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市が消灯したベイルートの街灯 民間の発電機所有者が点灯

2021年、停電で暗闇に包まれるベイルート。(AFP)
2021年、停電で暗闇に包まれるベイルート。(AFP)
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20 Jul 2023 02:07:46 GMT9
20 Jul 2023 02:07:46 GMT9
  • 経済崩壊の中、ビジネスリーダーが「ゴーストタウン」化の警告を発していた
  • バサム・マウラヴィ内務大臣「ベイルートは光を愛し、光の中にあり続けるだろう」

ナジャ・フーサリ

ベイルート:レバノンの深刻な経済危機により暗闇に陥った市街地の照明を回復するため、ベイルート市は民間の発電機所有者から提供された電力を使用している。

火曜日の夜、首都の中心部に街灯の明かりが戻った。あるビジネスリーダーが「首都はゴーストタウン になった」と警告した後の動きである。

「ベイルートは光を愛し、光の中にあり続けるだろう」と、バサム・マウラヴィ内務大臣はこの取り組みに応えて述べた。

「ベイルートの灯りは治安の安定化に寄与し、保安部隊がより良く仕事をこなすのに役立つだろう」

レバノンの電力供給は、同国の経済・金融危機のため、過去3年間でますます不安定になっている。

ここ数カ月は、24時間中3〜4時間しか電力が供給されず、ベイルートの中心部の通りや商店、レストラン、カフェがほとんど空っぽになる事態に陥っている。

また、経済不況の中で窃盗やスリが増加しているため、通行人も危険にさらされている。

ベイルート商業協会のニコラス・シャマス会長はアラブニュースに次のように語った。「ベイルートのダウンタウンは、経済破綻、パンデミック、そしてベイルート港の爆発事故によって、ゴーストタウンと化してしまった」

街灯を復活させるこのイニシアチブは「非常に良いステップ」であり、たとえ国家がその義務を果たさなかったとしても、ベイルートが見捨てられたわけではないことを示しているという。

「これは象徴的な反映でもあり、全地域にその影響が及ぶだろう。都市の中心部を放棄した人々が戻り、レストラン、カフェ、商店の所有者に再投資を促すことになる」と、シャマス会長は述べた。

ベイルートのマルワン・アブード知事は2023年3月、市内の自家発電機の所有者全員に対し、発電機が集中している場所の周辺道路を照らすよう要請する公報を発行した。

アブード知事は、自家発電機の所有者は供給用に国の電柱を使用しており、その見返りとして、「ベイルートの住民の権利と市の権利を、公共の利益と治安の必要性に基づいて保全する国家的責任」として、街灯への電力を提供するべきだと述べた。

シャマス会長によれば、ベイルートのダウンタウンで現在営業している施設や企業は全体の20%程度に過ぎず、特に3年前の港湾爆発事故以降、多くの企業がこの地域から撤退しているという。

中心街にある、閉鎖された店舗のあるオーナーは、その場所を高級レストランとして再開発するには100万ドル以上かかると推定している。

「都市が復興し、それを信頼できると確信できない限り、私を含め、誰一人として費用のかかる投資はしないだろう」と彼は言った。

首都中心部の衰退を象徴するのは、暗闇に落ちた街並みだけではない。

ある市の職員は名前を伏せて次のように語った。「市の状態はひどいものだ。以前はレバノンは最も裕福な市だったが、今では、今では道路の穴を補修したり、デモ参加者が書いたスローガンや侮辱の書かれた壁を掃除したりする業者を集めることができない。なぜなら、国家は価値を失ったレバノン・ポンドで取引しており、ドルでは取引していないからだ」

照明、道路、信号のメンテナンス契約は何年も更新されていない。ベイルート市は以前、市の道路やトンネルの照明を保守するプロジェクトの入札を発表したが、応札者はいなかった。

先の情報筋によれば、その結果「必要な原材料をドルで輸入できず、市も現地通貨以外での支払いができない中で、契約はもはや採算が合わない。市場為替レートに従って費用を支払おうと思えば、市の金庫に資金は残らない」

一方で、窃盗犯たちはマンホールの蓋を盗み、さらには電力ケーブルや銅線までも盗んでおり、都市インフラにさらなる負担をかけている。

ベイルートの街灯を再点灯させるための民間部門の役割は既に他の地区にも導入されている。

ベイルート・アラブ大学は、この「ライト・ユア・ストリート(Light Your Street)」イニシアチブの一環として、リバース・ベイルート・アソシエーション(Rebirth Beirut Association)とメドコ・カンパニー(Medco Company)の協力のもと、「From Our Energy to Our Region(私たちのエネルギーを地域へ)」というスローガンを掲げ、キャンパス周辺をライトアップした。

非営利団体マクゾウミ・ファウンデーション(Makhzoumi Foundation)は、太陽エネルギーを使ってベイルートの多くの大通りを照らすことに貢献した。

シャマス会長によると、この夏、レバノンの観光業は、海外在住者やエジプト、イラク、ヨルダンからの観光客のおかげで盛況だったという。

しかし、湾岸諸国からの観光客数は依然として低水準である。なぜなら、観光客は以前のようにベイルートのダウンタウンに足繁く通うことはなくなり、レバノンの他のアトラクションに集中しているからである。

木曜日、経済的・社会的エンパワーメントのためのアラブ青年フォーラムが、今年初のアラブ活動としてベイルートで開幕する。

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