銀行警備員の武器携帯を阻んだのだという。

パレスチナ証券取引所のフリラ代表は、強盗が阻止出来なければ既に脆弱となっているパレスチナ経済にとってより深刻な打撃になり得ると警告した。

パレスチナ系の13の銀行とヨルダン系の同じく13の銀行がヨルダン川西岸地区の都市や町で営業を展開している。それに加えて、450の換金所と450のATM、数十の宝石貴金属店とガソリンスタンドが同地区には在る。

「もし強盗犯たちが自分たちを逮捕し法廷で裁きを受けさせるだけの力を警察が持っていないと感じたとしたら、武装強盗は今後拡大していくはずです」と、フリラ代表は述べた。

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