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中国はウイグル族イスラム教徒用「職業訓練センター」へのアクセスを許可せよ

06 Nov 2018 12:11:11 GMT9

マハ・アキール

数カ月にわたり、西側メディアは中国西部の新疆ウイグル自治区に「強制収容所」が存在すると報じてきた。新疆はイスラム系少数民族のウイグル族が約1,000万人居住する地区であり、その数はこの地区の人口のほぼ半数に相当する。また8月には、中国が100万人ものウイグル族をこれらの施設に強制収容したとの報道に対し、国連が強い懸念を表明している。

その間、中国当局は、過激派と呼ばれる人々のための「再定住」プログラムの存在は認めながらも、収容所の存在は否定し続けた。ちょうどイスラム系少数民族のロヒンギャ族を抱える近隣国のミャンマーと同じように、数件の暴力行為を発端として、中国は治安維持やテロ防止を名目に新疆で過剰な取締りを行なっているようなのである。

2週間前、新疆ウイグル自治区のショハラト・ザキル主席は新華社通信とのインタビューで、「職業教育訓練プログラム」が実施されていることを詳細に説明したが、これはつまり収容所の存在を認めたということである。彼によれば、このプログラムの目的は「テロや宗教的過激主義を助長する環境や土壌を排除し、暴力的なテロ活動を阻止すること」にある。「職業訓練センター」では、脱急進化教育を行うと同時に、この国の共通言語や法律知識、職業技能の学習を提供しているのだと彼は言う。

国連人権理事会は今週、中国を含む14カ国で人権状況の普遍的定期審査を開始したが、このインタビューはその直前に行われたものである。

本文からの抜粋:テロを助長する土壌をなくすのではなく、抑圧的なアプローチを続けることで、中国は実際には暴力の種をまいているのだ。

一方で、国連人権高等弁務官事務所が安保理に提出した中国に関する報告書では、拷問禁止委員会が、チベット人、ウイグル人、モンゴル人に対する拷問、拘禁中の死亡、恣意的拘禁、失踪などの事件について詳細に記録した報告書を、信頼できる情報源から多数受け取っていたことが示されている。

この報告書ではまた、これら少数民族に属する人々の失業率が高いことも指摘されている。その原因の一部は、漢民族(中国における多数派民族)の少数民族地区への移住によるものである。また、自民族の言語の使用や歴史・文化の教育の権利、自由な宗教実践といった、文化的生活への参加の権利の実現において、これらの少数民族が依然として厳しい制約に直面していることへの懸念も提起されている。

メディア報道によれば、中国当局がウイグル族の使用する携帯電話を追跡し、男性にひげを切らせ、女性にベールを脱ぐよう強制している証拠があるという。また、中国が国外のウイグル人に対して個人情報の引き渡しを要求し、従わない場合には家族を脅迫したとする申し立ても複数ある。

報道は、これら「再教育施設」を強制収容所になぞらえ、レーザーワイヤーと赤外線カメラで包囲された建物に閉じ込められた政府の「生徒たち」が、スパイク付棍棒や催涙ガス、スタンガンを持った数千人の警備員によって監視されていると主張する。AFPの記者は、公的に入手可能な政府文書の中に、いわゆる教育センターを監督する政府機関の物品購入リストが含まれていたのを見た。そこには、2,768本の警棒、550本の電気牛追い棒、1,367組の手錠、2,792缶の唐辛子スプレーが含まれていた。また、ある政府文書では、新たな、そしてより良い中国国民を形成するために、再教育センターはまず「彼らの血筋を断ち、根を断ち、つながりを断ち、そしてルーツを断つ」必要があると当局者らが論じていた。

BBCによると、新疆の中国当局は、「過激主義の影響を受けた人々の教育的転換を実行するため」、拘留施設の利用促進に向けた法律を改正した。新法によれば、拘留される可能性のある行為の例として、ハラールの概念を食事以外の生活領域にまで拡大させること、国営テレビの視聴や国営ラジオの聴取を拒否すること、子どもが国家教育を受けられないようにすることなどが挙げられる。

新疆ウイグル自治区では過去に暴動があったが、これは強制的に鎮圧された。中国は、イスラム過激派や分離主義者がこうした問題を画策していると非難している。しかし、暴力は問題の症状であって、原因ではない。原因は、経済的、政治的不平等にあるのである。テロを助長する土壌をなくすのではなく、抑圧的なアプローチを続けることで、実際には暴力の種をまいているのだ。

治安対策と文化的同化を軸とする新しい政策により、中国はそれまでの多文化・多宗教寛容政策を放棄しようとしている。国際社会は、少数民族の文化的、言語的、宗教的自主性を規定した同国憲法の規定を守るよう、中国に対して求めるべきである。

しかしこれは、宗教的過激主義との戦いという問題だけではない。中国は、「一帯一路」プログラムを通じ、歴史的なシルクロードの再建に積極的に取り組んでいる。そしてこのプログラムにおいて、新疆ウイグル自治区が重要な役割を担うのである。新疆ウイグル自治区は戦略的な立地にあり、天然資源に富んでいる。この地域では、高層ビルの建設、新たな「最先端の」高速鉄道、産業地区および経済地区、新しい工場などの建設が現在進行中である。

当局はまた、農村住民を貧困から救い出すための政策を導入し、カシガルの古い町を再建したが、実際にはこれはこの歴史的なイスラム教地区の大部分を破壊し、住民を移住させるものであった。一帯一路構想のため、中国はこの地域を厳格に管理することを強く望んでいるのである。

しかし、この地域の人々とはほとんど接触がなく、コミュニケーションもほとんどないため、メディア報道の検証は困難である。世界中のイスラム教徒、とくに少数民族の置かれた状況を憂慮するイスラム協力機構(OIC)の代表団は、公式代表団あるいは国際メディアグループの一員として新疆を数回訪問している。今の時期に再び訪問し、そしてとくに職業訓練センターを見学することができれば、いくつかの点を明確にするのに役立つだろう。

マハ・アキールはサウジアラビアの著述家で、ジェッダを拠点として活動している。Twitter: @MahaAkeel1

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