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フランス暴動、6夜連続へ パリ郊外の市長宅が標的に

エマニュエル・マクロン大統領は1日、フランス各地で大規模な警察配備をものともせず4夜連続の暴動と略奪が発生した後、ドイツへの公式訪問を取りやめた。この騒乱の引き金となった警察による17歳少年の殺害事件の埋葬には何百人もの参列者が集まった。(AP)
エマニュエル・マクロン大統領は1日、フランス各地で大規模な警察配備をものともせず4夜連続の暴動と略奪が発生した後、ドイツへの公式訪問を取りやめた。この騒乱の引き金となった警察による17歳少年の殺害事件の埋葬には何百人もの参列者が集まった。(AP)
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03 Jul 2023 03:07:44 GMT9
03 Jul 2023 03:07:44 GMT9
  • フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、2日夜に危機対策会議を開いた
  • ここ数年間のフランスで最悪の社会的暴動が続く中、事態の鎮静を目的とした大規模な治安出動の結果、2日未明までに全国で719人の逮捕者が出ている。

パリ:フランスで10代の少年が交通違反の取り締まりを受けていたところを警察に射殺された事件をきっかけに始まった暴動が6夜連続に入ろうとする中、少年の祖母は2日、暴動の中止を訴えた。また、各当局は、暴動で市長宅に突っ込んだ自動車が放火され、市長の家族が負傷したことについて、遺憾の意を表明している。

射殺された17歳の少年ナエルの祖母(ファーストネームはナディアとのみ明かされている)、フランスのニュース専門放送局BFMテレビの電話インタビューで、「窓や、バス、学校を壊さないでください。事態が沈静することを望んでいます」と話した。

彼女は、孫を殺した警官には怒りを抱いているが、警察一般には怒っていないと述べ、ここ数年間のフランスで最悪の社会的暴動が続く中、司法制度への信頼を表明した。ナエルは、氏名のうちファーストネームのみが明かされており、1日に埋葬された。

暴動は落ち着きを見せているようだった。しかし、夜が近づく中、ジェラルド・ダルマナン内相は、旧フランス植民地にルーツを持ち、低所得地域に住む市民への差別に対する怒りに対抗するため、45,000人の警察官が再び街頭に配置されるだろうと述べた。ナエルはアルジェリア系で、パリ郊外のナンテールで撃たれた。

エマニュエル・マクロン大統領は2日の夜、危機対策会議を開いたが、公的なコメントを出すかどうかは明らかではない。マクロン大統領は、2日の夜に予定されていたドイツ国賓訪問を延期した。ドイツにフランス大統領が国賓訪問を行うのは23年ぶりとなる。

警察によると、1日夜にも719人の逮捕者が出ており、大規模な治安出動で拘束された者の数は3,000人を超えた。今回の暴動により数百人の警察官と消防士が負傷しているが、当局は何人のデモ参加者が負傷したかは明らかにしていない。

2日にパリ郊外のライ・レ・ローズ市市長宅を直撃した自動車が放火され、フランス当局に衝撃を与えた。ここ数日、いくつかの警察署や市庁舎が火災や破壊行為の被害を受けているが、市長宅襲撃のような個人に対する攻撃は異例だ。

自宅が襲撃を受けたヴァンサン・ジャンブラン市長によれば、妻と子どもの一人が負傷した。襲撃が起きた午前1時30分、二人は就寝中で、市長自身は役所で暴動の状況を注視していたという。保守系野党・共和党に所属する市長は、この攻撃は騒乱における「恐怖と恥ずべき行為」の新たな段階を象徴していると述べた。

ステファン・アルドゥアン地方検事は事件を殺人未遂として捜査を開始しており、国内テレビ局に対し、予備的な捜査では、自動車は市長宅を炎上させるために突っ込んだものだと見られている、と述べた。検事によれば、車内に燃焼促進剤が入った瓶が発見されたという。

マクロン大統領は、SNSが暴力を煽っているとの考えを示した。法務大臣は、スナップチャットやその他のアプリで暴力の呼びかけを共有する若者は起訴される可能性があると警告している。

警察の大規模配置は、暴動が発生している地域の怯えた一部住民には歓迎されているが、警察の行動を暴動の核心とみなす人々の不満に拍車をかけている。

ナンテールの広場で、セネガル系の青年フェイエズ・ンジャイは、フランスが今回の騒乱から学ぶことはほとんどないだろうと語った。青年は警察について、「彼らは我々の恐怖につけこんで、『我々の言うことを聞かなければ』と言っている」と話すと、そして自分のこめかみに指を向けて発砲するふりをした。

射殺事件を捉えたビデオには、2人の警官が車の窓際におり、1人は運転手の少年に銃を向けていた。少年が車を前進させると、警官がフロントガラス越しに発砲した。ナエルを殺害した罪に問われている警官は、自発的殺人予備罪に問われた。

フランスでは、交通違反の取り締まりに従わなかったことで警官に射殺された者が、昨年は13人、今年は3人出ており、警察にさらなる説明責任を求める声があがっている。

「ナエル・Mの死は、まず路上検問における警察官の武器の使用方法に関する規則や慣行を反映したものであり、より広くは、労働者階級地区出身の若者と警察との間の軋轢を反映したものである」と、ルモンド紙は1日の社説で述べた。

今回の騒乱の中、戦時中のホロコースト犠牲者とフランスのレジスタンス活動家を記念するナンテールの第二次世界大戦記念碑が29日、ナエルを追悼する黙祷行進の傍らで破壊行為の被害を受けた。落書きには「許すな、忘れるな」、「警察、強姦魔、暗殺者」などの文言があった。欧州ユダヤ人会議は、この破壊行為を「ホロコースト犠牲者の記憶を軽視する恥ずべき行為」として非難した。

フランスの一部地域では、普段どおりの生活が営まれていた。首都では、観光客がエッフェル塔に押し寄せており、近くでは作業員が来年のパリ・オリンピックをカウントダウンする時計の設置を行っていた。ナンテールから少し歩いたところにあるショッピングモールは2日、あらゆる階層の客で賑わっていた。一方、ナエルが撃たれた無人の広場では、ベンチに「警察は人殺し」との落書きが何者かによって残されていた。

エッフェル塔付近の橋では何世代にわたってカップルが永遠の愛を象徴する南京錠を取り付けてきた。そのたもとで安い南京錠と鍵を売っていたセネガル人の男性に、今回の少年射殺と暴動で変わることはあると思うか聞いたところ、男性は首を振った。

「何も変わらないと思います」と報復を恐れて、ファーストネーム(デンバ)しか名乗らなかった男性は言った。「差別はあまりにも根深いです」

AP

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