バグダッド:イラク政府報道官は7日、3月以来イラクで行方不明になっているイスラエルとロシアの二重国籍を持つ学者の事件について、調査を開始したと述べた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相官邸が5日に、エリザベス・ツルコフ氏がまだ健在であり「我々は彼女の運命や健康状態についてイラクに責任があると考えている」と発表して以来、バセム・アル・アワディ氏のコメントがイラクの初めての公式声明となった。
ネタニヤフ首相によると、ツルコフ氏はシーア派組織「カタエブ・ヒズボラ(ヒズボラ旅団)」に拘束されているという。ヒズボラはイランが支援する強力な組織で、2009年に米国政府からテロ組織に指定された。
中東、特に戦争で荒廃したシリアに焦点を当てた研究を行うツルコフ氏は、地域問題の専門家であり、長年にわたり国際メディアで広く取り上げられてきた。ツルコフ氏がツイッターに最後に投稿したのは3月21日だった。
プリンストン大学で博士号取得を目指すツルコフ氏は、ワシントンに拠点を置くシンクタンク「ニューラインズ・インスティテュート」のフェローである。
「外国人ジャーナリストの失踪に関する公式調査は現在進行中で、公式の声明はまだない」とアル・アワディ氏はテキストメッセージで述べた。「現時点では、具体的な情報を提供することはできない」
ネタニヤフ首相によると、ツルコフ氏は「プリンストン大学を代表して博士課程と学術研究に従事するため、自発的に」ロシアのパスポートでイラクを訪問した学者である。
イラクとイスラエルには外交関係がないため、ツルコフ氏はイラク入国にイスラエルのパスポートを使用したはずがない。
カタエブ・ヒズボラの幹部はこの件についてコメントしなかった。
同グループは後に声明を発表し、ツルコフ氏失踪への関与を肯定も否定もしなかったが、イスラエルとの関与を禁止している国でイスラエル市民の活動促進に関与したイラク人の身元確認と起訴を求めた。
イランは2003年の米国主導の侵攻後、イラクの主要な仲介国として台頭し、それ以来イラクで幅広い影響力を持つシーア派グループと民兵を支援してきた。
ツルコフ氏の失踪から数日後、地元のウェブサイトは、イラク当局が同氏の誘拐に関与したイラン市民を拘束したと報じた。
ツルコフ氏はバグダッド中心部のカラダ地区で拉致され、イラクの首都にあるイラン大使館は容疑者の釈放とイランへの強制送還を求めていたという。
イラク人活動家の中には当時、イラン人男性のパスポートのコピーを投稿し、その男性が誘拐に関与していると主張した者もいた。
イスラエルは、イランの敵対的な発言やレバノンのヒズボラなど過激派グループへの支援、核開発疑惑を理由に、イランを最大の敵と見なしている。
AP通信